カメラ・写真関連 用語集


シャッター関連

ファインダー関連

露出関連

レンズ関連


シャッター関連

B(バルブ)

シャッターレリーズボタンを押している間、フォーカルプレンの先幕が作動してシャッターが開く。
レリーズボタンから指を離すとシャッターが閉じる。  長時間露出が可能となる。

FP接点

フォーカルプレンシャッター専用のシンクロ接点である。
フォーカルプレンシャッター(先幕と後幕とで作るスリットの移動で露出が行われる)ではスリットの移動中に連続して(30〜40ミリセコンド)均一な明るさの発光が可能なFP級バルブを使う必要がある。
FP接点とはFP級バルブの発光がシャッターの走行中に合うように電気回路を構成した接点である。
ストロボの普及等により最近の一眼レフではFP接点を持たないカメラが多い。
OM−1、OM−2はFP接点を持っている。

M接点

閃光電球の発光開始からピークまで時間が約20ミリセコンドのM級閃光電球を使うための接点である。
主としてレンズシャッターのカメラに付いていたがストロボの普及等により持たないカメラが多い。
オリンパスOMシリーズは持っていない。

T(タイム露出)

シャッターレリーズボタンを押すとシャッターが作動して、レリーズボタンから指を離してもシャッターは開いたままとなる。 シャッターを閉じるためにはもう一度レリーズボタンを押す必要がある。
最近のカメラはB接点だけでT接点は省略されている。 オリンパスOMシリーズも省略されている。

X接点

ストロボ用のシンクロ同調接点である。
レンズシャッターではシャッター羽根が全開した瞬間、フォーカルプレンシャッターでは先幕が画面をすぎた瞬間にスイッチオンする接点である。
フォーカルプレンシャッターではその時に後幕が画面にかからないシャッター速度でないと全画面は露出されない。 ストロボ同調速度は一般的に1/60〜1/250秒である。

スーパーFP発光

閃光時間を約40ミリセカンドの間持続できるようにオリンパスが設計開発したストロボ(F280)で、OM−4Ti、OM−3Ti、OM707と組み合わせると最速1/2000秒までストロボのシンクロ撮影が可能になる。
日中シンクロ撮影で選択できる絞りの幅が広がるなど、多様なストロボ撮影に対応できるようになっている。

電子シャッター

機械ガバナーを使わずに電子回路により速度を調整する方式のシャッターである。
シャッター幕などは機械式と同じで、開閉そのものの動力はスプリングであり、シャッター速度を電気的にコントロールする。 OM−2シリーズ、OM−4シリーズ、OM二桁シリーズ、OM三桁シリーズで搭載している。

フォーカルプレンシャッター

2枚の布幕または金属幕が左右あるいは上下に走行し、先幕と後幕の間のスリットの幅または前後幕の移動する速度を調整することによりフィルムに適切な露出を与えるシャッターである。
フィルム面の直前におかれることが多いのでレンズ交換が可能なカメラに多く使われている。

レンズシャッター

撮影レンズの中間あるいは前後におかれ、2〜5枚の薄い金属板でできた羽根がセクターリングの回転またはマグネットとスプリングによって同時に開閉しフィルムに適切な露出を与えるシャッターである。

ロータリーシャッター

円盤の一部を切り取って回転させると、その隙間から光線が入りフィルムに適切な露出を与えるシャッターである。
映画用のシネカメラに多く使われているが、スチル用ではオリンパスペンFに搭載されている。
スチル用ではスリットをもつ2枚の円盤を使い、その間隔をコントロールして露出時間を加減する。

スローシンクロ

通常ストロボを使った撮影ではX接点で1/60〜1/250秒に同調させて撮影するが、スローシャッターを使用してわずかな照明で写しながらストロボを発光させ、奥行きを出したり、ブレの中で一瞬の形を止めるとか、作画上の変化を求めるために行う手法である。
スローシャッターはバルブから1/8秒位までを使うことが多い。


