渡辺 力の研究内容

これまでの研究
これまで、比較的小さな空間スケールにおける植生と大気の相互作用過程 について、観測と数値モデル解析を併用した研究を行ってきました。 その主なテーマは次の通りです。

・植物群落の密度や構造と地表面パラメタ(運動量・熱・水蒸気に対する 地表面粗度や ゼロ面変位など)との関係の解明
・森林の熱・水収支や二酸化炭素フラックスの長期変動に関する観測研究
・Large Eddy Simulation を用いた植物群落近傍に発達する乱流の解析
・植物群落の動態を含めた植生-大気相互作用モデルの開発

今後の研究
今後も、植生地を含む陸面と大気の相互作用を、多角的な視点から研究して いきたいと思います。そのために、従来の研究分野の枠組みにはとらわれず、 さまざまな分野の研究を同時並行的に進めて行きたいと思っています。 当面の研究の柱は次の3項目です。

1)大気境界層プロセス
大気境界層における、乱流から局地循環に至る広範な時空間スケールの 諸現象を、それ自体の形成メカニズムと各種物理量のフラックス形成という 観点から解析し、大気と陸面とのインターフェイスとしての役割を明らかに する必要があります。

2)生態系プロセス
陸面における熱・水収支や二酸化炭素など温室効果気体の吸収・放出に おいて、森林等の陸上生態系が果たす役割を定量化し、モデル化する研究が 必要です。

3)水文プロセス
土壌中の水分移動や雪氷過程などの水文プロセスもまた、陸面―大気間の 相互作用過程において重要な役割を果たしています。特に寒冷域では、 積雪や凍土などの雪氷現象が植生活動に大きな影響を及ぼしていますので、 その過程を理解する必要があります。

これら3つのプロセスは、自然界において独立に機能しているのではなく、 互いに影響を及ぼし合っています。研究を進めるにあたっては、個々の プロセスに関する個別の理解を深めることはもとより、各プロセス間の 微妙なバランスをも理解しつつ、究極的には、陸面・生態系と気候との 相互作用を包括的に知っていくことが目標です。


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