『没になった詩たち』

She Said She Said


        She Said She Said
「いっつも5分遅刻よ
 学校に遅刻、会社に遅刻、デートに遅刻
 おまけにあなたにも遅刻
 何かの呪いに違いないわ」

        I Said I Said
「遅れても、何にもしないよりはまし、だろ
 こうして一緒にいられるし。ずっとは無理としても」

     子供のように
     彼女は笑った

        She Said She Said
「こーんなにハードだって、思いもしなかった
 キスする代わりに無くすもの、分かる?
 言い訳と心の痛みのおいしい料理
 まずは愛して、お代は後で。一口いかが?」

        I Said I Said
「最近読んだ詩のフレーズかなんかでしょ?」

        She Said She Said
「死ぬってどんなのか、知ってるわ
 あなた、石の冷たさって考えたことある?
 独りぼっちのときの私の気持ち、知らないでしょ?」

        どっちかが言った
「愛してる」
  (彼女を)

        どっちかが言った
「片時も、忘れない」
  (忘れよう)

     彼女は必死に
     泣くまいとした

     子供のように
     彼女は笑った


Kuri, Kipple : 2001.09.24 / 同名の英語詩の訳
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