ファインダー関連

アイポント

ファインダーを見るときに目を置く位置をいう。 35mm 一眼レフカメラでは接眼レンズ後方10数ミリに設定されているのが一般的である。
アイポイントを後方(約25ミリ)にずらしたタイプをハイアイポイントといい、眼鏡使用者に便利である。
OMシリーズ、特にOM−1、OM−2はファインダー倍率0.92倍でアイポイントは接眼レンズ寄りになっている。 そのため眼鏡使用者は一度に画面全体を見渡せないことがある。

絞り込みボタン(レバー)

自動絞り式の一眼レフではレンズはふだん開放になっている。
被写界深度を確かめたいときは絞り込みレバーを押して所定の絞りまで絞り込む必要がある。
絞り込みボタンはレンズ胴鏡又はカメラボディに付いている。
オリンパスOMシリーズではレンズ胴鏡に絞り込みボタン(プレビューボタン)が付いている。

視野率

ファインダーで見える画面と、実際にフィルム面に写る画面との比率で、ファインダーの視野を実画面で割った数値で表示する。
視野率は理想的には100%であるべきだが、引伸機のネガキャリアやスライド マウントの枠で画面周辺がカットされるため、90%台にとどめているカメラが多い。
オリンパスOMシリーズは小型ボディとしては驚異的な視野率97%を誇る。

ハーフミラー

鏡にあたった光線の全てを反射せずに光量のの何割かを透過させる性質をもつ半透明な鏡をいう。
距離計やファインダー、TTL測光やTTL・AF方式に利用されている。

ファインダースクリーン(フォーカシングスクリーン、ピントグラス)

焦点面の位置あるいは焦点面と等距離の位置においたマット状の面を持つ焦点板のことをいう。
昔はすりガラスが使われていたが、最近はアクリル樹脂製で中央に側距精度を保つためスプリットイメージやマイクロプリズムが組み込まれている。
また周辺部の明るさの低下を防ぐためフレネルレンズが一体に形成されている。
ファインダースクリーンでピントを合わせるとフィルム面にも焦点を結ぶ構造になっている。
オリンパスOMシリーズでは16種類のファインダースクリーンが用意されていて、マウント側からスクリーン枠のロックを外して交換する。

フレネルレンズ

平凸レンズの一種で凸面を細かい同心円に分け、凸レンズと同じ働きをしながら厚みを極端に薄くすることができる集光レンズである。

ペンタプリズム

断面5角形のプリズムで、内部で3回の反射を行い反射像の上下・左右を逆転させるためプリズム後部から出る被写体像は正像として見られる。
オリンパスOMシリーズではコンデンサレンズを省略し、プリズム底面をレンズ状に湾曲させることで小型化が計られている。

ミラーアップレバー

一眼レフでミラーを上げて使うことかできるように、ボディの一部に取り付けられたレバーである。
主に天体撮影や複写などの特殊撮影を前提に設置されている。
ミラーを上げておくとショックや音が軽減される良さがある。
オリンパスOMシリーズではOM−1(M−1)のみミラーアップレバーを持つ。

ミラー切れ

一眼レフのミラーは撮影の瞬間、上下に回転運動しながら移動するためミラーの大きさに制限がある。
超望遠レンズのように光束が太い入射光ではファインダーで見た時、画像上部が暗くなったり見えないことがある。 この状態をミラー切れという。
オリンパスOMシリーズは比較的大きなミラーが使われているためミラー切れは起こりにくい。


露出関連

CDS

硫化カドミニウムを使用した受光素子のこと。 受ける光の強弱の応じて電気抵抗が変化する性質を利用したもので、受光素子として使用する場合は電源を必要とする。
感度を高めることができるなどの長所がある反面、履歴現象が起き応答性でSPDに劣るため現在ではSPDに主役の座をゆずっている。

EV値(Exposure Value)

撮影レンズのFナンバーとシャッター速度の組み合わせで露出する一定の光量を表示した数値。
絞りF1、シャッター速度1秒の時の光量をEV0と規定し、それより絞りを一段絞ったり、シャッター速度を一段早くする毎に数値は1ずつ多くなる。
例えばF8、1/250秒の場合はEV14となる。

