銀塩フィルムとデジタル カメラの実力比較


ズイコー35−105mm F3.5−4.5+フィルム スキャナー Cano Scan 2700FとソニーのデジタルカメラP1の実力を比較してみました。

ズイコー35−105mm F3.5−4.5は周辺に収差がやや目立つレンズでボケもあまりきれいではなく、ズイコーの中では優秀なレンズではありません。

ソニーのデジタルカメラP1は総画素334万のデジカメで35mm換算で39−117mmの3倍ズーム機です。
小型軽量でレンズは少々暗いですが、光量豊富な場面ではけっこうきれいな写りを見せてくれます。

                                      [ 2000年12月 ]


ズイコー35−105mm F3.5−4.5+フィルム スキャナー

拡大表示は1360DPIでスキャンしているので約250万画素になりますが、総画素334万のデジタルカメラP1より解像度は高く旗の文字もはっきり見えます。
2720DPI(約1000万画素)でスキャンするとさらにディテールが出ます。

スキャナーの場合は1つの画素をRGBで3回スキャンしますので3板CCDと同じ原理で色解像度がよくなるのだと思います。(250万画素X3=750万画素相当)

一方、デジタルカメラは単板CCDですので画素単位の色は演算をして作ることになります。
これらにより、同じ画素数に相当する読み取り解像度ならスキャナーはデジタルカメラより優れていると言えます。

ただし、スキャナーでデジタルに変換するとダイナミックレンジ(階調)が狭くなってしまい、黒つぶれ・白とびが発生しやすくなります。

人間の目で識別できる階調を100とすると、銀塩フィルムでは60位になり、デジタル(デジカメ、スキャナーの場合)では30位になってしまうと言われています。

平均的なカラーフィルム(粒状度10〜12)の解像度をデジタルカメラの画素数に換算すると、800万画素X3(RGB3色)=2400万画素相当になるそうです。(デジタルカメラ・マガジンより)

それ以外の要素としては、下記のようにレンズの性能・CCDの大きさも多いに影響していると考えられます。

フィルムはフジクローム センシアU

中心部の拡大(1360dpi)


ソニーCyber−shot DSC−P1

拡大表示を見ると解像度・シャープネスはズイコー35−105mm F3.5−4.5+フィルム スキャナーよりかなり劣ります。  縮小表示だとかなりきれいに見えますが、拡大するとディテールがあまり出ていないことが判ります。 ディテールが出にくいのはCCDのローパスフィルター、ノイズリダクションや輪郭強調の影響も一因です。

それとレンズの性能・CCDの大きさも多いに影響していると考えられます。
CCDが小型になり集積度が上がればレンズの性能が画質に大きな影響を与えます。
また、これ以上に集積度を上げると感度・ダイナミックレンジが落ちSNも悪くなります。

1/1.8インチCCDの場合は300万画素程度が限度だと言われています。
画質を上げるにはレンズ交換式一眼レフデジタルカメラのように大きなCCDを使う必要があります。

P1の場合は超小型軽量3倍ズーム機のわりには黒つぶれ・色収差・周辺光量の低下も少なく、かなり健闘していると言えます。

参考までに、300〜400万画素級の小型CCDを搭載しているデジタルカメラの解像度を列記します。(デジタルカメラ・マガジンでの実測値)

ソニーCyber−shot DSC−P1        ――― 800TV本
オリンパスC−3040ZOOM             ――― 800TV本
キャノンPower ShotG1            ――― 800TV本
リコーRDC−7s                   ――― 700TV本
京セラFinecam3300              ――― 700TV本
フジFinePix4500 (ハニカム432万記録画素)――― 600TV本
フジFinePix4900Z(ハニカム432万記録画素)―――1000TV本
Nikon COOLPIX990            ―――1000TV本
Nikon COOLPIX880            ―――1000TV本
オリンパスE−10(2/3インチ400万画素)     ―――1100TV本を余裕をもってクリア

*OM一桁ファンとしてはE−10の次期バージョン(E−1?)がほしい!!!***

中心部の拡大


解像度について

光学の場合は、細かさの程度を像面上の1mmの長さ中にパターンの白黒のペアが何本あるかで表わし、本/mmという単位が使われます。

テレビやビデオカメラの場合は、テレビ画面の縦の長さ中に白黒のパターンの白と黒部分が合計で何本入っているかということで表わし、TV本という単位が使われます。

通常デジタルカメラの場合は画素数・画像サイズで代用されることが多いのですが、実測値ではないので参考程度にしかなりません。

カメラの解像度をTV本で表示すると

35mmフィルムの大きさは約24X36mmなので、平均的な35mmカメラのレンズの解像度を100本/mmとすると24X100X2=4800TV本となります。

一方、1/1.8インチCCD(対角8.933mm)の縦の長さは約5.5mmですので、100本/mmのレンズを使用した場合は5.5X100X2=1100TV本となります。

このような理由で、小型CCDを使用したデジタルカメラは35mmカメラよりずっと高性能なレンズが必要となるわけです。 
35mmカメラと同等な4800TV本という解像度はCCDのサイズを大きくしない限り不可能です。

[参考] GズイコーオートS50mmF1.4の解像力
   (アサヒカメラ1972年ニューフェース診断室 オリンパスM−1より)

絞り F1.4(開放)
画面中心 180本/mm         画面平均  112本/mm

絞り F5.6 
画面中心 224本/mm         画面平均  170本/mm


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