故・大段よし子様

木下救子        

 

 カアクン(なつかしい愛称で呼びます)、逝かれてから早1年に なりました。そちらではいかがお過ごしでしょうか。先生、お母さ ん、弟のケンちゃんたちには無事お会いになりましたか。

 わたしにはカアクンの最期があまりにもあっけなかったのでいま だに心に収まらないものがあります。まだまだこれからお世話させ てもらえることと思っていましたのに、まるでそれを拒むかのよう にさっさと逝ってしまわれたという感じでした。当時は納得できな く、恨めしくさえ思ったものでした。

 5年前、先生が亡くなられたとき、これからは二人で助け合って 生きていこうと約束しましたよね。それなのに4年もたたないうち に後を追うように逝ってしまうなんて。そうじゃないでしょうと云 いたかったです。もっとも、カアクンにしたらわたしもそんなつも りじゃなかったのよとおっしゃりたいでしょうけどね。ほんとうに、 先のことはどうなるかわからないものだとつくづく思いました。

 今、わたしは一人でカアクンの思いのこもった品々に囲まれて暮 らしています。特に何よりも大切だった桐塑人形への思いは残され たひとつひとつを見るにつけ身につまされます。これからもずっと ずっと作り続けていくつもりだったのだなあと思われ、その途中で 残していかねばならない無念さが伝わってきます。

 けれども最期のころになって一生懸命整理しておられたのは、ど こか自分の予後を感じて、その準備をしておられたのかなあとも思っ ています。自らをあまり語らず、ひたすら黙って我が道をいくとい う生き方でしたものね。

 大らかで優しく、安定感のあるカアクン。わたしはそんなカアク ンにすっかり甘えたいへんお世話になりました。最期まできちんと お礼を申しあげないままだったのが今も気になっております。遅れ ばせながら言わせてください。ほんとうにありがとうございました。


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