ISO感度

国際標準化機構で決めたフィルム感度の表示。
アメリカのASA、ドイツのDIN、日本のJIS表示など国により表示が異なっていたものを統一したもの。

SPD

シリコンフォトダイオードの略称で、シリコンを使用した受光素子のこと。
光に対する応答性が良く、多くの露出計の受光素子として使用されている。
SPC、SBCもシリコンフォトダイオードである。

TTL (Through The Lens)

レンズを通過した被写体の光量をファインダー内の光学系かシャッター幕に直前で直接計光し、より正確な露出を得るために考え出された露出測光方式で、受光体はカメラの内部におかれる。
種々の交換レンズを使っても、レンズを通ってきた光を測るため常に正確な測光ができる。

ガイドナンバー(GN)

ストロボやフラッシュバルブの光量を表す係数で、GNと表記されることが多い。
絞りX距離=ガイドナンバーである。
例えば、ガイドナンバー32(ISO100/m)のストロボでF4で撮影する場合は撮影距離が8mで適正となる。

開放測光

TTLで光量を測る場合に、レンズの絞りを開放にしたまま測光できる構造のものをいう。
絞りリングの回転を電気抵抗に変換してメーターの振れ角を変えたり、機械的運動によりメーターケースの回転角を変更したりしてTTL機構に結びつけるようにしている。
電子シャッターではIC回路等により電子的に適正シャッター速度にしている。

グレースケール

黒から白までの無彩色のチャート。 黒から白までを段階で表示したものとグラデーションで表示したものがある。

コントラスト

被写体の明暗比をいい、明暗の差が大きければコントラストが高い(強い)と表現する。
逆に、明暗の差が小さい時はコントラストが低い(弱い、フラット)と表現する。

実効感度

フィルムの感度はパッケージに表示されているが、乳剤のばらつきなどにより感度が変化するため、表示されている感度と実際の感度が異なることがある。
このフィルムが実際に持つ感度を実効感度といい、プロ用のカラーリバーサルフィルムの中にはデータシートに記載されているものもある。

絞り込み測光

TTLで光量を測る場合に、レンズの絞りを実際に絞って、入ってくる光量を測る方式をいう。
絞り込み測光の方がTTLのメカニズムは簡単にできるが、絞り込むと一眼レフではファインダーが暗くなり接眼部からの逆入光のため露出に誤差を生じるので、近年では全て開放測光となった。

スポット測光

受光角の狭い反射式の露出計を使って、撮影範囲の細かな部分の露出を測光すること。
単体のスポット露出計では受光角が1度位のものが多いが、カメラに内蔵された露出計はこれより広く一般的に5度位である。
OM−4のスポット測光は全画面の2%を測光している。

セレン光電池

光が当たると電流を発する光電池の一種。 面積が大きいと大きな電流が得られ電源を必要としないこと、感色性が肉眼に近いことなどの長所を持つが、感度を高めるには受光面積を大きくしなければならないという短所があるため現在では一部の単体露出計に使われているのみである。

相反則

一定の明るさの撮影で絞りを1絞り絞った時、シャッター速度を1段遅くすれば同じ露出量が得られるという法則をいう。

相反則不規

相反則が成り立つのは感光材料によって決まった範囲があり、それを越えると相反則が成り立たなくなる。
この現象を相反則不規という。 
相反則不規には、暗いときに起こる低照度相反則不規と、明るいときに起こる高照度相反則不規がある。
通常、問題になるのは暗い場所での低照度相反則不規である。

ダイレクト測光

TTL測光方式の一種。 シリコン受光素子(SPD)をミラーボックスの内側にフィルム面に向けておき、直接フィルム面にあたる光量を測光する。
1975年、オリンパスOM−2に初めて搭載された。  露出途中で光量が変化しても対応できる利点がある。
このためシャッター先幕に白いランダムパターンをプリントして、シャッターボタンを押しミラーアップした直後から先幕が移動するまでの間に測光し、シャッター速度をコントロールする方式である。
なお、光量の少ない時は先幕のスタート後もフィルム面に当たる光量を測光し続けて、適正露出になると後幕をスタートさせる構造になっている。 一般撮影だけでなくストロボ撮影でもダイレクト測光が可能である。

