折れた鼻で土を食べる時刻

死ぬときに 僕は泣くだろう

土を食べる人に 鼻をへし折られる ビキッとね
ここではない部屋の匂いを無理強いする

ずっと繋がっていた管のようなものが 切断される
ずっと昔 その衝撃を聴いたように思う
どうして管はもつれたがるのか 後ろの方で

その人の 作り話間に合わせ辻褄合わせ
守れない約束 知らないはずの約束
最後にはすべて投げ出す さらにもつれる
あらゆる その人が 嫌いだった
そしていつでも 好きだ
柔らかい刃でえぐられる苦痛 のような

同じのぞき窓を知っているばかりに
その人は 疲れても疲れても疲れても 僕を抱いた
その優しさが 嫌いだった

時刻を教えないその人 白んだ車道を斜めに渡る
地図に載らない家路の端っこに ×を書く
その人は 半年ごとに ページをめくる
そしていつでも 僕は ---

--- へし折られた鼻で 嗅ぐ
死ぬときに 僕は泣くだろう エンエン
そのときのための リハーサルとして
まずは土くれを 少し舐める

Kuri, Kipple : 2003.05.28






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