どうしたら、飼育係になれるのかという質問をいくつかいただきました。

狭き門
日本動物園水族館協会に加盟している園館は160あまり。
そこではたらく飼育係はおよそ下表のとおりです。

動物園 1800人 95園
水族館 900人 64園

こうしてみると、飼育係が30年勤めるとすると、2700人/30年だから毎年90人の募集しかないことになります。 全国の動物園と水族館を合わせても、中堅どころの企業一つ分くらいなものです。実際採用はもっと少ないように思います。
そうはいっても、もっと狭き門のスポーツ選手やタレントにあこがれて努力する人もたくさんいます。飼育係になる夢を現実的においかける方法をここで示さないといけませんよね。旭山動物園に長く勤め絵本作家に転身したあべひろしは、子どもたちに飼育係になる夢を捨てないで努力しなさいと、答えています。

飼育係ってどんな仕事
飼育係という職業はどんな仕事なのだろうか。あこがれに値するような職種なのだろうか。飼育係になるための努力を開始する前に考えてみよう。
このホームページでは、できるだけ飼育係魂といったものが感じられるように、少し変わった角度からいろんなことを紹介しています。それはある意味では、理想的な飼育係が示す仕事への態度ということができるでしょう。飼育係自身がプロフェッショナルな気持ちを持つことはいいことなのですが、経営者が飼育係をどのように評価しているかといったことも考えてみる必要があります。つまり、社会は飼育係の仕事をどんなふうに捕らえているかということ。
経営者が、飼育係を動物の命を維持するための単なる肉体的な労働者と考えていれば、経営者は飼育係にたいして高い知識はとくに要求しないでしょうし低い賃金で働いてもらおうとするでしょう。まじめに仕事をしてくれれば誰でもよい、パートでもアルバイトでもよい職種になります。
日本の動物園や水族館では、教育係として学芸員の資格を持ったもの、教員の資格を持ったものがいないところがほとんどで、また調査研究のための組織や人員を配しているところも限られています。しかし、理想としては欧米並みのことをやっていきたい。というわけでオールマイティな飼育係、英語も堪能で海外の文献も読める、調査を統計学的に分析できるといった飼育係を求めることもあります。建築技師や教師などと肩を並べる専門職と見なして給与の面での待遇もよくしようと経営者は考えるでしょう。
こんなわけで、飼育係という仕事は職種としてみれば、低賃金肉体労働者として扱われたり、並の賃金の技師として見られていたりで、その地位がはっきり定まっていないといえるでしょう。

採用試験を受けるための条件は
前項で述べたように、飼育係の職種の考え方から、全国160余りの動物園水族館の採用条件はまちまちです。
飼育係をどんな職種と経営者が考えているかで試験の内容も異なってきます。また、私立と公立では試験内容が異なったり、広く公募するかどうかなどの違いがあるでしょう。
各動物園水族館に、問い合わせてみるしかないわけなのです。
ある動物園では、生物系の学業を修めていることを採用条件にしています。つまり、農学、生物学、動物学などを修めていれば、農業高校であれ動物専門校であれ水産大学であれ受験の資格を認めるというものです。
というわけで、生物学を勉強できるような学校へ行きなさいというのが私のアドバイスになります。またどうせ行くなら、大学へいったほうが面白いと思う。英語力、分析力など基礎的な勉強はもちろん、生態学や動物行動学など今流行りの勉強ができたら、こんないいことはないですよね。みなさんがすばらしいと思う先生のいる大学を目指すのもいいと思います。

動物に関われる仕事も視野においてみる
以下に動物関連の仕事を列挙してみました。必ずしも動物をかわいがるばかりの職場ではないけれど、いろいろありますね。このような仕事も視野に入れて、就職活動を考えてください。飼育係になるのは難しいし、運も必要です。
  1. 動物園(飼育係、ズーボランティア)
  2. 水族館(飼育係、ボランティア)
  3. 畜産(養豚、酪農、養鶏、肉牛、その他)
  4. ペット産業(ペットショップ、動物商、ブリーダー、動物グッズ、動物用食品)
  5. 競馬(飼育、騎手、場主)
  6. 福祉(盲導犬 アニマルセラピー)
  7. 動物病院(獣医師、看護、トリマー)
  8. 自然関係(レンジャー、野鳥の会や自然保護協会、動物観察指導者)
  9. 動物保護団体(ちょっと視点は違うけど)
  10. 教育(博物館の学芸員、理科教師、動物学)
  11. 医学実験施設(動物をかわいがるというのではないけれど)
  12. 行政(畜産振興、動物管理センター、環境庁や文化庁)
  13. マスコミ(動物写真家、出版社)
  14. 動物飼料会社

生涯を通じて動物とどのように関わるのか
みなさんには申し訳ないのですが、私は動物園の仕事が第一志望ではありませんでした。動物を飼うのはどうも嫌いで自然のなかで動物と触れるのが好き。野鳥の会に入って野鳥観察指導をしていたのです。
獣医なもんですから、市役所に入って最初はウシやブタの診療をやっていました。それから、食肉衛生検査所というところで6年間に80万頭くらいのウシやブタを殺して肉が食べられるのかどうか検査していました。どの職場も面白かったし動物園はとくに希望してはいなかったのですが、人事異動で野鳥が分かるというので動物園に配属になりました。
私は職業柄、どのような形にせよ動物と関わっていくと思いますが、異動で動物園を離れても(そのときこのホームページはどうしよう) 自然の中に動物を追い求めて楽しんだり、動物園に入れ込んでズーボランティアのスタッフになったりするでしょう。
みなさんの場合も、動物園のスタッフになれなくても、職種がなんであれ動物との関わりは持つことができます。動物とどう関わっていくのか、一度よく考えてみてください。


背景はアミメキリンの模様です。