中央重点測光

TTL式で全画面を測光しながら、画面の中央部の測光に重点をおいて、露出を測るようにした方式である。
写真撮影の際には主題を中央に置く場合が多いので、その部分の露出を測り、同時に画面全体の露出も測るのがよいという考えにもとづいたもの。
OMシリーズにも採用されている中央重点平均測光は平均測光に近い中央重点測光である。

長時間露出

一般的に1秒より長いシャッター速度で撮影することを長時間露出という。
長時間露出をした場合、相反則不規やカラーバランスの崩れが生じ、フィルム本来の性能が発揮できなくなる。
そのため露出補正やカラーバランスの補正が必要となる。

適正露出

写真撮影で、最も良い結果が得られる露出。
基本としては被写体の明暗が最も平均的に記録される状態(標準的適正露出)をいうが、目的によってハイライトの再現を重視したハイライト基準露出、シャドーを重視したシャドー基準露出などの露出決定法が良い結果をもたらすこともある。
絶対という適正露出は存在せず、撮影者の好みで変わるのが適正露出である。

日中シンクロ(デーライトシンクロ)

自然光下の条件で、補助光としてストロボを発光させること。
被写体が逆光や日陰に入っている場合など、まわりの景色も被写体も浮かび上がらせたい時に使う。
ストロボの同調速度に限度があるが、バックの露出とストロボの露出のバランスをうまくとることがポイントである。
尚、オリンパスOM−4Ti、OM−3Ti、OM707とフルシンクロフラッシュF280の組み合わせでは1/2000秒までの同調が可能である。

入射光式露出計

被写体にあたっている光の強さを測り、18%の反射率を持つものが、中庸なグレーに写るように露出値を算出する露出計。
被写体の持つ反射率に関係なく露出値を示すので、黒は黒、グレーはグレー、白は白と、被写体の明暗コントラストがそのまま自然に再現される。

反射光式露出計

被写体から反射してくる光の強さを測り、その反射率が18%と仮定した上で中庸なグレーに写るような露出値を算出する。
当たっている光の量が同じでも反射率が異なると露出値は変わり、白も黒もみな同じ反射率18%のグレーに写ってしまう。
反射光式露出計の長所は透過光や、被写体自信が光を出しているもの、遠くにある被写体の測光などに有利である。

標準適正露出

適正露出の基本となる露出で、被写体輝度域の中点とフィルム再現域の中点(18%グレー)を一致させた露出値。
中間調の再現に優れ、白から黒までをフィルムの有効露光域内で再現できるが、有効露光域を越したハイライトは白くとび、シャドーは黒くつぶれる。
アベレージ露出、標準露出も同じ意味で、入射光式露出計の測光値がこの標準的適性露出となる。
反射光式露出計では標準反射板を測光した値、もしくはハイライトとシャドーの平均値が標準的適性露出となる。

平均測光

露出を測る場合に、画面に映る範囲全体の明るさを平均的に測光する方式である。
TTL式のカメラでも平均測光があるが、それは部分測光式より一般的に誤差が出にくいことによる。 

ラチチュード

フィルムが被写体の明暗を忠実に再現することの出来る範囲をフィルムのラチチュードという。
尚、多少の露出過不足が許容できる範囲を指す場合もある。


レンズ関連

魚眼レンズ

180度の画角を持つレンズのことをいう。
魚眼レンズといった場合、対角線画角が180度のレンズをさすのが一般的で「対角線魚眼レンズ」という。
強烈な遠近感や深い被写界深度、画面周辺部の歪みなど独特の描写を得ることができる。
縦横すべての画角を180度とした場合、円形の画面となるので「全周魚眼レンズ」といって区別される。

