伝統ゲーム紹介


八八

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名称八八(はちはち)
概要 花札(八八花)を用いる遊戯の一つ。さまざまな地方札の中で、現在最もポピュラーなものがデザインが統一されて出版された八八花である。その語源となり、代表的な遊び方が八八である。

八八花

 八八のルールは多くのローカルルールが存在するが、ボードウォーク・コミュニティーでプレイされているルールを説明する。

ゲームの用具

・札(花札、八八花(横浜花))
・碁石入れ碁石や貫木を入れておく容器。
・碁石白石が1貫、黒石が1文。1貫=12文である。
・貫木点数札。5貫、10貫、50貫、100貫がある。
・菓子札支払いが所持金を上回ったときの借金の証文。菓子は貸しの洒落。
・みずてん札親がみずてん(後述)をしたときに出す札。
・軍配大場や絶場(後述)を示すために場におかれる。
・吟味勲章吟味を取った者(勝者)に贈られる。
以前は、これら八八のための小道具を含めたセットが市販されていたが、現在は製造・販売されていない。

八八セット

ゲームの準備

1.ゲームは通常6人で行うが、7人・5人・4人でも行える。
2.点数は貫(白石)と文(黒石)で計算する。1貫は12文である。
3.最初に一人に5貫(4貫と12文)を配布する。
4.最初に越年のルールを採用するかどうかを取り決める。通常12回行うが、特定の場合にそれを越えて行うルールである。
5.席決めのために花札1組を伏せ、各自1枚を引く。月の早いほうが先である。月が同じ場合は点数が大きい方が先である。月も点数も同じ場合はそのプレイヤー同士がもう一度1枚ずつ引きどちらが先か決定する。
6.若い札を引いた者が最初の親でそこから順に反時計回りに席につく。同月の場合は点数の高い方が上、点数も同じ場合はその者たちのみ引き直す。

ゲームの進行

1.プレイは反時計回りに行われる。
2.プレイは通常は12ヶ月(12ターン)行われる。越年のルールを採用する場合は13ヶ月以上行われることもある。
3.1つので月はまず参加者の決定を行い、それから3人でプレイに入る。

参加者の決定

1.札の配布

(1)カードを配る前に親は「みずてん」を宣言することができる。「みずてん」とは親が配られた手の善し悪しにかかわらず無条件で参加することである。みずてんの場合はみずてん札を場に出し、みずてんであることを表示しておく。
(2)親の向かいのプレイヤーは前月のプレイで使用した花札を集めて切っておく。
(3)親の左側二人目のプレイヤーはシャッフル済みの花札を軽くして親の左隣のプレイヤーに渡す。
(4)親の左隣のプレイヤーはそれをカットして親に渡す(「のぞむ」と言う)。
(5)親は札を場に6枚、各プレイヤーに7枚ずつ配る
 (3枚ずつ伏せて各人に配り、次の3枚を場に出す。次に4枚ずつ伏せて各人に配り、最後の3枚を場に出す。最初が4枚、次が3枚でも良い。)
(6)場に桐の20点札または雨の20点札が出た場合を「絶場(ぜつば)」、松、桜、坊主の20点札が出た場合は「大場(おおば)」と言う。絶場でも大場でもない場合は「平場」という。絶場及び大場は軍配を場に置いて示しておく。
(7)複数の札が出た場合は残りは翌月以降に持ち越される。絶場と大場では絶場が先に適用される。絶場及び大場の持ち越しはさいころを月数表示版に置くなどして示しておく。
(8)大場ではその月の点数の授受はすべて説明の4倍、絶場では4倍になる。
(9)場に同じ月の札が3枚出てしまったときはひこ札といい、3枚を一つにしておく。
  これらは4枚目を出した者がまとめて取る。
(10)場に同じ月の札が4枚出てしまったときは、札を回収して配り直す。

2.出・降りの宣言

(1)親から順にプレイヤーは「出る」(プレイに参加する)か「おりる」(プレイに参加しない)かを宣言する。
(2)親がみずてんを宣言している場合は親は無条件に出ることを宣言しているので、次の者から宣言する。
(3)3人が出る宣言をすると残りのプレイヤーはおろされてしまう。これを「追い込み」という。
(4)追い込まれたプレイヤーは手役がある場合はその点数の半分を、手の中に20点札・赤短札・青短札がある場合は1枚毎に3文を、それぞれ出た3人から受け取る。絶場の時は4倍、大場の時は2倍である。このとき点数の内訳についてはプレイをする3人には教えない。このため、別の下りたプレイヤーが手を確認する。
(5)追い込まれたプレイヤーに四三の手役があった場合は
(6)おりる宣言をしたプレイヤーは最初から順に1貫、1貫6文、2貫を場に出す。絶場の時は4倍、大場の時は2倍である。
(7)6人の場合3人がおりる宣言をすると残りのプレイヤーは必ず出なければならない。
(8)出るプレイヤーが決定したら、山札に下りた者の手札を混ぜ良く切って山札とする。

3.手役の公開

(1)次に手役の公開を行う。
(2)手役については手札の一部を場にさらす必要がある。
(3)手役を公開した者は、出た他の2人から手役の点数を受け取る。
(4)誰かの手役が四三の場合はプレイは行わない。

