釣行記

釣行日 2002年5月25日
お天気 快晴
同行者 熊避けのFFマンと2人


週末の山形行きを断念し、急遽木曽の源流を探釣することにした。
5月の木曽を釣るのは初めて。昨年は4月に源流部を釣っているが、所々に雪渓が残り水温も低く凍る ように冷たかった。6月に迎える木曽のベストシーズンにはまだ一寸早い気もするが、暖冬だった 今冬、春〜初夏の訪れも2週間早いので、ひょっとすると...と言う思いがあった。

しかし、源流探索となれば、やはりひとつどうしても気持ちに引っ掛かって来るものがある。 木曽と言えば漆器と熊が有名だ。漆器の方は特に問題ないが、もう一方に並々ならぬ不安が こみ上げるのだ。初夏の山、新芽と山菜を求め熊の動きが活発になる時期である。 単独での行動は非常に危険。まさに怪我をしに行くようなものだ。となれば当然熊避けが必要 となる。ん〜 困った。
そんな折、ちょうど運良くしばらく一緒に釣りをしていないFFマンのK氏がこの話に乗ってき た。まさに天の恵み、神様はちゃんと自然の摂理と言うものをお考えになっておられるのだ。 これで万一の場合も、彼に熊撃退スプレーをふきかけて逃げれば身の安全は保証される、 しめしめ。(^^;;;

熊避けは確保出来た。あとはお天気を祈るのみ。ただ、ここ数日間まったく雨が降っていない ので、逆に源流部の水量が心配だ。 今回探索する源流部の水量は非常に少なく、晴天続きの真夏などはほどんど水が無い。 長く続く雨は困ってしまうが、通り雨のような雨が降って渓を潤してくれると有り難い。 しかし、結局望んだ雨は降らなかった。何とか釣りになるレベルの水量があってくれる事を 祈るほか無い。

相棒との待ち合わせ場所に到着したのは22時半、相変わらずトラックの黒鉛とカーブの多さに 悩まされる。 いつもの車止めへは24時半に到着。途中のコンビニでマンガを選ぶのに時間を掛けすぎたせいで 到着時間が少しずれ込んでしまった。(^^;
車のライトが闇を切り裂くように前方を照らす。川の音が辺りの静寂に一層の闇を強調するかのよう。 奥山の夜と言うのは、本当に気持ちの悪いものだ。何度来ても慣れる事はない。 気温は予想外の7℃。この時期、まだこんなに冷え込むとは....。
持参した酒を燗で身体を温めながら久しぶりの会話を楽しみ、26時過ぎに就寝。
渓相 滅多に人が訪れない源流部 翌朝、起床したのは7時半。昨夜は我々の車だけだった車止めには、釣り人のものと思われる 車が3台増えていた。 朝食の支度をしていると、オジサン衆が乗ってきた3台のデリカスターワゴンがゲートの近く を占領。このオジサン衆、このあと合流した3台目のスターワゴンとともに、合鍵を使って ゲートを開けて消えていったのでした。
再び静かになった車止めにて、我々はのんびりと朝食を楽しむ。 もう源流部はさっきの人達にやられちゃってる訳だし、急いで釣り場へ向かう必要もない。
今朝のメニューはペペロンチーノとブラックコーヒー。 今回初めて採用となるこのペペロンチーノ、実はインスタントの”混ぜるだけシリーズ”なのだ。 ソースはリキッドタイプで、プラスして鷹の爪とガーリックが別スパイス袋に入っている。 うたい文句の通り、パスタとソースは混ぜるだけで完成。 レトルトタイプのパスタソースは既に数多く売られているが、このタイプだとパスタを茹でる 鍋とレトルトソースを温める鍋の2つが必要になるのだが、混ぜるだけシリーズはソースを温める 必要がないので、鍋は一つで済むのが画期的だ。(^^;
沸かしたお湯でコーヒーを入れ、コーヒーを飲みながらゆっくりとパスタが茹で上がるのを待つ。 朝のひと時をのんびりと楽しむには大変有り難い。

