kiku 菊
◆主な薬効
コレストローの沈着を防ぐ
花・葉は、解熱、鎮痛、鎮静、鎮咳剤となり、
 血圧を下げ、風邪、眼病、耳鳴り、めまい、
酒で体をこわしたときに効果がある。
◆入手方法
葉や花は栽培した菊から採集る。
乾燥した菊花は、
薬膳材料店や漢方薬局で購入できる。
◆メモ
栽培の際、農薬を使った菊は食用に向かない。
 使用する場合は少なくとも2〜3週間は
 農薬を便っていないことが必要。
野生の菊、例えばリュウノウギク、ノジギク、
 シオンなどを使う場合も、除草剤などがか
 かっていないことを確かめたい。
葉や花は栽培した菊から採集る。乾燥した菊花は、薬膳材料店や漢方薬局で購入できる。
野生、栽培を問わず、美しい菊の花があちこちで咲いています。中には葉をもむと、竜脳のにおいがする
竜脳菊の花もあります。
栽培されている菊の花や葉にも野生のものと同様に、コリンやアデニンが含まれています。コリンには動脈硬化症や脂肪肝を起こすコレステロールの沈着を防ぐ作用があるため、菊は不老長寿薬として定着しています
そこで、菊の葉の露を飲んで長寿となり島流しの身から解放された話もあります。
現実の話として、乾燥させた菊の花を茶の代ねりとして使うと頭痛、解熱、鎮痛、消炎効果があり、
常用すれば血圧を下はるので、中国では日常的に愛用されているお茶の一つになっています。
菊花は、漢方では血圧降下やめまい、耳鳴り、
腫れ物の痛みなどに主に便われる生薬です。熱を下げ炎症を鎮める薬で、ほてりを鎮める効果もあります。 特に黄菊は解熱作用が強く、よく使われます。
また、菊のまくら花を乾燥して詰めた枕は頭痛を冶し血圧を下げ、安眠を誘うとして愛用する人が多く、
この場合は苦味の強い菊が使われる傾向にあります
例えば日本に古くから自生しているシマカンギクなどの頭花は大変苦いのですが、長崎地方では独特の芳香があり、鎮静、催眠効果があるとして、客が来るとこの頭花を乾燥して詰めた枕でもてなす習慣がありました。この花を油に漬け込んでおくと、切り傷の特効薬にもなります。
花を水蒸気蒸留した精油が、
島津藩の秘薬「薩摩の菊油」で、殺菌、防腐作用が強く、腹痛にはこの精油を水に二、三滴落として飲んだといわれています。
一方、白や黄色の苦味の少ない菊の頭花を乾燥させると、薬用効果のある茶として使用できるとともに、乾燥菊花はバラバラのまま、あるいほブロック状に固めて薬膳材料として市販されています。
菊花を使った薬膳料理もいろいろあります。
乾燥菊の粉末をかゆに混ぜた菊花がゆは、顔がほてるなどの自律神経失調症を改善する作用や、高血圧、狭心症の治療、予防によいといねれ、よく作られています。また、ショウガ、ニンニク、ネギ、トウガラシ、キクラゲと豚肉をいため、菊花を混ぜた「豚肉の菊花いため」ほ、高血圧や関節炎の痛みにも効果があるので、薬膳としてよく使われます。
料理に菊の花や葉が添えられるのほ毒消しの意味もあるのです。 しかし、菊のガクや芯の部分は苦味が強いため、普通花弁だけを採集します。
花弁をそのままサラダやオードブルに散らすと、美しく食欲をそそります。
一般的には菊の花弁を酢を落とした熱湯に入れて手早く箸などでかき混ぜ、すぐに網ですくって水に放し、冷えるとざるに上げて使用します。
菊花の放つ芳香、シャキッとした歯触り、ほのかな甘み、そしてかんだときのわずかなぬめりが食用菊の身上です 酢水でゆでることで色は一層鮮やかになります。ゆでた花弁を「菊ひたし」と呼び、しょうゆをかけるとおいしく、毎日でも食べられます。
また、みそ汁に入れたり、刺し身、焼き物、煮物ほどの料理に添えたりしてもよく、酢の物、からしあえなどさまざまなあえ物や漬物に単独で、また各種の野菜やキノコなどと交ぜたものを添えるのもよいでしょう。
白あえに入れると黄色がさえておいしそうに見えます。食べておいしく、体によいといねれる菊をもっと活用したいものです。
2001年徳島新聞・薬草を食べるから