138. 自然教育園

著者=近藤 純正
東京白金台にある自然教育園でも気温観測を続けている。(完成:2015年6月28日)

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東京都港区白金台に国立科学博物館附属自然教育園がある。自然教育園のパンフレット には次のように歴史が書かれている。

自然教育園の生い立ちは、今から400~500年前の豪族の館からはじまります。 江戸時代は、高松藩主松平頼重の下屋敷となり、明治時代は陸・海軍の火薬庫、 大正時代には白金御料地と歴史を重ねてきました。この間は、一般の人々が立ち入る ことができなかったため、この地に豊かな自然が残されました。昭和24年 (1949年)に天然記念物および史跡に指定され、一般に公開されるように なりました。

ここはJR山手線の目黒駅の東、歩いて約10分の距離にあり、東京のど真ん中に 残された素晴らしい自然がある。入園料は一般が310円、65歳以上と高校生以下 は無料である。都民の散歩コースにも適している(写真138.1)。

正門
写真138.1 自然教育園の正門。

入口の建物は教育管理棟であり、自然教育園の自然を紹介した動・植物のはく製や写真 が展示され、休憩スペースもある。

園内に入ると「路傍植物園」があり園路脇には道ばたに生育している植物が見える (写真138.2)。カメラを持った人たちはフクジュソウやカタクリなどひざまずいて 撮影する。園内では、四季折々の草花が見られ、写真一覧も配布されるので見学に 便利である。

正門
写真138.2 園内の通路。

この森は、シイ、マツなどの常緑樹やコナラ、ケヤキなどの落葉樹に広く覆われている。 池や湿地、草原などがある。園内には「武蔵野植物園」があり、武蔵野の雑木林に 生育する野草類などが見られる。

「水生植物園」と湿地には、池や湿地に生育する植物が見られる(写真138.3)。 池にはメダカなどの魚も生息し、カルガモやカワセミなどの鳥も見られる。

正門
写真138.3 水生植物園。

この自然教育園内で、気温計8台を使って場所や高さによる気温の違いを観測している。 数年前の4月にも観測したことがあり、今回は2014年11月14日 から連続して観測している(写真138.4)。

正門
写真138.4 自然教育園の旧管理棟跡地に設置した気温観測装置。

多くの学者の常識では「森林内はビルの多い市街域に比べて気温が低い」と言われて いるが、この常識は正しいわけではない。この間違った常識を正す目的で私たちは 観測している。森林内でも特に空が見える木漏れ日が入る場所ではビルの多い市街域 よりも日中の気温は1℃ほど高いことがある。

自然教育園の隣には、東京都庭園美術館がある(写真138.5)。以前に私はこの美術館で 行なわれた美術展を見学したことがある。この庭に掲示された案内板に、 次のように説明されている。

旧朝香宮邸
朝香宮家(あさかのみやけ)の本邸として、昭和8年(1933年)5月 に竣工した建物である。一部内装の基本設計はフランスの装飾美術家アンリ・ラパンが 担当し、実施設計は宮内省内匠寮(たくみりょう)工務課技師の権藤要吉らが分担して 行なった。(―中略―)室内装飾には二十世紀の初めの最も先進的で、 最後の装飾芸術であったアール・デコ様式が随所に採用され、新鮮で華やかな意匠に 満ちていた。現在は美術館として使用されているが、内部の改装は僅少で アール・デコ様式を正確に留め、昭和初期の東京における文化受容の様相を うかがうことができる貴重な歴史的建造物である。

正門
写真138.5 東京都庭園美術館(旧朝香宮家邸)。

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