A09.奥日光観測所見学、2011年9月8日

編者:近藤純正
2011年9月8日に開催した奥日光特別地域気象観測所の見学会についての報告である。 栃木県の中禅寺湖の近くに設置されている奥日光気象観測所は、地球温暖化など気候変化の監視に適した 内陸の代表的な観測所である。このことを地元の方に理解していただくために講演会と観測所の見学会 を開催した。 (完成:2011年9月15日、9.3節の最後に追記:9月22日)

本ホームページに掲載の内容は著作物であるので、 引用・利用に際しては”近藤純正ホームページ”からの引用であることを 明記のこと。

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更新記録
2011年9月11日:概要の作成
2011年9月12日:ほぼ完成
2011年9月22日:9.3節最後に草刈のことを追記


	目次
        9.1 はしがき         
        9.2 気候観測を応援する会:新メンバー
        9.3 観測所の見学会(2011年9月8日)
             参加者
             観測所の沿革
             現在の観測状況
        9.4 男体山と中禅寺湖
        9.5 以前に撮影した観測所の写真


9.1 はしがき

筆者・近藤純正が、最初に日光市中宮祠に設置されている奥日光気象観測所(旧日光測候所、奥日光特別地域 気象観測所)を見学したのは2007年7月25日である。そのとき、観測所周辺の昔からの状況について 教えてくださったのが小島貴美男さん(現在の中宮祠自治会長)であった。

詳細は、「写真の記録」の「75.日光と宇都宮の観測所」の (3)(4)を参照のこと。

この観測所は周辺環境に多少の変化はあるが、他所で見られるように大きな建築物が建つなど の劇的な変化はなく、観測の必須条件である「日当たりと風通しの良さ」が保たれている。そのため、 地球温暖化の監視上、内陸では数少ない重要な気候観測所(奥日光、飯田、津山)の一つである。

このことを地元の皆さんに 知っていただくために、講演会と見学会を開催したいと考え、小島貴美男さんに2010年8月18日に 連絡したところ、さっそく、小島さんは講演会場と日程を決めてくださり、講演会・見学会開催に ついての回覧をしてくださった。

2011年9月8日(木)の13:00~14:30に奥日光コミュニティセンターにおいて講演会 「気候変動と社会ー歴史に学び未来に生かそう」、続いて15:00~16:00に観測所の 見学会を行った。

講演概要は、
(1)気候変動と社会・・・・天保大飢饉の例と、災害克服の歴史
(2)人為的原因による気候変動・・・・地球温暖化と都市の熱汚染の実態
(3)観測環境の維持・・・・観測所の環境維持に住民の協力が必要

講演会
写真9.1 講演会場の写真(参加者25名)。

講演会と観測所見学会の写真は松島大さんによる撮影、最後の章に掲載した以前の写真のうち 2008年7月27日(猿の写真)と2011年8月12日の写真は大門禎広さんによるものである。

9.2 気候観測を応援する会:新メンバー(敬称略)

今回の見学会を機会に新しい入会者が8名あった(2011年9月10日現在)。

日光市中宮祠
小島喜美男(自治会長)
赤坂毅(環境省自然公園指導員、日光パークボランティア)
岡本尚雄(県立日光自然博物館友の会事務局長)
堺 恵子

日光市湯元
辻岡幹夫(自然公園財団日光支部所長、気象予報士)

宇都宮市
新井 章(日光パークボランティア)

小山市
鈴木春厚(日光パークボランティア)

東京都荒川区
與語基宏(気象予報士会常務理事)

9.3 観測所の見学会(2011年9月8日(木)、15:00~16:00)

参加者(合計21名)(敬称略)
大門禎広
小島喜美男
赤坂 毅
岡本尚雄
堺 恵子
新井 章
鈴木春厚
松島 大
近藤純正

そのほか一般の参加者として、地元日光市から9名、宇都宮市から3名があった。

観測所の沿革
昭和18(1943)年10月1日:中宮祠観測所として創立
昭和25(1950)年6月1日:中宮祠測候所に名称変更
昭和43(1968)年4月1日:日光測候所に名称変更
平成9(1997)年3月1日:無人化となり日光特別地域気象観測所
場所は日光市中宮祠2478-12、標高=1292m

