エアコンの除湿暖房機能追加

2004/10/16

 1969マスタングを快適に乗るのが私の目指すところなのですが、実用上、不便を感じている点がまだ残っています。とくに重大なのが、除湿暖房ができない点。おそらく、マスタングを設計した当時の米国人には、除湿暖房(冷房はONでかつ暖房もする)が必要な状況というのは、想像できなかったのだと思います。しかし、日本では、じめじめした梅雨や秋雨時の肌寒い雨の日、ガラスのくもりを防止するために、寒いのを我慢してエアコンを入れることになる日もあって、閉口します。そうしないとDefrostにしてもどんどん窓は雲っていってしまうのです。とくにリア窓が最悪。

 本来の機能では、空調モードレバーがACポジション以外ではACコンプレッサーがOFFになりますので、レバーがDefrostやFloorの位置ではコンプレッサーが働かず、除湿暖房はできません。
 一方、レバーがACの状態では、温度レバーを一番高温側にしても風は冷たいままです。レストア本で構造を調べたところ、
ACポジションでは、わざわざ、ヒーターコアへの温水の弁を閉じてしまうようになっています。”間違って”暖房しながら冷房をしないように、というフルプルーフでしょう。

1969マスタングの空調モード

AC-Max

Fresh(AC)

Off

Hi/Lo

Floor

Fog

Ice
ACが働くのは左の2つのみ。Offより右でのみ暖房が動作。

 

 しかし、よく空調システムの構造を調べると、空気は冷房のエバポレータからヒーターコアの順で通過してきます。だから両方を同時に動作さえできれば除湿暖房ができそうに思えます。

 ACポジションでヒーターコアへの温水バルブを開けるのは、バキュームモーターなのでちょっと改造が難しい。しかし、暖房のポジションでACをONにするのなら、電気系を繋ぐだけでいいんじゃなかろうか。まあ、以前はコンプレッサーの震動に悩まされていましたが、いまは震動もなく、AC入れっぱなしでも不快な震動なく走れるし、「やってみるか」と意を決したのでした。


 図はマスタングのエアコンモードスイッチ付近の図。写真よりこのほうがわかりやすいと思いまして図にしました。ACのスイッチモジュールは、都合のいいことに一番上に乗っていますので、ラジオを外せば手が届きます。この線を引き出して、このモジュルがOFFの時も、外で繋いでONにするスイッチをつければよいわけです。


作業は(ラジオを外すのが面倒な以外は)簡単でした。
スイッチは、LED入りのものでエアコン動作を表示することにしましたが、ここで注意が必要。エアコンのスイッチとは、すなわちコンプレッサーの電磁クラッチのスイッチですから、電磁石をON/OFFすることになります。電磁石はコイルなので、このスイッチはONの状態で、サーモスタットでクラッチが切れると、その瞬間に逆起電力がおきて、15V以上の電圧がLEDにかかる可能性があります。写真は、この過渡応答電圧でLEDを壊さないためのダイオードを示しています。
(通常のランプなら、一瞬高電圧がかかってもフィラメントの温度があがる暇もないので切れません。この点では電球のほうが丈夫といえます。)

 


コンプレッサーONのスイッチは、左ひざの先、パーキングブレーキレバーの横に設置しました。青く綺麗に光って、なかなかよろしい。

 


さて、試験結果ですが、今のところ大成功のように見えます。モードレバーが暖房の位置でコンプレッサースイッチをONにしますと、ガチンという音がしてコンプレッサーのクラッチが繋がり、冷房が始まります。やがて暖房の温度がすこし下がり除湿暖房が行われているのが確認できました。なーんだ、簡単なんじゃないの。どうして本来からこうしておいてくれなかったのだろう。肌寒い大雨の日の試験でも非常に快調でした。ガラス隅々までが曇らないだけでなく、室内がさらっとしていて快適です。気温が低い時にエアコン入れっぱなしだとエバポレータの凍結が心配だったのですが、サーモスタットは的確に働いて凍結防止をしてくれています。外気が0℃に近づく冬は無理と思いますが、梅雨・秋雨期間の問題はこれで解決でしょう。今後、予期せぬトラブルが発生しなければ、現代の車となんら変わらぬ快適な空調システムの完成ということになります。

 

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