さよならで固まる
夜が明ける 人が行く
陽が差す 酸性雨に降りしきられる
あの小さな子がこんなに大きくなる
区画整理が始まる
立て替え決議がなされる
落葉が降り積もる
未曾有の豪雪に関節がきしむ
すべてが行き交う
一人だけ残る 引き続き固まり続ける
行った覚えのない春がまた来る
黄昏る 曙る
波は寄せる 波は返す
伏せた睫毛の残像を見るともなく見る
まだまだどうして固まったままでいる
桜前線に追い抜かれる
鳥に巣を作られる
烏に狙われる キタキツネに登られる
似た人がしばしとどまる
雛が巣立っていく しんとする
涙がやっとこさ出る