145. 明治神宮(2)

著者=近藤 純正
明治神宮境内の北のほうには宝仏殿があり、広い芝地には「さざれ石」や亀石がある。 (完成:2015年10月12日)

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明治神宮境内の面積は70万平方メートル、南参道鳥居から北参道鳥居までの距離は約1000 メートルである。北西方には西参道鳥居がある。境内中央に御社殿がある(写真145.1)。その両脇 の大木は形が整えられている、あるいは自然にまるく整ったのかもしれない。

大鳥居
写真145.1 明治神宮御社殿。

2015年の夏は、明治神宮境内に何度も通い、森の中の気温分布を観測している。猛暑にも かかわらず、中国人や欧米人たちが多い。

明治神宮の南参道鳥居前や境内には、明治天皇の御製が大きな文字で掲示されている。私たちの 小学校の時代、御製が何度も教育に使われていたことを思い出す。神社のパンフレットの7月版に 次の御製がある。

明治天皇御製
おもふこと常にたえせぬ世にしあれば 心はひろくもつべかりけり
(解説: 次から次へと、もの思いの絶えないこの世の中ですから、心ばかりは広くゆったりと かまえて過ごしたいものです)。

大鳥居
写真145.2 隔雲亭。

本殿の南の方に広がる森は明治神宮御苑である。御苑北入口から入っていくと、隔雲亭があり (写真145.2)、案内板には次の説明がある。

元の隔雲亭は明治33年、明治天皇の御思召により皇后様のために建てられましたが、戦災により 消失したので、昭和33年篤志の寄付と社殿御造営残材とにより一部増築して再建したもので あります。

隔雲亭の英語案内には茶室と書かれているので、茶会なども行われたであろう。

隔雲亭の前庭は斜面になっており、きれいに整備されている。その下の南池に張りだした御釣台がある。 これは、「明治天皇の思召しにより設けられ、皇后様には時々御釣を楽しまれたと伝えられています」 と説明されている。

境内の最北部には宝仏殿があり(写真145.3)、前庭には広い芝地が広がり国旗が掲揚されている。

大鳥居
写真145.3 宝仏殿。

大鳥居
写真145.4 さざれ石。

国旗掲揚台の傍らに「さざれ石」が置かれている(写真145.4)。国歌「君が代」に歌われているさざれ石 である。

説明板によれば、このさざれ石は、大小の石灰岩の角礫が集まったもので、学名は「石灰質角礫岩」 である。もともと小さな石「細石(さざれいし)」の意味であるが、長い年月をかけて雨水などに 溶け出した石灰分が沈着し、小石を凝結して少しずつ大きくなってでき上がっている。ここに 置かれているさざれ石は、岐阜県揖斐郡春日村の山中で採取され、奉納されたものである。

7月20日のこと、境内の所々に設置してある気温計の見回りを終えて、さざれ石の方へ向かって いると、ひとりの女性が「亀石に行きたいですが、どちらの道を行けばよいでしょうか?」と 訊かれた。「私はさざれ石は知っていますが、亀石もありますか?」と問うと、 「広い芝生地にあると聞いています」というので、それならばさざれ石の近くである。

これまで「亀石」に気づかなかったが、芝地の広がる北池のそばに形が亀にそっくりの「亀石」が あった。北池には亀もいて、ときどき甲羅干しをしている。この「亀石」も甲羅干ししているように 見える。30℃を超すこの暑い日向で亀石に乗って池を眺めるのも気分がよろしかろう(写真145.5)。

大鳥居
写真145.5 亀石。

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