ヌサ(アイヌの熊の霊送りの祭壇)  のぼりべつクマ牧場:北海道登別市登別温泉町224番地

慰霊の対象:狩猟鳥獣/創設業種:狩猟






のぼりべつクマ牧場ではヒグマの展示ばかりではなく、ヒグマの解説も併設の「ヒグマ博物館」で充実した展示をしている。この点、ペンギンに特化した長崎ペンギン水族館、千歳のサケのふるさと館などに通じるものがある。とくにアイヌの人々と動物の関わりについては、北海道ならではの詳しい展示解説があり、館外にはアイヌの伝統的なチセ(家)の展示もある。また熊の霊送りの儀式に使われたヌサ(祭壇)もそのまま展示してあった。
イヨマンテとして広く知られている熊の霊送りは、飼育している仔熊の霊魂を神の国に送る儀式だが、 写真に示した解説のように、カムイホプニレという狩猟の際の熊送りもあることをはじめて知った。
アイヌの人々は熊はすなわち神であって衣装として熊をまとっているだけだから、死んだらそのときに神々の世界に送ると考えている。この動物観はまさに神話的で、かわいそうとか穢れとかとは別の次元の自然に根ざした感覚だと思う。


撮影日:2004/7/6