伝統ゲーム


拳遊びの部屋
− じゃんけんばかりが拳じゃない −
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さまざまな拳遊び(「た」の部)

大将拳(たいしょうけん)

 複数で行う問答の拳。一人が大将となって面白いことを言ったり、動作をしたりし、残り全員が兵卒となって同じように行う。笑ってしまって真似ができない者から抜けていく。

太平拳(たいへいけん)

 丸くなって座り、一斉に指で0から5までの数を出す。親から全員の数の合計だけ数え、当たった者が酒を飲むなどする遊び。

台湾拳(たいわんけん)

 詳細は不明。明治期の室内遊戯の本に記載。

太郎拳(たろうけん)

 江戸時代の錦絵に見える拳。歌詞が書いてあり拳酒の一種と考えられる。

ちょっきり拳(−けん)

 相手と同じものを出すと負けになる拳。ウントコ拳に同じ。

チョン脱拳(ちょんぬげけん)

 狐拳で3本勝負し、負けた者は着物を1枚脱ぐ。裸拳に同じ。

津軽拳(つがるけん)

 青森県地方に伝わる3すくみ拳。ニッコ(握り)、ヘラ(掌)、ヤリ(指一本)の3種。ニッコはヘラに勝ち、ヘラはヤリに勝ち、ヤリはニッコに勝つ。

つくもの拳(−けん)

 江戸時代の錦絵に見られる拳。歌と踊りに続けて拳を打つ。

鶴亀蓬莱拳(つるかめほうらいけん)

 江戸時代の錦絵に見られる拳。歌と踊りに続けて拳を打つ。鶴と亀と松の3すくみで、亀は鶴に勝ち、鶴は松に勝ち、松は亀に勝つ。

聾拳(つんぼけん)

 2人で行う問答の拳。一方の言ったことに対し、まったく関係のないことを答えなければならない。唐人拳(とうじんけん)と同じ。

弟子拳(でしけん)

 2人で行う拳。まず「でしでしけん」の掛け声でじゃんけんをする。 次からは交互に発声するが、自分が勝っていた場合は「あなたはわたしの、でしでしけん」、自分が負けていた場合は「わたしはあなたの、でしでしけん」と言わなければならない。間違えた方が負けとなる。

十日恵比寿(とうかえびす)

 「十日恵比寿」の歌に合わせて拍手をし、続けてじゃんけんを打つ。 歌詞は『十日戎の売り物は、はぜ袋に鳥鉢銭かます。小判に金箱立烏帽子。いれます才槌、束ね熨斗。お酒をかたげて千鳥足』(時代、地域で若干異なる)。十日恵比寿(十日戎)は恵比寿神を祭る神社の祭礼。

堂島拳(どうじまけん)

 相場拳、株拳に同じ。大阪の堂島に「堂島米会所」と呼ばれる米の先物取引を行う施設があったためであろう。

唐山拳(とうしんけん)

 2人で行う問答の拳。外国人が話すようにめちゃくちゃな言葉を言い合う。言い負けた方が負け。

唐人拳(とうじんけん)

 2人で行う問答の拳。一方の言ったことに対し、まったく関係のないことを答えなければならない。聾拳(つんぼけん)と同じ。

藤八拳(とうはちけん)(東八拳とも)

 藤八拳のページへ。

都市拳(としけん)

 2人で行う問答の拳。一方が「お江戸では」「大坂では」「京都では」と問い、もう一方が答える。
 「お江戸では」と聞かれたら、左腰に手を当てて刀を抜く格好をし、「侍でござい」、「大坂では」と聞かれたら、手を膝の上に置き(算盤を持つ格好というところも)、「商人でござい」、「京都では」と聞かれたら、親指と人差し指を合わせて額の上に当て(つまむ格好をし)、「お公家でござい」と答える。答えたら、即座に質問をする。詰まったり間違えたりしたら負けとなる。別名、三府拳。

とてつるけん

 歌と踊りに合わせて打つ3すくみの拳。弘化四年の芝居小屋・河原崎座の出し物「笑門俄七福(わらうかどにわかのしちふく)」の中で歌われて流行した。
 歌詞は「酒は拳酒、色品は。 かえるひょこひょこみひょこみょこ。へびぬらぬら。 なめくでまいりましょ。 それじゃんじゃかじゃかじゃか、じゃんけんな。 ばさまに和唐内(わとうない)がしかられた。 とらがはうはうとてつるてん。 狐でさあ来なせ。」
 この後に拳を打つ。

併せ併せ・伴せ伴せ(拳)(ともせともせ(けん))

 狐拳を打つ。勝った者は「併せ併せ。」と言い、負けた者は「何もって併せ。」と聞く。勝った者が「○○になって併せ。」と言ったら、負けた者はその真似をする。

虎拳(とらけん)

 体を使う3すくみの拳。虎(四つんばい)、和唐内(わとうない:槍を持つ格好)、母親(杖を突く格好)の3種類。虎は母親に勝ち、母親は和唐内に勝ち、和唐内は虎に勝つ。 なお、和唐内は近松門左衛門の「国姓爺合戦」の主人公である。 屏風の両側で形を作り、音楽に合わせてその格好で登場し勝敗を決める。現在でも酒宴の席で行われることがある。

 その際に三味線を伴奏に長唄「和唐内」が歌われる。歌詞は次の通りである。
「千里を行くよな、薮の中を皆さんのぞいてごろうじませ。 金の鉢巻たすきに和藤内がえんやらやっと、とらえしけだものは、 とらと〜らと〜らとら。」この最後の「とらと〜らと〜らとら」を繰り返し、このときに屏風の両脇から姿を現し勝敗を決める。

 和唐内を虎退治の加藤清正に置き換え、清正じゃんけんとも言う。

取上拳(とりあげけん)

 数人総当たりで十回ずつ打ち、勝った数を合計して順位を決めるもの。

取持身持槍持(とりもちみもちやりもち)

 2人で行う言葉と動作の拳。一人が取り持ち、身持ち、槍持ちのうちどれか一つを言う。もう一方は素早く、今言われなかった形をする。言われた形をしてしまうと負け。

どんどん拳(どんどんけん)

 2人で行う体を使う拳。形はじゃんけんで、言われたものを出すと負けになる拳。岐阜県藤橋村(現、揖斐川町)に伝わる。保存会があったが、残念ながら現在は行われていない。

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