長野市周辺の鉱物産地

長野市小鍋 [産出物]ソーダ沸石

小鍋峡には鮮新世の海底火山の地層が露出し、その基底部付近で沸石が見つかります。ただ注目するマニアもおらず実体は不明..丁度裾花ダムのすぐ下流の危険で近寄り難い場所です
長野市郷路山 [産出物] 角閃石、鱗珪石、赤鉄鉱

長野市の西側に分布する裾花凝灰岩層中には所々に第四紀の石英安山岩の小岩体が入っています。郷路山に見られるものは郷路石と呼ばれ、かつては石材として利用されました。この石英安山岩中の細かい裂罅や空隙の表面には鱗珪石の小晶があります。また母岩中には大きな角閃石の結晶(2〜3cm分離は無理)が希に見つかります。なおここからはかつてきん青石が出たという記述が信濃鉱物誌などにあるのですが、詳細は不明です

長野市松代町室賀・飯山陸送採石場 












[産出物] 黄鉄鉱、閃亜鉛鉱、黄銅鉱、(方鉛鉱)、濁沸石、重晶石、石英、燐灰石、緑廉石

この採石場では中新世の砂岩泥岩互層とそこに貫入したヒン岩とが一緒くたになって変質した岩石が見られます。善光寺平の西側と比べると遥かにディープな火成活動があったので鉱物の出る可能性はより高くなっています..とはいえ割とありふれたものしか見出せません。しかしながら黄鉄鉱などは場合によっては結構本格的なものが見つかるので油断は出来ません。あと沸石もマトモなものが見つかる一帯なので沸石ファン(?)は要注意!

長野市松代町東寺尾

[産出物] 黄鉄鉱

採石場跡の露地を掘ると黄鉄鉱の結晶が粘土の中から出てきます
長野市浅川  [産出物] 石膏

ずーっと昔に..よく覚えていませんが浅川で石膏を採った事があります。裾花凝灰岩とその下の浅川泥岩層の境界付近の割れ目に沿って含まれ、細長くて幅2〜3mm、長さ3cm位のものがありました
長野市善光寺温泉  [産出物]玄能石

当地は後期中新世の化石産地として知られていますが、化石を含むシルト岩からは玄能石や石膏も見つかります
長野市黒岩 

[産出物]普通輝石

郷路山にあるのと同じような小さな火山岩の小岩体が更に西の山中に幾つかあってそのうちの一つ、黒岩と呼ばれている小山をなすものの中にはまあまあ大きな普通輝石の結晶が含まれています。もちろん分離可能で大きなものは1cmを越えますから、普通輝石の産地として名乗りを挙げる資格は十分です。ただ、風化が適度に進行していないと分離は不可能ですが、よいポイントがありません。転石を探すのも一つの手ですが、あまり見当たりません
長野市 畑山林道  [産出物]瑪瑙

林道脇の崖には中部猿丸層の礫岩が露出しその礫の中にめのうがあります。大きいと4〜5Cmくらいで以前は沢山ありましたが、今は殆どみられません..白色であまり奇麗ではありません。荒倉山火砕岩層に由来するものと思われます。
長野市小市  [産出物]玉髄

小市付近の沢には裾花流紋岩層から流れ出た仏頭石と呼ばれる球か流紋岩が転がっており、この中に玉髄の脈が場合があります。..棚山などのオパールの産状となんら変わるところがないので要注意なのですが、サボっています
長野市松代町豊栄・赤柴銅山  [産出物]黄銅鉱、輝銀鉱、黄鉄鉱、束沸石、輝沸石、濁沸石、スコレス沸石

黄銅鉱を試掘した鉱山、輝銀鉱の記載があります。付近の林道には緑色の凝灰岩があって網状に沸石脈が出来ていて、束沸石、菱沸石、濁沸石、スコレス沸石などがあります
長野市松代町豊栄・地蔵峠−清滝間の林道(保基谷岳南西麓)

[産出物]

@ヒン岩中の束沸石
A凝灰岩中の黄鉄鉱、緑簾石
B黄銅鉱、黄鉄鉱を含む熱水性石英脈
C保基谷岳玄武岩中の変質部にダキアルディ沸石、モルデン沸石/輝沸石
D保基谷岳玄武岩中の長石斑晶
E珪化岩中の自然硫黄
F泥岩中の石英脈(水晶)

