其れを届けたと 言うけれど私には貰った覚えがちっともないし納戸まで探してみたが痕もない 夕べ熟すほどに酸い 果実は密かに割れる慕うばかりに過つ 償いと同じほどに 嘯く其れを私に呉れたから と言う君よ呉れたから そこで口を噤むのだろうか畳の目の数だけ根問いを続ける幼子確かなほどに堪え難い 病葉はただ埋もれる与うばかりに請う 幽かさのほどに血を流す掌の 玉葱のような 真心何故に涙は 君の頬を 伝うのか