L02 感想文「半乾燥草原域の地表面水収支を知るために」
(HK) 2006年4月10日
「身近な気象」の「M17.砂時計に観る地球の自然」
乾燥域の大気-土壌間の水蒸気交換のしくみがよく理解できました.
そして水蒸気交換量を適切に評価するためには,従来の観測方法よりも,
土壌の水分特性を知り土壌の含水率と大気の水蒸気量を測るという乾燥域
に適した方法に基づいて評価することが重要とわかりました.
私は,モンゴルの半乾燥草原域で取得された微気象観測資料を利用する機会
を得ました.この資料を解析したところ,2004 年の降水量は 160.5 mm/y,
蒸発量は 129.7 mm/y という結果を得ました.つまり年間降水量の
約 81 % が蒸発したことになります.ただし,この蒸発量は渦相関法で
観測されており,この地域の地表面水収支を正しく評価しているとは断定
できません.
私の研究対象は半乾燥草原域ですが,先生がご提案されている乾燥域に
適した方法で蒸発量を評価してみようと考えています.そして渦相関法との
比較も交えて,この地域の蒸発量を評価するためにはどのような方法が
適切なのかを知りたいと考えています.
[編者のメモ] そうですね、ぜひともすすめてください。
だだし、「M17.砂時計に観る地球の自然」で説明したのは、おもに砂地など
裸地を対象にした内容です。あなたの対象地域が草の生えている期間の
長い所であれば、蒸発効率が季節によってどのように変わるか、評価してみ
ればよいと思います。蒸発効率と草丈や土壌水分との関係が明らかになれば、
観測がやや難しい渦相関法など用いずとも、今後は簡単なデータだけで
長期の水収支・熱収支量を評価できる手法が得られると思います。
現在の基礎研究が、それにつながれば大きな貢献です。期待しています。