林道の山側の崖にはヒン岩や泥岩、凝灰岩などが交互に現れあちこちで色々な鉱物が見つかります。”中央隆起帯”に特徴的な鉱物種が集約して見られる場所です。
長野市松代町豊栄 地蔵峠下の採石場  [産出物]葡萄石、濁沸石、水晶、方解石

葡萄石も”中央隆起帯”によく見られる鉱物で、ヒン岩や安山岩岩脈の空隙に産します。
長野市若保 [産出物]武石、輝沸石

安山岩の採石場の崖に石英脈がありそこから武石が見つかりました。また石英の隙間に輝沸石が見られました。今は何もないようです
長野市大柳   [産出物]束沸石、菱沸石、方解石

大柳付近には枕状溶岩が分布し、枕の内部に沸石を生じている場合があります。
長野市大柳  [産出物]水晶、緑廉石

枕状溶岩の露頭からやや隔たった林道沿いに石英脈があり、隙間に最大4Cm程の水晶があります。結構透明感のある奇麗な水晶ですが、小振りなのが惜しまれます
須坂市八町妙徳山  [産出物]水晶、赤鉄鉱、黄鉄鉱

石英閃緑岩が分布していて石英脈が伴なわれます。この中には葉片状赤鉄鉱があります。妙徳山には水晶が出るという噂があり、有名な佐久間像山が北面で大物を得たという話しもあります
須坂市仁礼  [産出物]赤鉄鉱

上信越自動車道の工事の時に石英閃緑岩の風化した部分を削って土砂を採りました。このとき赤鉄鉱の脈が含まれているのを見つけたことがあります。現在は整地されて何もありません
須坂市仁礼金山 [産出物]ワイラケ沸石、菱沸石、輝沸石、濁沸石、束沸石、スコレス沸石、緑簾石、水晶、黄鉄鉱など

かつて巨大な菱沸石を得た事もあり、またワイラケ沸石もある面白い産地です。美しいボタン状の黄鉄鉱が見つかります
更埴市佐野  [産出物]石膏、石英(高温型)、濁沸石

裾花凝灰岩が変質した部分に石膏が見られます。近傍には蝋石鉱床もあり、ダイアスポアなどが報告されています。
信州新町久米路峡付近  [産出物]輝沸石、玉髄、方解石

ずっと前からこのあたりに薄い火砕岩の挟みがあることは知っていたのですが、わざわざ見に行ったことはありませんでした。でも念のために見に行ってみたらやはり沸石がありました。
大岡村樋口沢  [産出物]普通輝石

聖山上部には普通輝石の結晶を大量に含んだ溶岩があり、樋口沢の沢砂に豊富に含まれますが、自分は川ずれが嫌いなので露頭を探しました。火山岩中の斑晶が目的の場合は、母岩が適度に風化している事が条件です。風化が足りなくても、進みすぎていても結晶は壊れてしまいます。あまり沢山は採れませんでしたが、1Cmに達するものがありました。四角い貫禄のある結晶です。
戸隠村猿丸沢  [産出物]石榴石

猿丸層の砂礫岩中にガーネットの結晶が含まれています。大きくても2mm位なので標本としては飽き足りませんが意外性のある産物です。(15年も前の事ですがコレを見つけた時はびっくりしました)猿丸層の凝灰岩には小さなガーネットがよく含まれるので、これも火山起源であるのは間違いないと思われます。ほぼ同じ層準からゾウの化石が産出しており、戸隠村地質・化石館に収蔵されています。
戸隠村折橋  [産出物]角閃石、鱗珪石

折橋付近の沢の中には飯綱火山に由来する安山岩の巨礫が転石としてあり、大きな角閃石を伴なっている場合があります。2Cm程のものを見つけており、表面には鱗珪石が密生しています。..こういうのは石川県の志賀村でも見たことがあります。富士見でもそうですが、巨斑晶の場合、母岩の中にある時から既に結晶と石基の間には隙間があるケースがよく見られますがこれは一体何故?
戸隠村東沢 [産出物]紫水晶、方解石

東沢の変質した安山岩中には方解石充填された網脈があり、内部に1.5Cm位の小さな水晶を伴ないます。このうちの一部は淡い紫水晶で3面の発達するタイプです

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