χενο

僕は弓矢の射方もリラの奏で方も知っているが

あなたとの交わり方が分からない

妄りには唱えてはいけない異国の神の名をも洒落にするが

あなたの名を耳元で囁く手管を知らない



苔むした森を彷徨うのはあなたとの褥を探すため

かしずこうとするオンナを踏んであなたを詩にする

僕のファロスは霧に濡れはするが

船を導く光を放つことはない

険しい岩場を跳梁するのはこの思慕を振りほどくため



あなたはそのときサンダルを脱ぐだろうか

そのとき舌を咬みきるほど怖れるのか

あなたはそれとも、パンの笛の音のように戯れるのか

僕は、「知る」だろうか



僕は靄の中でしか立ち上がらない

僕の手はあなたの乳房を鷲掴むことができるだろうか

誰ひとりとて見たことのない

僕のたてがみをあなたは弄るだろうか