空のない
オーロラ・タウンで男の子は待っている
マネキンの顔で

海から遠い
カリブ・ホテルの虚ろなロビーで少女は
泥のように眠る

僕らは子供たちを
置き去りにした、子猫をゴミ箱に
投げ捨てるように
僕らは子供に名付けなかった
僕らの認識の手段は
レイプと殺人、そしてディスプレー
僕らは子供を捨て、ラッキーカラーを占い
1時間だけ残業をして
家に帰ってはテレビを見て涙ぐむ
捨てられた子供たちの顔のモザイク
ああ、あの男の子に抽象的な名がつけられ
少女のアンクレットが刹那に揺れる

星の消えた
ターミナルの最終電車の表示が
かすかな音を立てる

風が辿り着く
ジャンクの帆布のはためきに
子供は寝言を呟く

僕らは土曜の午前9時を睡り続ける
夢を見た、夢を見た、夢を見た
彼/彼女に会った。夢だったんだな
そしてその夢の続きを見るために
もう一人の子供を置き去りにする
素敵な猿轡を咬ませてあげよう
夢でもその子と分かるように

僕らは子供を知らなかった
知りたいのはホームページのアクセス数
ほら、女の子の腎臓がマニラのアイスボックスで凍え
少年のでたらめな歌がサンプリングされる
なんて美しい子供たち
ジグソーパズルの街並みと、パンゲアの地平
ラムジェットに仄暗く光る、懐中時計の文字盤
僕らの生まれる前の日の、少女のコサージュ
僕らの思い出のない邑の、量子コンピュータと少年

春のない
乾式ドックの底で彼は佇む
僕らそっくりのうな垂れ方で

雨の匂いを忘れた
鳥葬の高台が彼女の故郷だと言う
僕らのアクセントでそう言う

夢、現実、夢の向こう側、現実の狭間、夢の約束
現実の消去、夢のジェネシス、現実
の親鳥の翼の下、サルガッソーの羊水のたゆたい
子供たちは卵のままでいる
僕らは腐りかけのクランベリー・タルトを悔恨に見立て
ホログラムのワイドショーの無邪気な殺戮から目を背けよう
そのとき、マクスウェルがドアをノック・ノック

草のない
衛星の第十七階層を男の子が飛ぶ
オリハルコンの羽根で

時のない
ラフレシアの花弁の上を少女が滑る
僕らのサボを脱いだ素足で

om mani padme hum
omnia vincit amor

 (All You Need Is Love)
omega back to alpha
omphalotomized, us, us...

 (Not the One above)