コンバージョンレンズ

撮影用の主レンズに装着することにより主レンズの焦点距離を変換させ違った画面効果を生み出すことのできる補助レンズをいう。
主レンズの前に装着するものをフロントコンバージョン、主レンズの背面に装着する望遠用のものをリアコンバージョン(リアコンバーター)と呼んでいる。
フロントコンバージョンは使用時のFナンバーは変わらないが、リアコンバージョンの場合はFナンバーは大きくなり暗くなる。

シフトレンズ

レンズの光軸をずらしたり斜めにすることで、大型カメラの持つ機能を使えるようにした特殊レンズ。
開放絞りでも奥行きのあるもの前面にピントを合わせることができたり、建物の垂直線がゆがまないような撮影をすることができるようになる。
レンズの光軸を上下左右にずらすことをシフトという。
また、ティルト、スイング、などアオリができるレンズもある。

ソフトレンズ

レンズの収差を残すことで画像が滲んだ柔らかな描写を得ることができるレンズ。
ソフト機構にはレンズの収差を残したまま設計し、絞りでソフトさを調整するものと、レンズの位置をずらす方式のものがある。
いずれも絞り込んだり、レンズ位置を通常に戻すことで、普通のレンズとほぼ同じ描写も得られる。
一般的に100mm前後の焦点距離のものが多い。

マクロレンズ

クローズアップ撮影の得意なレンズで遠景などの一般撮影もできるマクロレンズと、クローズアップ撮影に特化したマクロ専用レンズの2種類がある。
一般撮影もできるマクロレンズのほとんどは1/2倍〜等倍の大きさまで撮影することができ、よほど小さな被写体を撮影するのでなければ十分なクローズアップ効果を得ることができる。
OMズイコー90mm F2、50mm F2、50mm F3.5、135mm F4.5は拡大範囲(レンズ設計上最適な範囲では)∞〜1/2倍の大きさまで撮影することができる。
マクロ専用レンズOMズイコー20mm F2、38mm F2.8、80mm F4では等倍以上の撮影が可能である。
基本的にAF対応のマクロレンズでは、撮影倍率が高くなるほど被写界深度が浅くなりAFの苦手の条件が揃うので、マニュアルでピントを合わせたほうがよい。

レフレックスレンズ

光学系に反射鏡を使った独特のレンズ。 必要とするガラスレンズも少なく反射鏡を使うことでレンズの全長を短くすることができるので、軽量コンパクト化が可能。
ドーナッツ状にボケる独特のリングボケや、最短撮影距離を短くできるなどのメリットもある。
しかし、AF化するにはカメラ側の機構をレフレックスレンズに対応させなくてはならないため、AFのレフレックスレンズはミノルタのみとなっている。

レトロフォーカスタイプ

一般に広角レンズはバックフォーカス(レンズ背面からフィルム面までの距離)が短くなるので、カメラの内部でミラーが作動する一眼レフには使えない。
そのためレンズ前面に凹レンズ系をおき、レンズの第二主点を後方に移動させて、焦点距離に比べてバックフォーカスを長くした設計方法をとったレンズをレトロフォーカスタイプという。
一眼レフの広角レンズは全てこのレトロフォーカスタイプとなっている。

後部取り付けフィルター

明るい超望遠レンズ、レフレックスレンズなど前玉の直径が10cmもあるような大口径レンズでは、普通のレンズと同じようにフィルターを取り付けるとフィルター自体がとても高価になってしまう。
そこで、レンズの前ではなく後部に取り付けるようにしたものが、後部取り付けフィルターである。
後部に取り付けるようにしたおかげで、フィルターの径を小さくすることができる。
また、超広角レンズのように画角が広くフィルターを付けるとフィルター枠が写ってしまうのでレンズの後部にフィルターを付けられるようにしているものもある。