のんびりした朝食と、もっとのんびりした身支度で我々の出発は何と9時50分になってしまった。 何でこんなにのんびりしていられるのかと言えば、何を隠そう、今日の釣りもゴリラと一緒 だからなのであ〜る。(^^;
この渓に通うためだけにゴリラを購入した僕にとっては、年に数回しか登場の機会がないゴリラ での源流釣りは、何よりも楽しみなイベントなのだ。 ゲート内へのバイク乗り入れは禁止されているとの噂もあるが、合鍵使って車でGOよりは、まだ 可愛いものだよなぁ....と、勝手に正当化しているのだ。 狭いゴリラのシートに2人の男が跨り、ゴツゴツとしたダートを延々10kmも耐えて走るのだから、 これはもう試練と言ってもいい。(^^;
まぁ、この話題には軽く触れておくとして(^^;、我々がオ○リを痛めながら目的の沢への入り口に 到着したのは10時半過ぎ。 スターワゴンのオジサン衆の姿は何処にもない。彼らは何処へ行ったのだろうか?
我々が入渓しようとしている沢は、運良くまだ釣られた形跡が無い。橋下の流れでは、良型の魚 が右往左往している。 これはまさに天からの授かりものだと思わずにはいられない。 堰堤下のプールには、尺にはやや届かないサイズのイワナがじっと水底にへばりついて居る。 ここは桃源郷への入り口。堰堤の上は、昨シーズンのままの渓相を今日も見せてくれるの だろうか。 高鳴る胸の鼓動を感じながら、ほんのちょっとだけ藪こぎ。 そしていよいよ桃源郷の扉が....とは期待通りに行かないもの。 下流部の水量から何となく予想はしていたものの、支流の水量はかなり少ない。 この沢は雨の後が良いのだが、ここ数日は恵みの雨も降ってくれていない。 延々と続く広河原が不安に現実味を与えていく。

沢の水が現れるまでしばらく広河原を歩くが、やはり水は極端に少ない。 雨の後なら100m歩いて釣り始めるのだが、今日はまだ釣る気にならない。ようやく左岸にちょろちょろの 水が見え始める。良型の魚が岸よりの隠れ家に逃げ込むのが見える。水深は20cmほどで流れもほとんど ない。 さらに歩くと、ようやく釣り場らしい渓相になってくる。いつもの沢音が心地よい。 久しぶりに源流を釣るFFマンに先行してもらい、この沢の魚影の濃さを証明したいものだ。 この沢は比較的天井が開けているのでフライでも十分に釣りになるだろうと思っていたが...かなり苦労 してライン操作をしている様子。
久しぶりのライン操作に苦渋しながらも、入渓10分ほどで彼の毛鉤に魚が反応する。 綺麗に流れた毛鉤に出た魚だったが、思いっきりバラすFFマン。 こちらを振り返り苦笑しているが、やはり、こちらも苦笑するほかないのだった。(^^;
しかし、入渓間もない魚の歓迎に、彼はメッチャ上機嫌なのである。 街中を流れる里川でスーパースレ魚を相手にしている彼にとって、目の前のポイントで も反応がある源流部の釣りがとても信じられない気持ちなのだろう。 後ろから見ていても、背中が興奮している様子が手にとるように分かる。
イワナ 沢ではこの型がレギュラーサイズ 渓相 水深10cmほどの流れから飛び出して来た

ほんの十数メートルの間に毛鉤を2つロストしているので、FFマンの竿捌きも慎重 になっている。なにせ、このFFマンは未だにフライショップで高価な毛鉤を調達して いるため、1個亡くせば350円なのだ。フライボックスにはその豪華な毛鉤達がぎっしり と整列している。値段にすれば、それだけで数万円也。かつて、その高価なフライを ボックスごと渓に流してしまい、帰路に立ち寄ったショップにてまた元通りに復元 したとかしないとか....。(^^; 全くもってゴージャスなFFマンなのである。
毛鉤を枝に引っ掛けて一時中断していた釣りが再会。目の前には絶好のポイントが広がって いる。いきなり核心部を釣ろうとする彼に、瀬尻のポイントも狙うように勧める。 これは、山形の諸先輩に僕がいつも言われる事なのだが、こーして他人の釣りを見ていると 何となくそれが理解できたりする。(^^;
1投目は瀬尻をやや外して落ち込みまで流しきったが、2投目、今度は瀬尻のやや上流へ綺麗に 毛鉤が収まると、待ってました〜と言わんばかりに高活性のイワナが勢い良く毛鉤に突進する。 ”バシャ!”と水面を割って出た魚へ綺麗に合わせを入れ、今度は見事に魚をゲット。 1年振りの釣果だと言うこのFFマンはとにかくこの釣果が感動的だったらしく、こちらが照れるほど に喜んでいる。接待した甲斐があったと言うものだ。(^^;

