世界でいちばん美しいお尻の持ち主の君へ




世界でいちばん
美しいお尻の持ち主の君へ。
ホントーに誇張じゃなくて
こんなに綺麗なお尻が
日本にあったんだなって思いました。
月は、恋人たちの夜をちょうどよく
照らすためにあります。
じゃあ、そのお尻は何のためにあるんでしょう。
少なくとも
あのオフィスの受付の椅子に座るためだけ
じゃあないことは確かです。

世界でちばん
柔らかい乳房の持ち主の君へ。
一口で飲み込まないとすぐに
壊れてしまうほどのプリン。
そんな柔らかさのまるみが
秘かに静かに揺れていました。
微風は、彼女の顔にかかった
前髪をひょいとどけて
彼の顔をちゃんと見られるようにと吹いてきます。
じゃあ、その乳房は何のためにあるんでしょう。
少なくとも
フロントホックが当たっても痛くないように
じゃあないことは確かです。

世界でいちばん
いい匂いのする君へ。
おでこのちょっと上の生え際の
真ん中へんの地肌のところからかすかに
太陽を浴びた夏草の匂いがしました。
花は、いっぱい実を結ぶために
鮮やかな色で蜂を誘います。
じゃあ、そのいい匂いは何を誘うんでしょう。
少なくとも、
干し草と紛らわしくして羊に食べさせるため
じゃあないことは確かです。

世界でいちばん
ゆっくり話す君へ。
誰にでも本心を理解してもらうために
論理立てて順序よく話すと
遅すぎてその前に聞いたことを忘れています。
朝は、深すぎる愛が二人を殺さないように
疲れた身体の上にやってきます。
じゃあ、そのゆっくりは誰のためなんでしょう。
少なくとも
新聞記者が楽にメモを取れるように
じゃあないことは確かです。

世界でいちばん
会いたい君へ。
いちばん幸せな気分にさせて
いちばん胸を締めつける君へ。
僕は君のためにタイムカードを押します。
じゃあ、君は何のために制服に着替えるのでしょう。
世界でいちばん
泣きたくなる君へ。

世界でいちばん美しいお尻は
僕の手のひらにちょうどおさまるから。
世界でいちばん柔らかい乳房は
僕が巣の中の雛のように眠れる柔らかさ。
世界でいちばんいい匂いは
僕の淋しさと罪の臭いを消すから。
世界でいちばんのゆっくりは
僕がいつまでもその声を聞いていられるから。
世界でいちばん会いたいのは
世界でいちばん愛しているのに
世界でいちばん知らない人だから。