仰角の測量とその利用上の注意
仰角の測量とその利用に際して、次の注意が必要である。
(1)仰角α<1.8°のときの取扱い
はるか遠方に障害物があっても、X/h>30~40の距離つまりα<1.4°~1.9°の角度の
とき、露場通風率は100%となるので(あるいはα=0のときX/h=∞となり発散する
ので)、X/hの計算を行う場合に限りα<1.8°はα=1.8°と置き換えてX/h=1/tanα
を計算する。
したがって、α<1.8°のときのX/h=1/tanα=31.8(最大値)となる。
ただし、αの全方位の平均値<α>は測量値のαを用いて計算する。傾斜地では、
標高の低い方位でα<0となることが多い。
傾斜地では風は斜面に沿って吹くので、傾斜角を考慮して仰角を補正する(例:宮古)。
(2)樹木等の場合、仰角の平均値を読む
測量時の仰角αは瞬間値ではなく、視界内の方位2°範囲の平均値を読み取る。
なお、測量に用いている簡易セオドライト(牛方式ポケットコンパス=レベルトラコン
LS-25、望遠鏡倍率=12倍)の視界は2°40’であり、気象台が使用している
レーザー距離計(トゥルーパルス360、望遠鏡倍率=7倍)の視界=6.5°である。
(3)露場通風率と露場広さの関係を調べるときの移動平均値
露場通風率と露場広さ X/h の関係を表す場合、X/h は方位±20°範囲の平均値を
用いる(方位5°ごとに測った仰角9点の移動平均値)。
その理由は、風向は10分間
程度の短時間でも左右に変動し、それら方位にある障害物の影響を受けるからである。
(4) 電柱などの取り扱い
遠くの電柱などは露場風速に影響しない。それゆえ、視界内の
方位2°未満に見える遠くの電柱などは無視する。ただし、細くても群構造体
となり露場の風速に影響するとみなされる物体は無視しない。
また、露場内に設置されている機器、その他は無視する。