フローティング

写真のレンズは一つの距離を基準にして設計することがあるが、その距離では収差がよく取り除かれていても撮影距離が変わると収差が出てきて描写性能が劣化する。
劣化の程度はレンズ構成が非対称型になる程、また大口径になる程目立ちやすくなる。
この欠点をカバーするため、それぞれの撮影距離において収差の補正が最良になるレンズ位置を計算しておき、レンズの繰出量に応じて一部のレンズを移動させる手法がとられるようになった。
これをフローティングと呼んでいる。
OMズイコーでは18mm F3.5、21mm F2、24mm F2、28mm F2、100mm F2などがフローティング システム(近距離補正機能)を搭載している。
近距離補正機能とは逆に遠距離補正機構を搭載したOMズイコーとして50mm F2マクロ、50mm F3.5マクロ、90mm F2マクロがある。

Fナンバー

絞り値のこと。 焦点距離を各絞りでの有効口径で割った数値がFナンバーである。
従ってレンズの明るさはFナンバーの二乗に反比例する。

MTF (Modulation Transfer Function)

像のコントラストがどれくらい減少して再現されるかを示す比率で、コントラストの伝達率あるいは減少率と考えても良い。

Tナンバー(T絞り)

レンズの透過光はレンズの構成枚数やコーティングの種類によってFナンバーが同じでも必ずしも同じにならない。
この欠点をさけるために有効口径を実際の透過光量から算出して素通しの円の径に換算し、これを基準にしたFナンバーをTナンバーという。

イメージサークル

レンズが鮮鋭な像を結ぶ円の直径をいう。 この範囲が絞り値によって変わるので、イメージサークルを表示する場合は、絞り値も併記してあるのが普通である。
シフトレンズではイメージサークルが画面サイズの対角線より相当大きくないと十分にあおりを利用することができない。

口径食

絞りをはさんで前後にレンズがある場合、斜めにレンズに入射する光線はレンズの前枠と後枠で入射光の一部がけられて光量が少なくなる。 この現象を口径食といい、ビグネッティングともいう。
絞りを開放から絞っていくと口径食は改善される。
最近の大口径レンズや広角レンズでは前玉と後玉を特に大きく作り口径食を少なくしたレンズが多い。

光軸

レンズの球面の中心を通る線を光軸といい、何枚ものレンズで構成されている場合は各レンズの光軸は完全に一致している事が必要で、これが狂うとレンズの描写力は大きく低下する。
レンズの光軸を合致させる作業を芯出しという。

周辺光量

画面中心の明るさに対して画面の周辺部の明るさ(像面の照度)を周辺光量という。
周辺光量はレンズを開放にした場合、口径食とコサインの四乗則の影響を受けて照度が低下するが、絞ると口径食の影響がなくなるのでコサインの四乗則の影響のため照度が低下する。

焦点深度

ある距離に焦点を合わせた場合、焦点面の前後に焦点が合ったように見える範囲を生じるが、この範囲を焦点深度という。
この焦点深度は被写体が無限遠の場合は、”焦点深度=Fナンバー X 許容ぼけ” で決まる。
この式を見るとわかるが焦点深度はレンズが明るい程浅くなり、許容ぼけが小さい程浅くなる。
焦点の合った前後の深度の深さは同じでレンズの焦点距離には関係ない。

鮮鋭度(シャープネス)

像の境界の濃度変化が急なほど鮮鋭度は高くなる。
レンズの場合は球面収差によるハロがあったり、コマ収差によるフレアがあると解像力があってもコントラストが低下して鮮明な像は得られない。
ただレンズの鮮鋭度がよくてもフィルムの鮮鋭度が悪かったり、撮影や現像処理に欠陥があると鮮鋭度は低下する。

バルサム

レンズの貼り合わせに使われている一種の接着剤でカナダ産のマツ化植物の樹脂から作られたもの。
粘着性が強く屈折率がレンズに近い。 最近のレンズの接合は合成樹脂が多用されている。
古いレンズはバルサムが経年変化により剥げかけているものもある。(バルサム切れ)

