○世界初の鳥漫才
 我が家にはセキセイインコの「トトちゃん」がいます。
 喋ります。「トトちゃん」「キーちゃん」「クリくん」「おねんね」「おはよう」
 「行く?」「おちく(おしっこに行く?)」「ミカン食べた〜い」「お散歩行きた〜い」
 「ちゃむいねぇ」「暑いねぇ」「お友達っ!」「おいち〜い」「はい」
「最初はグッ、じゃんけんぽん」「飛びます、飛びます」等、数十の言葉を操ります。
 「おはよう」は朝、「おねんね」は夕方自分が眠くなった時にしか言いません。
 教えてないのに覚えた言葉「よいしょ」「えへん、えへん(僕の咳払い)」「だめでしょ」
 歌も5曲ぐらい覚えました。
 「桃太郎」「大きな栗の木の下で」「ハッピーバースデイ」「おもちゃのマーチ」その他オリジナル。
 この間新しい言葉を教えました。今はそれがお気に入り。
 それは「もしも私が鳥ならば…」という、英語の教科書に出てくる決まり文句。
 今は僕の肩に停まって「もしも私が鳥ならば…」とボケたら、
 「おめぇはすでに鳥だろっ」と、突っ込むことにしています。
 ただし体重が40gしかないので激しい突っ込みは危険です。

○命知らずのお涼み
 以前実家で飼っていたインコのゴローの話。
 外に逃げた形跡は皆無。どの部屋にもいない。暑い夏の日でした。
 僕らは1時間ほどで、どうにかして外に出てしまったのだ、と結論しかかりました。
 妹は泣いていました。
 「しょうがないね」と母親が冷蔵庫を開けると、
 なんと奥の方で、ゴローが「涼んで」いたのです。ピーとも鳴かずに。
 どうやら誰かの肩に乗っかっていて、冷蔵庫が開いた途端、するりと入ったらしいのです。
 人騒がせな鳥め。涼んでいたのでしょうが、さすがに冷蔵庫は寒かったらしく、
 しばらく動きが緩慢でした。

○決死の散歩
 札幌の実家は、藻岩山という小さな山の南斜面にあり、上はスキー場です。
 パートナーのキーちゃんと里帰りした、あるお正月の話。
 その頃実家には「ハッピー」という唯我独尊の犬がいたのですが、
 二人は犬好きなのでいつも散歩に連れて行きます。
 その日は好天に恵まれていました。ふたりはどんどん上まで登っていきます。
 スキー場まで行きました。もう疲れた。
 さあ、帰ろう。僕が綱を握っていました。下り坂で、しかも…、
 アイスバーンでした。どんどんスピードがついて、ついに転倒。
 「絵に描いた尻餅」です。痛いのなんの。経験者なら分かると思いますが、
 一瞬失神しそうな痛さです。からだもどこか激しく打っています。
 それでも「ハッピー」はどんどん降りていくのです。
 身動きできない僕を引きずって…。パニックです。
 キーちゃんが止めてくれなかったら、僕は遭難していたと思います。
 しかしキーちゃんは涙を流して笑っています。コントみたいだって。
 さぞやモンティ・パイソンのようだったでしょう。
 で、次にキーちゃんがすぐに転んで引きずられました。
 でも僕には笑えませんでした。あの痛さを知っていたからです。

○ハムスターの悲劇(バグルス)
 ハムスターを飼ったことがあります。ケンタという名前でした。
 最初プラスチック製の箱で飼っていましたが、強じんな歯で穴を開け、
 脱走しました。居間を走っているのを見て、家族は驚愕しました。
 鼠だと思ったのです。捕まえてブリキの箱に入れました。
 今度はカリカリカリカリ、うるさくて寝られません。
 次は木の箱。すぐに脱走です。どうしよう。考えたうえ、
 とりあえず金網で出来た「鼠取り」に入れることにしました。
 これだとさほどうるさくなく、脱走不可能なアルカトラズと判断したのです。
 2.3日後、ケンタは死んでいました。
 原因は分かりませんが、鼠取りがいけなかったのかも知れません。
 今でもたまに思い出して、ちょっと悲しくなります。