看護人間学教室

つうしん No.66

1997年10月10日

 

カークンお休みなさい

林 陸雄


 カークン、大段先生の奥さんの愛称です。幼女の冬ちゃんが舌足らずに「お母さん」と呼び習わしたのが、家族語となったのです。準家族の一人と勝手に決め込んでいる私も、それになじんできました。

 むかしむかし、大段先生がラジオ関西の早朝番組で「ラジオによる人間学講座」を担当しておられた時に、助手として手伝うことがありました。ある聴衆から「相手役の林さんが大段先生と呼び掛け、大段さんが林君と呼び返しているが、共演者として不自然ではないか」との投書を頂いたことがあります。そこで、私と大段先生の、そもそもの馴れ初めとその関係の質について、ラジオ関西の人間学通信に私が返書を書くことになりました。その頃のことを思い出しつつ、カークンを偲んで一筆謹呈します。

 大段先生は私を紹介するときに、「ある日ふらりと訪ねて来て、そのまま我が家に居着いてしまった人です。まるで野良犬のような自由さと、雑草のような逞しさをもった、おもしろくけったいな人でしてね。この人は」と言うのが定番でした。

 私も早くに両親を無くし、姉弟とも離れ離れに育った関係で、両親の情に飢えていました。当時の私は、育ての親の前では萎縮と反撥を屈折させ、かなりあくの強い性格をもっていたようです。大段先生も家族関係では苦労されたらしいのですが、当時の父親が示しがちだった威厳や権威などは少しもひけらかさない、自由でフランクな方でした。ざっくばらんでおおらか、初対面から100年来の知己といった気分に浸らせてくれる方でもありました。そんな雰囲気が気に入って住み着いてしまった私を、家族同様に日々の生活の中に包み込んでくださったのが、カークンでした。夫唱婦随が随意に婦唱夫随に切り替わるお二人に魅せられて、永々と居着いてしまいました。

 その後、私もそれなりに自律して居候生活は終えたものの、準家族の思いに変わりはありません。

 私のカークン、永い間、ありがとうございました。安らかにお休みください。でも、私の生あるかぎり、カークンは私の胸の内で生き続けることでしょう。

 

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 看護は「人間相手」の「援助」であることはいうまでもありません。しかし、「人間相手」も「援助」も、少し考えてみると、たいへん難しいことです。いつの間にか「人体相手」となり、自己満足的な「人間操作」になりがちです。そして、それを臨床の看護活動のなかで気づくことは、なかなか難しいのです。
 日頃の私たちがやっている「看護」は、どんなふうになっているのか。それをあらためて問い直し、そこから、どうしたらいいのか、を探求する学習会が、この人間学教室です。
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 現実の患者の問題をとりあげ、討議やロールプレイングなどを通して、徹底的に考え合おうというのです。「首から上の学習」ではなく「内蔵も参加する学習」の場にしたいと考えています。「看護」の仕事をしている人たちには、こうした集中的な学習の機会を、1年に一度くらいは持ってほしいと願っています。
 「人間の看護」の学習を望まれる方は、どなたでも歓迎します。
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