伝統ゲーム紹介


うんすんかるた

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名称ウンスンカルタ・うんすんかるた
概要  江戸時代にオランダから伝わったものを参考に日本人が作り上げた遊戯札。なぜか熊本県人吉市だけに伝わっている。西洋から伝わったトランプの前身のカードのデザインと技法を伝える貴重な遊びである。遊戯札は賭博に利用されたため幾度となく禁令が出され滅んで行った。人吉は盆地であったため幕府の目がとどかず生き残ったという説、人吉の藩主が遊戯に寛大だったため、厳しく取り締まらなかったという説がある。
 カードの構成は15枚×5スーツ(種類)の75枚。 スーツはハウ(棍棒)、イス(剣)、コツ(聖杯)、オウル(貨幣)、グル(巴)がある。グル以外は西洋のプレイングカードに見られるマークと同様で、グルのみ日本で追加されたものと思われる。スーツの内容は1〜9の数字札と、スン(唐人)、ウン(福の神)、レイ(武人)、カバ(騎馬武者)、ソウタ(女性)、ロバイ(竜)の絵札から成る。
 うんすんカルタを使った代表的な遊びに「8人メリ」があるが、 これは8人が4人ずつ2組に分かれて交互に座り、トリックテイキングを行うと言う実に珍しい遊び方をする。

 熊本県人吉市に保存会があり、同市では平成16年より大会が開催されている。

「八人メリ」の遊び方(概略)

1.8人を4人ずつ2組に分け、交互になるように丸くなって座る。

2.親を決め、親は札を良く切って全員に9枚ずつ配る。

3.最後に残った3枚を中央に出し、1枚を表にする。これがこの回の「え」(切り札)である。

4.「え」のロバイ(龍)を持っている者は中央の「え」を取る。そして不要な1枚を捨てるとともに最初の1枚を出す。わざと出さなくても良い。これを「隠しロバイ」という。

5.左隣から1枚ずつ出していく。切り札を出すときは伏せて出す。出された種類と同じものがあっても切り札や他の札を出してよい。「メリ」「モンチ」の場合は別。

6.全員1枚ずつ出したら伏せられた札も表にして勝敗を決める。切り札が出ていなければ、最初に出された札の種類で一番強い札が勝ち。切り札が出ていれば切り札で一番強い札が勝ち。切り札であるかないか、切り札がなにかで強さが変わるので十分注意すること。

7.次は一番強い札を出した人間から始める。

8.9回行ったところで、何回トリックずつ取ったかを記録する。(「ひとまき」という)

9.役ができた場合はその分を調節する。

10.以上を親を一巡するまで8回行う。(以上を「ひときり」という。「8まき」=「ひときり」である。)

11.続いて「2のきり」に入り、同じ組が勝てば「1勝負勝ち」であり、別な組が勝てば「3のきり」を行い、勝った方が「勝負」に勝ったことになる。

特殊ルールと用語

「メリ」:切り札を打ち出すこと。この場合、切り札がある人間は表にして出さなければならない。

「モンチ」:「メリ」の後は「モンチ」となる。最初の札と同じ種類があればそれか切り札を出さなければならない。

「はえ」:「え」(切り札)でない札。

「ぐじゃ」または「ぐざ」:「数札」

「ぐざがしら」:一番強い数札。

「テンカ」:「パオ(棒)のロバイ(竜)」のこと。「パオ」が切り札でなければ、常に切り札で「ソウタ」「ロバイ」の間の強さとなる。

「一本半」:「イス(剣)のロバイ(竜)」のこと。「イス」が切り札でなければ、2と1の間の強さの札となる。

「キッカブリ」:切り札を決める札にロバイが出ること。親が取る。

「1枚ズン」:手札の切り札がスン1枚しかないこと。「テンカ」もあってはいけない。切り札をリードされても出さなくても良い。最初切り札が複数あり、途中でスン1枚になった場合は、スンを出さなければならない。

販売状況専門店等で入手可能。当会でも販売しています。

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