不良債権問題自体は、他の国々においても別に珍しい話ではなく、 IMF加盟国の3分の2は何らかの形で不良債権問題に端を発した銀行危機を経験している。 しかしそれらの国のほとんどは、銀行危機を3年から5年以内に終結させている。(p110) 日本では申請主義をとっているから、経営責任は追及できないし、 抜本的なリストラも求められないし、支払金利は特別優遇金利にせざるを得ない。 お金が持つ本質的なパラドックスは、その価値の源泉が「皆の思いこみ」に過ぎないという点にある。 (p258) 銀行システムの足腰がしっかりしていないために、日本銀行が供給しているおカネが、 タンス預金という形で社会全体の資金循環の輪から洩れてしまっている。 しまも、物価が下落しているから、現金のまま持っていても損をしない。 足下の深刻なデフレを見ていると荒唐無稽な笑い話のようだが、 おカネが普通に回りだし、ガソリンがかけられた乾いた薪に火がつけば、 ハイパーインフレーションだって発生しかねない。 国の借金である国債を中央銀行に際限なく引き受けさせれば、 必ずその後でインフレーションという災厄が襲いかかってくる。 注射ではなく、激痛の小泉改革 とっくの昔に進退窮まっていたはずの企業が破綻する、 本当は何年も前に発生していたはずの大量の失業者が出る―― モルヒネの大量使用によって隠蔽されてきた現実が、改革の進展とともに、醜い姿を剥き出しにしてくる。 おどろおどろしい不良債権(=不良企業)の実態が、ついにわれわれの前にさらされる時がきた。 ひょっとすると、そのときになって初めて、少なからぬ国民は、 小泉改革が「風邪の治療」でなかったことに気付くのかもしれない。 こんなはずじゃなかった……「麻薬中毒症」の禁断症状が全身に迸る中で、 改革を支持したことを悔やみ始めるかもしれない。 週間 木村剛 創刊号は「05.年金問題を斬る」が特集コーナー 小説ペイオフ ―通貨が堕落す...講談社文庫 2003年12月30日、銀行一斉モラトリアム宣言へ。そして2004年3月末、ペイオフ凍結が解禁される――。 日本の金融システムが機能不全に陥るまで、政府、日銀、与党、そして破綻銀行は「迷走」を繰り返してきたかに見える。 だが、このシナリオには陰の「演出者」がいた! |