結末は90秒後

旅先で出遭ったウォシュレットの
ボタンが「スタート」だったりしたら、どうします?
私は迷いました、たっぷり3分は
いつでもパンツだけは穿けるように
しっかりと身構えたうえで私はついに
スタートボタンに手を伸ばしました
しかし私がボタンを押そうと
指に力を入れたまさにその時!

  「おいしい涼しい麺が、できましたぁー
   コシがあるのにキレがいい
   その喉ごしは、南極クラス
    - 流 氷 麺 -

   遺伝子組換え小麦は使用しておりません」

まさにボタンを押そうと私が
人差指に力を入れたまさにその時
便座から声が出ました
「タイムアップ!」
私の心拍数は一気に300
--タイムアップ??
「時間切れです」
--時間切れ??
「もう一度、初めからやり直して下さい」

--もう出ない

   「陰謀、裏切り、シンジケート、侵入
    巡り合い、情事接続、駆け引き、愛別離苦
    -この映画はタマゴッチを超えた-
    秘密、しとどに濡れる鼠蹊部、タイムトラベル、パラドキシカル
    -号泣させられる、ハッピーエンドに…-
    -貴方は、このおぞましいタイトルロールを静観できるか?-
    イメージ写真です、仕訳不能の領収書、遅延証明、大目玉
    -犯人は、ユアン・マクレガーだ、とだけしか言えない-
     私 を 殺 し た の は 誰 ?
     KILLING ME SOFTLY

    絶賛上映中」

仕方がないので鞄からコーラのボトルを取り出し
中身を少しだけ便器の中にジョボジョボ
流し入れてから再び着席です
私は
ゆっくりと
ボタンを
押しました

そうして今、私は
ここにいます
愛しい貴男の許に
2002.07.17