Serendipity <迷図2>

…そして僕は眠れないまま迎えた夜明けに凍えている
開けっ放しのクローゼットから朝日が昇る
振りほどいても振りほどいてもまとわりつくのは
君の名前


…それとも
やってはいけないと言われたことを
どうしてもやってしまう子供のように、僕は
君のいた場所に戻ってしまうのかな


…そうして凍えた表情を
6,000度の炎が焦がすのだけれど
僕の口からは叫びも出ない


…ああ、いびつな形の記憶が、その時に割れる
思いも寄らない年月の後、僕は気づく
はじめから
君は僕を愛してはいなかった、と
Kuri, Kipple : 2004.05.08


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