Prep. 6 ナルニアの友、その後・・・。
カスピアン王子が伝説の角笛を吹いたその時、ペヴェンシーの子供たちは寄宿舎生活に戻る為に汽車を待っていました。ルーシィはこの年から寄宿舎に入ることになり、ピーターは次の年(朝びらき丸の時)には受験を控えています。最初の冒険から1年を経過しており、その間、彼らは自分たちと同じアスランの国に入った人間をひとりだけしか見つけられなかったようです。
今回のゲートキーパーは言うまでもなく「伝説の4玉座にあったスーザン女王のつのぶえ」であり、これはこちらの時間でいうところの、1年前にスーザンが落としてしまったサンタクロースの贈り物のことです。このふえがフォーンの森の街燈ちかくに落ちていて、4人だけが跡形もなく消え失せてしまったのちのお話はどの物語にも載ってはいませんが、ナルニア人はみな救世主としてのアスランと、その御使いである4人(のちに3人)のことは忘れずにいました。特に一の王ピーターは英勇としてミラースと対決し、カスピアンを擁護します。ピーターは、長男として、家督として立派に責務をこなすわけですが、大変残念なことにスーザンはこれから先、ピーターと相対する立場になっていき、その後一切ナルニアとは無関係の人生を送ることになります。もちろん最後の戦いにも参加できませんでした。エドマンドは一度目の失敗を経験として生かし、その後も正義や公正であることを信条としました。彼の成長については自分はルーシィを信じるのだという場面によく現れています。ルーシィに至ってはみんなの目に見えなくても、ずっとアスランを信じています。そのため、もう一度ナルニア
を訪れることになります。
さて、最初の冒険から(こちら側での時間で)1年のうちにナルニアではすでに1300年もの時間が過ぎています。その間の物語は残念なことにほんの数行しかなく、テルマールに飢饉がおこり、そのころ国政が乱れていたナルニアに攻め入り、国を治めたとしかなく、それ以外は謎のままになっています。
ディゴリーとポリーがナルニア誕生を見届けたのが1900年、冬の時代を打ち破ったのが1940年、その間ナルニアは1000年の時を経たので、平均して25倍の速さで時間が過ぎていたことになります。今度はもっと早く、たった1年の間に1300年、つまり1300倍のスピードで時間が過ぎています。
ちなみに次の冒険までは1年、しかしナルニア時間ではわずか3年しか経過しておらず、その次にはほんの1ヵ月程度が46年も経過しています。時間の経過には規則や方程式はなさそうです。カスピアン十世(カスピアン王子)はどこか違う世界からやってくるアスランの御使いである"アダムの息子とイブの娘"が時間を超えることを知っていたので、のちの冒険で最初に確認したのが時間の経過でした。
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挿し絵については岩波書店ナルニア国ものがたりより選び、引用しました。
ナルニア国ものがたり 全7巻 C・S ルイス作 ポーリン・ベインズ絵 瀬田貞二訳岩波書店