感動の対面を終え釣りを再開するが、さらに2連発で毛鉤を枝に引っ掛けて苦渋の表情を浮かべ ているFFマンに対し、ついに接待解除の宣告を言い渡す。 本当は3匹釣るまで待とうとじっと我慢していたのだが、入渓して30分が僕の我慢の限界 だった....。(^^;;;
右岸に良いポイントがある。やや枝が張り出し、枝が作る影の下に丁度良さげな岩がある。 水深は無いが絵に描いた様なポイント。立ち位置から魚影を確認する事は出来ないが、この渓 では絶対に釣れるポイント。これはまず1匹ゲット出来るに違いない。 やや距離をとり、ポイント上流30cmへ慎重に毛鉤を乗せる。毛鉤が岩の脇を掠め、流れに 乗り出した瞬間に”バシャ!”っと来た。ここの魚は比較的ゆったりとした出をするため ひと呼吸おいてからの合わせでも十分に間に合うのだ。 釣れたのは18cm程の綺麗なヤマトイワナだった。底石が白いせいか、イワナも白っぽい色 をしている。ん〜 やっぱり木曽イワナは良いなぁ〜\(^◇^)/
イワナ 20cmほどのまずまずのイワナ 渓相 釣れたのはこんなポイントでした

午前中はFFマン2匹、僕4匹とまずまずの釣果。(ちょっと少ないかな...^^;ナハハ)
しかし、林道のバイク走行が祟ったのかFFマンのオシリの病気が再発。(^^;
冗談で言っているのかと思ってからかっていたが、その苦しみ様は劇団ひまわりでも 演じられぬほどに切迫した様子だったからして、目の前で悶絶している彼に対する目が 労りへと変わっていくのでした。チャンチャン
ちょうど陽も高くなってきた事だし、お昼ごはんを食べる事にした。 お昼は恒例の渓流冷やしそーめん。深夜に帰宅して食べるそーめんは メッチャ気持ちが冷えてくるが、渓で食べるそーめんは何でこんなに旨いんだろう〜 奥山の渓と木々の緑に抱かれている事が最高の薬味になるのだろう。 民家の間を流れるような里川での釣り、そして、滅多に人が訪れることのない源流部 での釣り、どちらの釣りもまた違った角度から自然と向き合う機会を与えてくれる。 連日連夜の激務を離れ1歩山に踏み入れば、緊張感と疲れが癒されていくから不思議だ。
一度まったりとしてしまうと腰が上がらないオジサン2名は、昼食と言いながら 2時間半もその場でくつろいでしまうのでした。 食い物と飲み物があれば、さらに長い時間まったりぐったり過ごしていたたこと だろう。(^^;
渓のせせらぎ、通り過ぎる風、そしてキラキラと水面から照り返す午後の陽が何とも 心地よい。 すっかり釣欲が低下している心に鞭打って、ダラダラと釣りを再開。 午前中と比べると明らかに出が悪い。ここぞと言うポイントにおいても魚の出る 確立は2,3割か。瀬に出ていた魚も深場へ移動しているようで、バシャバシャ歩いても 走る魚を見ることが無くなってしまった。もしかしてクマでも通ったのかなぁ...。

