OM便利帳


1.OM−1、OM−2のファインダーを明るくする方法。

2.OM40のファインダーを明るくする方法。

3.OM−1の電池について。

4.OM−1のトップカバーのはずし方。

5.モルトで腐食したファインダー プリズムの修復方法(応急処置) 

6.モルトの交換方法。

7.カメラ ボディに皮を貼る方法。

8.レンズのマウント部が削れてくるのを防ぐ方法。


OM−1、OM−2のファインダーを明るくする方法

OM−1、OM−2のファインダーはOM−3Tiと比較するとかなり暗いためF3.5より開放F値の暗いレンズで焦点が合わせにくくなります。
これは「2−13マイクロ/スプリット」というフォーカシング スクリーンと交換することによりファインダーは明るくなり焦点が合わせ易くなります。 明るくなる理由は「ファイン・ルミマイクロマット面」が採用されているためです。(ただしピントの山をつかみづらくなるという欠点もあります)

しかし交換に際して問題点が2つあります。

1.スクリーンの固定用のでっぱりが合わないため、そのままでは装着できない。
  でっぱりの部分が2mm位ずれているだけなので、ナイフで削れば装着可能となります。
  
ナイフで削る時に傷を付けてしまうことがあるので自己責任でお願いします。

2.フォーカシング スクリーンを交換することにより露出計の針が約1絞りアンダーに振れる。
  OM−1、OM−2(マニュアル時)はペンタミラー部でファインダースクリーンを透過した光を測光
  していますので、透過光が多く明るい「2−13マイクロ/スプリット」と交換することにより光量が
  多くなるため、メーターを適正露出に合わせると露出がアンダーになるわけです。
  OM−2の場合は「ダイレクト測光」のため、オートで撮影時の露出計メーターの指針は目安ですので
  しかありませんので実際の撮影には全く影響はありません。
  OM−1の場合は正常な測光表示を得ることができません。
  
露出計の故障により内蔵露出計を使用しない場合には有効です。


OM40のファインダーを明るくする方法

OM40にフォーカシングスクリーン2−13を入れてみました。 SRX-6さんに教えていただいた手順が大変参考になりました。 一番のポイントはマウント上部にある三日月型のプラ部品を外すことでした。
これがなかなか外れず苦労しましたが、時間をかけて何とか外すことができました。
私的にはOM40は一桁機並みの機能とすっきりしたファインダー内表示で好きなカメラですが、ファインダーが明るくなったことにより活躍するチャンスが増えました。
以下にその手順を紹介します。( 文章はほとんどそのまま引用させていただきました。)

用意するもの

 ヘラ状の器具(彫刻刀など)、溶剤(ネールカラーリムーバーなど)、精密ドライバー、ニッパー
 (2−13の爪をカットするため)、ピンセット、接着剤

手順

1.マウント上部にある三日月型のプラ部品を外す
  スクリーンを支えている金具と三日月型のプラ部品の上部にはモルト(薄い緩衝材)が両面接着テープ
  で付いています。プラ部品は接着剤で固定されていますので、先端に溶剤を付けた彫刻刀で隙間をこじ
  開けるようにして取り外します。(2本の出っ張りがありこれがマウント側にはまっています)
  この際、プラ部品を破損しないように注意してください。既にSSにもこのパーツの在庫はありません。
  プラ部品を外すとスクリーンを支えている金具を固定するネジが現れます。
   ↓ モルトを途中まではがした状態です。    ↓ 三日月型のプラ部品
 
   

2.金具を固定しているネジを外す
  このネジは、眼鏡などに使われているものよりもかなり小さいプラスネジです。回転方向は通常のもの
  ですので、反時計回りで外れます。非常に小さなネジですので無くさないように気を付けてください。

3.スクリーンを支えている金具を取り外す
  金具にはモルト(緩衝材)がかぶさっていますので、その部分のモルトを彫刻刀の先で剥がして隙間を
  作り金具を手前に引き抜きます。スクリーンは奥の2箇所のフックに差し込んであるだけですので、
  手前に引くとスクリーンを引き抜くことができます。ここまででスクリーンの取り外しは完了です。

4.2−13の加工
  2−13の爪部分をカットします。先端をガスコンロで熱したニッパーで一気にカットする方法がお薦
  めです。爪部分をカットするとOM40のスクリーンとまったく同じサイズになります。

5.2−13の装着
  奥にある2箇所のフックに2−13の先端を差し込んで装着します。この際、ただ押し込むだけでは差
  し込めませんので、精密ドライバーの先端でフックを押し上げながら差し込みます。フックの先端には
  小さな穴が開いていますので、そこにドライバーの先端を突っ込んで持ち上げてやると上手くできます。