詳しくは、「写真の記録」の「75.日光と宇都宮の観測所」の (3)(4)を参照のこと。

現在の観測状況
観測所の北側には、旧測候所の庁舎と宿舎があったが、無人化後しばらく経ってから 日光二荒山(ふたらさん)神社の敷地となっている。

日光二荒山神社中宮祠部の権禰宜(ごんねぎ)の町井康祐さんの許しをえて、この敷地に見学者が 入って南側敷地の観測所を見学した。現在使用されている観測機器の電気式気圧計、通風筒内の 電気式温度計と電気式湿度計、風車型風向風速計、風除け付きの転倒ます型雨量計、感雨計、レーザー 光を利用した光電式積雪計、日照計、視程計について測定原理を説明した。

露場
写真9.2 奥日光観測所の露場、北側から南東方向(2011年9月8日撮影)。

フェンス越しの説明
写真9.3 観測所北側の敷地から観測所を見学、西から東方向を撮影。

神社敷地内での説明
写真9.4 観測所北側の敷地にて見学者の自己紹介、東から西方向を撮影。

地元の方によれば、観測所の草刈は年間に1回か2回しか行われておらず、今年は7月28日に 草刈が行われたという。それから40日が経過しているので、雑草が生えているものと想像して いたが、「昨日(7日)のこと、気象台の車が来て草刈していた」とのことで、観測露場はきれいに 整備されてあった。

今後の環境整備上の注意点
アメダスなどと違って、奥日光観測所は重要な気候観測所の一つであるので、草刈は年間に3回以上 行うことが必要であろう。このことを担当の宇都宮地方気象台に提案しておきたい。

追記(9月22日)
気象台に確かめたところ、草刈は基本的に年に3回(2回はシルバー人材センターに委託で、1回は 気象台職員が)行っているとのこと。
最近の草刈が行われたのは9月7日ではなく6日であったとのこと。それは9月はじめの台風による 800mmを超える大雨をうけて、観測機器の状態確認等のために気象台職員が出向き、その際に 草刈を行ったという。

6.4 男体山と中禅寺湖

男体山
写真9.5 男体山(二荒山:標高2486m)、中禅寺湖橋から北方向を撮影。奥日光気象観測所は この鳥居の東(右方)約300mの地点から北向きに坂を少し上がった所にある。(2011年9月9日撮影)

中禅寺湖
写真9.6 中禅寺湖、中禅寺湖橋から西方向を撮影。(2011年9月9日撮影)

中禅寺湖は2万年前に男体山の噴火でできた堰止め湖である。この水は華厳の瀧へと流れている。

6.5 以前に撮影した写真

2007年7月25日に撮影した写真は、「写真の記録」の 「75.日光と宇都宮の観測所」の(3)に掲載してある。

その後、大門禎広さんがときどき観測所を視察にきているので、大門さんによる写真を以下に 示しておく。

猿の写真
写真9.7 2008年7月27日に撮影した猿(観測所の北東隅のフェンス上)。

この付近には、野生の猿が生息し、時には観測機器にいたずらをする可能性があると考えられる。

気象観測装置には、昆虫などが巣を作り計器が作動しなくなった例もあるので、気象台担当者は 目視と計器指示の異常に絶えず注意していなければならない。その例が「研究の指針」の 「K49. 長期気候データの解析上の注意」の49.2章(b)-事例9:見かけ上の無降水期間に 掲載されている。

敷地外からの観測所
写真9.8 2011年8月12日の観測所、東側の門扉外から撮影。

露場
写真9.9  2011年8月12日の観測所、東側道路から撮影。(地元の方によれば、直前の草刈は 7月28日に行われたという。)

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