降りそうで降らない

雨が降りそうで降らない そんなときは決まって
何度もあなたを思い出してしまうのですよ
今日 あなたは傘を持っていったかな と

雨の日に 雨の歌を
春になれば 春の絵を
やり切れないニュースには悲しい詩を
そんなことだけは一度もしませんでした
でも 50%の雨の確率に
遠いあなたが 無性に心配になるのですよ

そうして 雨が降りだしてしまえば
私はまた テレビに向かい
夕ご飯を作り
ベッドで本を読み
雨のでもあなたのでもない詩を書きます
私ではない誰かの手が あなたに
傘を差しかけることを考えたくないから

会えそうで会えない あなた
降りそうで降らない あの魔法の瞬間が
今は大好きなのですよ
Kuri, Kipple : 2004.05.21


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