被写界深度

ある距離に焦点を合わせた時、その距離にある被写体が鮮明に写るだけでなく被写体前後もある範囲は鮮明に写っている。
この鮮明に写っている被写体前後の奥行きを被写界深度という。
被写界深度の性質は他の条件が同じならば一般的に以下の様になる。
@ レンズの絞りを絞り込むほど被写界深度は深くなる。
A 焦点を合わせる距離が遠いほど被写界深度は深くなる。
B 被写界深度は焦点を合わせた位置の前方では浅く、後方では深くなる。
C レンズの焦点距離が短いと被写界深度は深く、長いと浅くなる。

被写界深度は次の計算式により算出することができる。
 被写界深度の近い限界(近点)=(過焦点距離X焦点を合わせた距離)/(過焦点距離+焦点を合わせた距離)
 被写界深度の遠い限界(遠点)=(過焦点距離X焦点を合わせた距離)/(過焦点距離−焦点を合わせた距離)
(注)過焦点距離=(焦点距離X焦点距離)/(許容ぼけXFナンバー)

フレア

レンズの収差によるものではなくレンズ面やレンズ鏡胴内部あるいはボディ内部で反射した光がフィルム面に達して、画面の一部又は全体にかぶりを与えたりシャープネスを低下させることがある。
この有害な反射光をフレアという。 フレアはレンズを絞っても取り除けないことが多い。

偏芯

レンズを構成している単体レンズの光軸がレンズの理想的な光軸からずれていることをいう。
偏芯があるとピントが悪化する。

色収差

光は波長により屈折率が異なり、短い波長の光は強く屈折し長い波長の光は弱く屈折する。
このため光の波長によって焦点の位置が異なる現象が生じる。 これを色収差という。
色収差の補正は屈折率と分散の比率の異なった光学ガラスを組み合わせて行う。
焦点距離の長いレンズでは焦点距離に比例して色収差の影響が大きくなる。
現在の超望遠レンズに異状分散ガラスを使用するのは色収差を補正するためである。
望遠レンズ180mm F2、超望遠レンズ250mm F2、350mm F2.8には低分散ガラス、異状分散ガラスが採用されている。
これ以外のOMズイコーでは100mm F2、35−80mm F2.8、シフト24mm F3.5に採用されている。

球面収差

レンズに光軸と平行な光線を入射させた時に、入射角の違いからレンズの光軸に近い位置に入射する光線に比べて、光軸から離れた位置に入射する光線ほど強く屈折してレンズに近い位置に結像する現象をいう。

コマ収差

球面収差が補正されたレンズで光軸外の一点を結像させたり、レンズに平行光線を斜めに入射させて結像させると、その像は完全に点にならないで画面中心方向かあるいはその逆の方向に尾を引いた状態で結像する。
この尾を引いた状態が彗星に似ているのでコマ収差と呼ばれている。

二線ぼけ

球面収差が残っていると焦点を合わせた後方はリング状のぼけになりやすい。
コマ収差の補正が良くなってくると、わずかな球面収差でもリングぼけが目立ちやすくなる。
このため一本の線が二本のぼけた線として写るところからこの名称が付けられた。
前方のぼけは輪郭が柔らかくぼけるのでほとんど二線ぼけにはならない。

ハロ

球面収差が残っていると結像した像の回りに淡い光のぼけが重なるが、これをハロといい一般にはフレアともいっている。
ハロはレンズ周辺部を通過する光によって起きるため開放絞りから二段階位絞るとなくなることが多い。

歪曲収差(ディストネーション

画像が撮影対象と相似形にならずに直線が歪んで写る収差をいう。
この歪み方が糸巻き型になる場合を糸巻き型歪曲、樽型になる場合を樽型歪曲という。
非対称型のレンズは歪曲が生じやすく、対称型では前のレンズ群で生じた歪曲を後方のレンズ群が打ち消すため、歪曲が目立たなくなる。
レンジファインダーカメラの広角レンズは対称型のレンズが多いため、歪曲収差は少ない。
一眼レフの広角レンズは非対称型のレトロフォーカスタイプになっているため、歪曲収差に関しては不利である。


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