6.金具の再装着
  取り外してあった金具を再装着します。
  モルトの隙間に金具を差し込んで元の位置に戻し、ネジで固定します。

7.プラ部品の接着
  取り外したプラ部品を接着剤で元の位置に固定して出来上がりです。

注意点など

 一緒にモルト交換を行った方が仕上がりもきれいで作業も楽かも知れません。
 既にSSにはパーツの在庫がありませんので最悪の場合、大事なカメラがジャンクになる恐れもあります
 ので、慎重に作業を行ってください。 三日月型のプラ部品が外れない場合は無理しないであきらめた方
 が無難です。 移植はくれぐれも自己責任でお願いします。


Thanks to SRX-6さん


OM−1の電池について

OM−1(N)は1.35Vの水銀電池MR−9型を使用していますが、現在は製造中止のため入手できません。 これは以下の3つの方法により解決できます。
現在、2.の方法はサービスセンターで受け付けていません。

1.関東カメラサービスから発売されている電圧変換機能付きアダプタを使用する。
  大きなカメラ店、中古カメラ店に行けば大体置いてあります。
  電圧無変換のアダプタも出しているので購入する時は要注意です。
  アダプターに1.55Vの酸化銀電池SR43を入れて使用します。
  旧型ではSR44を使うタイプがあり、以前は主にこちらを使用していました。

2.オリンパスのサービスセンターで電池室の改造をしてもらう。
  改造後は1.55Vの酸化銀電池SR44を使うことが出来ます。
  同型のアルカリ電池LR44は電圧が1.5Vのため露出計メーターの指針に若干の誤差が発生します。
  
オーバーホールを含めこの改造は現在行われていません。

3.現在でも入手可能なドイツ製水銀電池(\300〜\500)を使う。
  3台のOM−1の内1台は電圧変換機能付きアダプタを使用していないので秋葉原のにっしんで購入し
  ました。
  
いつまで入手できるか判りませんが?


OM−1のトップカバーのはずし方

1.巻き上げレバー軸上の飾り蓋(小さい穴が二つあいたプレート)を外して巻き上げレバーを取り外す。
  飾り蓋がゆるい場合はゴムシートなどを当て、親指の腹で強く押さえながら回して外します。 固くて
  回らない場合はカニ目レンチ等の工具を使用します。
  この様にして巻き上げレバーを外し、巻き上げ軸についているナット(上カバーを押さえている丸いワ
  ッシャ状のプレート)を外します。
  小生の場合は飾り蓋をカニ目レンチで回しましたが、硬かったためカニ目の穴を大きくしてしまいました。
  
中古・委託品を購入する時は、このカニ目の穴をチェックして開けた形跡のあるカメラには注意しまし
  ょう。 尚、以前はSSに修理に出すと飾り蓋が交換されて戻ってきましたが、飾り蓋が払底したため
  最近では傷がついたまま戻ってくるようです。

2.巻き戻しクランクを外す。
  裏ブタを開けてパトローネのスプールに入る二股の間にドライバーなどを入れ、クランクを左に回せば
  外れます。
  巻き戻し軸上のマイナスネジ(クランクを起こすと見えるネジ)は外す必要はありません。

3.クランクの下に隠れているプラスの皿頭ネジを外す(2本)

4.ホットシュー接点のネジを外す。
  ゴムドライバ、カニ目レンチなどで回すとカバーに傷が付きにくいです。

5.上カバーを上に引き上げる。
  巻き戻しクランクの所からちょっと大きめのバネが出てくるので要注意です。
  感度ダイヤル・露出計のスイッチは外した位置のままにしておきます。

上記作業で逆ネジはありません。
巻き上げレバー軸上の飾り蓋などに傷を付けてしまうと商品価値が下がってしまいますので、作業は自己責任でお願いします。


モルトで腐食したファインダー プリズムの修復方法(応急処置)

1.OMのトップカバーを外す。

2.プリズムのモルトとその他見える部分のモルトをきれいに取り除く。

3.プリズム押えの金具を外す。
  M−1は4本のスプリングと金具で固定されていました。
  初期型のOM−1は板バネ付きの金具で固定されていました。

4.プリズムを外しクリーニングする。
  モルトが付いていた部分は銀蒸着がはげてガラスが見えているのでアルコール等できれいにします。
  その他、フォーカススクリーンの所、接眼部もきれいにします。

5.プリズムを取り付ける。
  銀蒸着がはげてガラスが見えている部分にカバーを取り付けます。
  小生はアルミホイルでカバーしました。

6.OMのトップカバーを取り付ける。

上記作業で銀蒸着がはげた部分はそのままですがプリズムのため、ファインダーをのぞいてもほとんど判らないレベルに修復できます。
しかしながら、治具を使用していないため取り付け具合によりフォーカスが狂ったり、露出計の表示が狂う場合があります。  
巻き上げレバー軸上の飾り蓋などに傷を付けてしまうと商品価値が下がってしまいますので、作業は自己責任でお願いします。 ワッシャー、スクリューを紛失することもあります。
自信のない方はSSに修理依頼してください。 プリズム交換は出来ませんがクリーニングしてくれます。
大手修理業者ではプリズム交換が可能です。 ---> FAQを参照してください。