出が悪くなったとは言え、この渓では退屈になるほど反応が無くなる事はない。 1級のポイントにはやはり魚が着いている。浅瀬に出ていた魚が深場や岩陰に引っ込んだと 言うことなのだろう。水面に変化の無いポイントでは苦戦するものの、少しでも流れがあり 適度な水深があるポイントにおいては、やはり、活性の高い魚が期待に応えてくれる。
イワナ 夏釣りの昼はやっぱりこれ!
この渓においては水深50cmを超えるポイントの数が限られている。 大雨の後はこの限りでないが、しばらく晴天が続いていたので今日の流れは過去最低と 言っても良いほど。 そんな中、小さな淵ではあるがかなり水深のあるポイントが現れる。 これは大物が居るに違いないと、FFマンに先行してもらう。 FFマンの毛鉤は綺麗なループを描いて浅瀬に着水、そのまま流れに乗る。 出るかな出るかなと思いながら毛鉤を目で追うが、2度3度繰り返しても魚は出てこない。 奥のポイントを狙おうと大きく竿を振りかぶった瞬間、後方に張り出した枝へ見事に引っ掛かる。(^^; これはチャンス!とばかりに先行権をチェンジし、カディスを奥のポイントへ乗せる。 巻き返しに落ちた毛鉤が流れに乗った瞬間、バシャっと反応がある。 魚は流れの中を暴れまくり、なかなか上がってこない。こりゃかなりの良型だなとニタニタしていたが上がって来たのは24cmのイワナ....サイズの割にメチャ引きの強いヤツだ。 数は上がらないが、こんな魚が釣れると大満足。
イワナ 今回のビッグワンは24cmの綺麗なヤマトイワナ
久しぶりに竿がググっと引き込まれる感触を味わいました〜
渓相 こんなポイントで釣れました
流れ込みの一番奥でドライに反応

時間は15時。まだまだ釣りを楽しんでいたい時間帯だが、もう先は短い。
フライが振れそうな場所も徐々に少なくなってきた。流れの幅も1mを切るような所が多い。 そんな時、子供の拳ほどのサイズではあるが、はっきりとクマのものと分かる足跡が右岸に 残されていた。じっくりと足跡を辿ってみるが、親クマの足跡は見当たらない。 親離れした直後の若いクマが残した足跡なのか、それとも、親クマは森の中を進んだのか。
昨年、この辺りを山形の釣友と釣った際、イヤな臭いが鼻を掠めた記憶が蘇る。 後から追い付いた仲間も、やはり同じ臭いを感じていたのだ....。オーコワイ
こなるともう釣りに集中できなくなってしまう臆病な2人。(^^;
50m先に見えるポイントを最後のポイントと決め、ゆっくりと釣り上がって行く。 時折現れる好ポイントも西日で水面がギラリと光り、うまく毛鉤をとらえる事が出来ない。 結局、先ほどのクマ足跡発見から竿捌きも散漫となり、納竿ポイントまで釣果を挙げられなかった。
渓相 源頭の渓相 本来ならば納竿ポイントで1服と言うのが決まりなのだが、クマエリアからの脱出が優先する2人、 源頭への分岐となる河原までの数百メートルをダッシュで駆け抜ける。 ゼェゼェと息を切らしながらも、身の安全が確保出来た喜びが表情に浮かぶ。(^^;
ここから入渓点まで早足で25分。 源流部への入り口となる支流へ降り立った時には全身汗だくになっていた。 ゆっくり歩くつもりが、はやく林道へ出たいと言う気持ちがペースを早め、ほとんど小走り状態 だったのだ。脱渓点が見えた時には、いつもながら釣行の無事を神様に感謝したくなる。(^^;
源流部の釣りは楽しいものだが、やはりそれなりの危険も伴う。 最近、一人でも怖くない釣り場ばかり釣っているので、たまの源流行では思い切り臆病になって しまう。
最近知ったのだが、ツキノワグマの生息数トップはなんと長野県なのだ。 秋田・岩手を退け、堂々の1位である。その数、1200とも1300とも言われているそうな....。
今年もクマさんと遭遇したばかりに怪我を負う人が多数いるようだ。 みなさんも、野生動物には十分注意して山遊びを楽しんで下さいね。