「ほらー、OOちゃん、そっちは行かないでー、、。」
ちょろちょろと歩き回る幼児に母親が叫びながらついて回っている。
公園でのおなじみの光景、、ボーっと眺めながら、ふと思う。
私も一度くらい、あんなふうに我が子を追いかけてみたかったな～と。
我が家の娘は二人とも人見知りがスゴイ。どこへ行っても私の足元に隠れてじっと固まって
しまう。とくに現在４歳の次女Lには手をやいた。
何せすぐ裏に住む祖父母にすら心を開かなかった彼女。３歳児検診の時は先生に体を触ら
せず大泣き。あきれた先生が「これはひどいねー、一度心理相談してみたら？」と一言。
心理相談？やはりLは特別なの、、、？、、とショック状態で
考え込んでしまった私。
落ち込んだ私の話を聞いた父が「その医
者に自分が心理相談に行けって、言って
やれ」と一言。
ようやく我に返って私は「そうだよね、うん
、そうだ、そうだ。」といつもの楽天家に戻
っていた。
そんなLも幼稚園入園をひかえた今年の
お正月。彼女の２００２年の目標は”かたまらない”
たどたどしい字で色紙に書いた”かたまらない”は、
早速、部屋に飾られたのだが、、、。４月になり入園したL、何とか毎日バスに乗って出掛け
てくれるようになったのだが、、、。ママと離れての初めての生活、かたまってばかりもいら
れないようで、心身共に張りつめてすごい顔で帰って来る。そして家へ入るやいなや、壊れ
始める。着替えが無いや、靴下が汚いや、何かみつけてはダダをこね始め、あげくの果て
は大声で泣きわめく。興奮状態が収まるまで泣き続けること２時間。
今度は泣き疲れてぐったり。夕方になると、もう体力も無くなりグズグズ、急いで寝かせると１
時間後には夜泣き。その後、寝ては泣きが続き２人ともフラフラ、、、。真夜中、Lを抱いて
家の回りをお散歩しながらLはLなりに違う環境の中でとまどっているんだ、、、と、
心に言い聞かせる。しかし、とにかく泣き方がスゴイ。
声がかれるほどギャーギャー泣くので一
緒にいる者はたまらない。「うるさ～い」な
んて姉のEが怒鳴ろうものならますますボ
リュームが上がる。
毎日続く騒音に皆、ストレスが溜まってき
た。ある日、たまりかねて耳栓を買いに行
った。今や耳栓も色々あるもので、カラフ
ルなものをあれこれ買ってきた。ギャーと始まると、
「耳栓用意ー」とEが叫ぶ。
皆一斉に耳栓をする。「今日はどれにしようかな～」なんてEがまよっていると泣きながら横
目で見ていたLが、「わたし、ピンクのがいい。」と言う。
「あなたは、自分で泣いているのだから、いらないの。」とEに言われ「ピンクの、ちょうだい、
もう泣かないから、、」と、ピタっと泣き止んだ。それ以来、よほど耳栓がお気に召したらしい
L。出掛ける時も、しっかり持ち歩いていた。しかし、、、何の為に、、、？
自分が泣かなければ、使い道が無いことに、何となく気づいたかイライラ、ムシャクシャしてく
ると自ら耳栓を付け始めるようになったL。そしてそれが合図のようにギャーと始まる恐怖の
時間。気がついたら、Lの帰りがコワクなっている私、、、そして極めつけに Ｌの頭に小さな
ハゲを発見、、、、。忘れていた”心理相談”が、頭をよぎり根っからの楽天家も暗くなってき
た。ところが間もなく夏休みというある日、「夏休みは、お友達に会えないから、イヤだな～。
」とさみしそうに言う Ｌ。そういえばこのところ夜泣きの回数が減っていた。もしかして良い
兆しなのでは、、、。
そんなある日、父兄の集まりで幼稚園へでかけた私。何気なくLのお教室を覗くと、楽しそう
にお友達と遊んでいるLの姿が、、入園以来初めて見る固まっていないLの表情を見て、涙
が出
るほど嬉しかった。
そして夏休みも
終わり２学期に。
「ママ幼稚園もお
うちと同じみたい
になってきたよ。
」と嬉しそうに話
すL。LはLなりの
ペースで一歩一
歩成長していた
のだ。
焦らず大きな心で見
守っていこう。２００２
年はまだ終わってい
ない。
Lの目標も実現する日は近いのかも知れない。
朝、元気にバスに乗り込む Ｌの小さな背中に”がんばれ！がんばれ！”
と無言のエールを送る私なのである。 |