モルトの交換方法

1.最初にべとべとになった古いモルトを除去。
  モルトの接着剤にはゴム糊系が多く使われており、これを溶かす為にシンナー、アルコール等の溶剤を
  使用します。
  ゴム糊落としは綿棒や爪楊枝でやる根気のいる作業です。

2.交換用のモルトを入手する。
  小生は秋葉原のにっしんで入手しました。 カメラのきむら(新宿店)でも販売しています。
  両面接着テープ付きとなしがあります。厚さも1mm〜何種類かあります。
  小生は両面接着テープ付きを購入しました。

3.モルトを貼る。
  モルトをナイフで必要な幅にカットし溝に貼り付けていきます。
  この時、溝の横に両面接着テープが付きますので慎重に作業を進めます。
  両面接着テープなしのモルトを購入して接着剤で付けた方が簡単かもしれません。

薄手のモルトが必要なところには、モルトの代わりにベルベットあるいは黒の毛糸の太目の物を両面テープで貼り付けるという方法もあります。 これなら永久に溶けません。
裏技として、フィルムのパトローネについているベルベットがモルトの代わりに使えます。
1つのパトローネで40mm X 11mmと40mm X 9mmの良質なモルト(ベルベット)が採れます。
これを1.5mm位の幅にカットして継ぎ合わせれば使えます。(ミラー周りでの使用は避けた方が無難です。)


カメラ ボディに皮を貼る方法

1.ドライヤーを併用し端から皮をはがす。

2.剥がれた皮をお湯につけて接着剤を除去する。

3.皮に幅広の両面接着テープにを貼り、カッター等で余白を切り取る。
  両面接着テープは好きなだけやり直せるのでおすすめです。
  小生が使っているテープは東急ハンズで購入したものです。
  幅が2cmのテープで、外径が12cm位、内径が7.5cmです。
  TERAOKA No.777とテープの表面に書いてあります。
  それ以外ではMAXON の No.200 というテープもお勧めのようです。
  これは、大手の画材屋・文房具店で手に入ると思います。 12mm幅と20mm幅が有ります。
  透明のポリプロピレンを基材とした強いテープです。

4.別の皮に貼り直す場合は元の皮をコピーし、型紙にしてデザインカッターで切り抜く。
  皮のカットは、直線は普通のカッター、円はサークルカッター、小円は半丸の彫刻刀(大中小色々)
  任意の曲線は、NT カッター(小さな替え刃のカッターで、角度があり先端が回転する。)を使用する
  のがおすすめです。


レンズのマウント部が削れてくるのを防ぐ方法

一般にレンズのマウント部には油が塗ってありますが、長年の使用で油が酸化してスムーズにレンズの着脱できなくなることがあります。  そのまま着脱を繰り返すとマウントが削れて真鍮色が出てきます。
これは以下の対処をすることにより改善されます。

1.レンズが古くなってきたら思い切って、無水アルコールでマウント部を拭きます。
  これは古くなって酸化した油を取るためです。

2.そして「モリブデングリス」を米粒ほどの大きさに取ってマウント部に薄く塗り、きれいにふき取り
  ます。 これでマウント部の削れが防げるし、レンズの着脱がスムーズになります。
  シャッターダイヤルのギヤ面には塗らないでください。
  OM−3TiやOM−4Tiのマウント面にはリセットボタンがありますが、この部分には塗らないで
  マウント部のみに塗りきれいにふき取ってください。 モリブデングリスは鉱物油ですがきれいにふき
  取ればリセットボタンに悪影響は与えることはないでしょう。
  電子回路の接点が付いているマウント、レンズではこれをすると接触不良になりますのでやってはいけ
  ません。 「モリブデングリス」は黒色のグリスでホームセンターなどで売ってます。
  尚、田宮模型からプラスチックに使える「モリブデングリス」が発売されていますのでお薦めします。
  こちらはチューブ入りが300円ぐらいで模型店で売ってます。
  
ABSプラスチックを侵さないテフロン配合の潤滑オイルもお薦めできますが、モリブデングリスの
  良いところはモリブデンが金属同士のスレを防ぐ事と黒色なので後で拭いた時に黒く付くので塗りすぎ
  がわかることです。 
  プラスチック部品に付くことが気になる方は田宮模型のモリブデングリスやテフロン配合の潤滑オイル
  をお薦めします。


Thanks to MASAさん


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