カードプレイ

1.プレイは通常の花札と同様のルールで行う。親から順に手札から1枚場に出して種類が同じものがあれば両方を取る。続いて山札をめくり、場にそれと同じ種類の札があれば両方を取る。
2.場に同じ種類の札が2枚出ているときは、どちらと合わせるかは出した者が決められる。
3.場に同じ種類の札が3枚出ているときは残りの1枚がプレイされたときに全部を取る。
4.プレイ中に以下の条件が発生したら点数の授受を行う。
(1)三本、立三本などの手役の時にその種類の四枚を集めることができたら(「飛び込み」という)その時点で他の二人から1貫を受け取る。飛び込みはその時点で請求しないと無効になる。
(2)「抜け役」がある手役で得点が89点以上になったら他の二人から1貫を受け取る。
(3)みずてんを宣言した親の得点が89点以上になったら全員(おりている者も含む)から1貫を受け取る。
(4)出来役ができた場合はその時点でプレイを終了して該当の出来役の点数を受け取る。
 吹き消しの手役の場合は手役の点数を払い戻してから出来役の点数の授受を行う。(手役の点数の払い戻しでは追い込みの対象となった手役は対象外)
(5)出来役があと1枚でできる条件になったときに、その札またはその札と決まり札になっている札(法度札(はっとふだ)と呼ぶ)を捨てると「法度」の条件となる。それが原因で出来役が完成した場合は出来役の支払いはその札を捨てたプレイヤー一人がすべて行う。
(6)出来役ができてもプレイを終わらせずに続行することができる。この場合は「下げる」と言い、別な役ができて上がるときに、「下げた」役は通常の点数の半分だけもらえる。「下げた」場合、そのプレイヤーが別な役を作って上がらなければ、その役は何の点にもならない。

点数の精算

1.出来役ができず、プレイが終了したら各プレイヤーは自分の取った札の得点を計算する。88点より小さいプレイヤーは差額を88点より大きなプレイヤーに1点1文で支払う。
2.得点の一番大きなプレイヤーがその月の勝ちである。得点の大きなプレイヤーが2人いる場合は「頭はね」と言って、親に近い方がその月の勝者となる。得点が3人とも同じだった場合は「総八」と呼び、親の役となる。
3.勝ったプレイヤーは、場に出ている下り賃を取り、月数表示板に一文を出す。
4.プレイが終了した時点までに抜け役の請求をしないと無効になる。
5.6月の終了時に10貫の貸し札が各プレイヤーに配布される。改貫、あるいは半どんなどと言う。最初の持ち点が5貫であるから残りの5貫(6人だとすれば全部で30貫)はトップ賞である。それは最終的に一番点数の大きいプレイヤーが受け取る。

ゲームの終了

1.通常は12ヶ月でプレイは終わりであるが、越年のルールが選択されていて絶場・大場が残っている場合は絶場・大場が続く限りゲームを続行する。
2.12ヶ月(越年の場合はそれ以上)のプレイが完了したら持ち点の計算を行う。
3.トップ賞(30貫)は一番点数の多いプレイヤーが受け取る。
4.月数表示板の12文(越年の場合はそれ以上)は一番点数の少ないプレイヤーが受け取る。

手役と出来役の一覧

1.手役

・ 手役は2つの系統があり、複合することが出来る。

(1)同月札の重複による手役

手役読みかた点数手のパターン飛び込み
三本さんぼん 2貫スリーカードあり
立三本たてさんぼん 3貫藤・菖蒲・萩・桐のスリーカード。
桐の場合はすべてカス札に限る。
あり
食付くっつき 4貫スリーペアなし
手四てし 6貫フォーカードなし
はねけん 7貫スリーカードとツーペアなし
一二四いちにし 8貫フォーカードとワンペアなし
二三本ふたさんぼん 6貫三本が2組あり
三本立三本さんぼんたてさんぼん 7貫三本と立三本あり
二立三本ふたたてさんぼん  8貫立三本が2組あり
四三しそう(または"しぞう"とも)20貫フォーカードとスリーカードあり

・手役となる重複札を公開する。(一二四は全部公開)
・飛び込み(三本を構成した札をすべて取ること)ができたら一貫増し。確定時にもらう。
・四三が出来た場合はプレイは行わなず、精算して次の月に入る。

2.カス札による手役

手役よみかた点数抜け役のパターン
あか2貫あり5点札2枚以上と残りはカス札
短一たんいち3貫あり5点札1枚とカス札6枚
十一といち3貫あり10点札1枚とカス札6枚
空素からす4貫あり全部カス札
光一ぴかいち4貫なし20点札1枚とカス札6枚

・ 雨(柳)をカス札とみなすことができる。
・ カス札を全部公開する(雨も)。
・ 抜けた(89点以上取ること)場合は一貫増し(抜けた時点でもらう)

出来役一覧

通常の出来役

出来役よみかた点数札のパターン
赤短あかたん 7貫松、梅、桜の短冊札3枚
青短あおたん 7貫牡丹、菊、紅葉の短冊札3枚
七短しちたん10貫雨を除く短冊札7枚
四光しこう10貫松、桜、坊主、桐の20点札4枚
五光ごこう12貫松、桜、坊主、雨、桐の20点札5枚

・ 赤短、青短、四光、五光については「法度(はっと)」のルールがあり、法度をおかしたプレイヤーはその手役代を一人で払う。

特殊な出来役

・ 以下の役が出来た場合は手役代を元に戻す。これを吹き消しと呼ぶ(追い込みの手役代は除く)

出来役よみかた点数札のパターン備考
素十六すじろく12貫カス札(雨(11月)も含む)を16枚以上取る一枚増す毎に2貫増し。20枚以上は20貫
二八ふたはち10貫168点以上取る1点増す毎に1貫増し
総八そうはち10貫3人とも88点の場合親の得点となる

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