習志野の軍馬碑３基￤習志野市八幡公園

軍馬忠魂塔　軍馬之碑　馬頭観世音 八幡公園｜習志野市大久保４－２
N35_41_26_11 E140_03_09_2

慰霊の対象：馬／創設業種：陸軍

(碑文表)馬頭観世音／坂西謹書
(裏面)
昭和六年参月拾日
騎砲兵大隊一同
　林市刻

大きさ(cm)
本体　53W×７D×99.5H

(碑文表)軍馬忠魂塔
(裏面)
昭和十五年七月十日
（かなりの数の文字の跡があるが読めないように削ったようだ)

大きさ(cm)
本体　113W×15D×300H

(碑文表)軍馬之碑

大きさ(cm)
本体　86W×９D×165H

八幡公園の一角に向かって左から「馬頭観世音」、「軍馬忠魂碑」、「軍馬の碑」の３基が並んでいる。さらに「騎兵第一旅團司令部跡」が横に設置されている。
供養碑から離れて公園のほぼ中央に「習志野騎兵旅団発祥の地」の大きな石碑が屹立する。騎兵旅団は明治後期から昭和初期に活躍した。日露戦争（明治37～38年）、満州事変(昭和6年)、支那事変（同12年）で出兵したが、軍用車両が整備されるに従い軍馬の需要が少なくなり、兵員は戦車部隊に再編制されていった。

軍馬忠魂碑は３基の中で最も大きい。昭和十五年建立ということなので、馬の役目が終わったのを契機に、それまで戦死した馬を思いやり供養するために建てたのであろう。裏面には日付がはっきり刻まれているが、その左の文字がすべて削られている。おそらくは建立者の名前だろう。戦争が鼓舞された時代、敗戦国となり戦争責任が問われた時代、反戦の時代と、時代の変遷のどこかで、名前を載せることがはばかられたことがあったのだろう。

上写真左は馬頭観世音の裏面、右は軍馬忠魂碑の裏面で消されているが文字の跡が分かる。

参考になる石碑

(碑文表)騎兵第一旅團司令部跡
(裏面)
昭和●十六年六月六日　建之

大きさ(cm)
本体　23W×23D×166H　

「習志野騎兵旅団発祥の地」横の解説
碑誌
騎兵第一　第ニ旅団は　明治三十四年十二月この地に創設せら
れ　日本陸軍最初の快速兵団として発祥した　第一旅団に属す
る第十三　第十四聯隊　第二旅団に属する第十五　第十六聯隊
は堂々と甍を連ね　大久保の地は一転して一大衛戍地となった
この地習志野の名は　明治六年　明治天皇行幸して親しく軍
隊の調練を天覧せられし際　将来に亙り軍が操練に励むべき地
として特に命名せられたるもの　いま騎兵旅団の設置を見るに
及び　正にその聖旨に副い名実相伴うに至ったのである
明治三十七八年日露戰争に當り　両旅団は共に満州に出征　よ
く機動性を発揮し　果敢善戰赫々たる戰績を収めて凱旋した　
尓来約３千の将兵は人馬一体となり　日夜習志野原頭を馳駆し
て練武を重ね　輝く騎兵精神を培った　一面の草原は生気に満
ち　聯隊旅団を挙げての乗馬襲撃など正に壮観そのものであっ
た　かくて習志野騎兵旅団は陸軍の華と謳われ　地域住民の親
愛と協力の下に　軍民一致輝かしい一時代を経過した
満州事変の勃発するや　昭和七年第一旅団はこれに出動して各
地に転戰し　引き続きそのまま満州ハイラルに駐屯　　さらに支那
事変に活躍して偉功を樹てた　この間第二旅団は終始この地に
衛戍して訓練を続け　また各種部隊の編成補充に任じた　時代
の変遷に伴い騎兵部隊は逐次機械化の途を辿るに至り　第二旅
団は昭和十六年　第一旅団は同十七年それぞれ戰車部隊に改編
せられ　ここに騎兵旅団の歴史は終りを告げたのである　発祥
以来この地で訓練された壮丁は関東全域及び山梨長野両県下か
ら選抜せられ　　その数延数万に及び　軍馬は北海道及び東北地
方から補充せられ延一万余頭に達した　この中には幾多の尊い
戰歿犠牲となった人馬があることを銘記しなければならない
大東亜戦争後　習志野の地はその様相を一変し　広茫としてい
た習志野原も周辺の地域と共にその殆どが都市化せられ　旧
兵営もその姿を変えるに至ったが　この地が騎兵旅団と共に歩
んだ４０年は　習志野発展史上特に意義深い一時代を画したも
のというべきである　その由緒を記念するため　関係者有志七
百余名の思いをこめてこの碑は建てられた
希くは　習志野の地が永く栄光ある発展を遂げんことをと祈念
し　ここにその由来を誌す
昭和５１年４月　　　　　　　　　　　　　建設委員一同

撮影日：2012/03/11