かくれんぼ

目を開けるのが遅すぎたんだ
それが嘘だと思えるまでたっぷり
10数えてみたんだ
薄暗い街に残されたのは
やはり僕だけだった

目を閉じるのが遅すぎたんだ
君が誰かと一緒に隠れようと
駆けていく後ろ姿を見たんだ
僕から一番遠くへ逃げたみたいだ

誰かが目を閉じて
10数え始めるまでは
隠れている僕を僕が探さなきゃ
見つかるのが
遅すぎなきゃいいけれど…

遅すぎたんだ
君を忘れたと信じられるまで
一万日の無恥と一万本の鞭を
一万の目隠しと一万の猿ぐつわを
ただ遊んで遊んで

爪を切る 角を研ぐ 牙をむく 目を閉じる
数える 数える 待つ 鼓動
指の間から垣間見る 僕が関与しない光景
なきものとする 数えない 数え終わらない
1から∞まで 隠れたものの体液を啜る

早すぎなきゃいいけれど
見つかるまで
探している君を君が隠さなきゃ
10数え終わるまでは
誰かが目を瞠いて…

誰かが目を閉じるまで

Kuri, Kipple : 2004.01.22


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