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「まえがき」より わたしは長い年月病人として暮らしてきた。本格的な結核患者として療養所にいれられたのが、昭和二十三年だから、病気とのつきあいも三十年になる。その間、大きな手術を三回もしたし、入院生活や家庭療養の期間も長かった。全部あわせると、十数年にもなる。現在、わたしの左の肺は役に立たず、片肺で生きている。肋骨も四本切り取ってある。片肺飛行の骨抜き人生ですよ、と笑うのだが、それは誇張でも冗談でもないのである。 もちろん、『面接』を単に職業的、専門的な技術として捉えてもらっては、困る。いかなる人にとっても、人生は『面接』の連続であり、そこで人生の方向が決まり、内容が生み出される。そういう広く深い観点から、わたしは『面接』を捉えようと努力した。およそ、人間たるもの、すぺてこの『面接の技法』の学習を必要とする。そういう見地が、この書物の立脚点であることは、読者にはすぐにわかっていただけるであろう。 わたしの生涯の課題は「人間相手の援助」の問題である。それを『助力論』と名づけて、二冊の書物に書き、医学書院から出してもらったのは、ここ二、三年のことである。この書物も、こうしたわたしの生涯の課題に具体的に取りくんだ一つの成果とみてほしい。<『面接』と『対話』の人間学>は、わたしの本職であるから、また近いうちに、書き直し、書き足すようにしたい。 |