いままでの言葉: 2012年
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- 12月の言葉:「生きている者の多数は、死んだっていいやつじゃ。そして死ぬる者の中には生きていてほしい者がおる」
by 灰色のガンダルフ
- from 『旅の仲間』上 / J.R.R.トールキン ; 瀬田貞二・田中明子訳. (評論社, 1992)[amazon
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- 書こうか書くまいか、迷ってたら28日…orz
- 同業知人一同応援していた女の子、ツイッターで何度かやりとりした人、何度も呑んで馬鹿話した人。2011年以上に「死」ということを意識させられた1年でした。年寄りと同居を始めたこともあるし、歳を取ったってこともあるでしょう。だからって、勤勉で優しい人間になれるわけじゃないんですがね。
- 11月の言葉:「終わらせなければ、始まらない」
- from 『009 Re: CYBORG』ついに公開!神山健治監督インタビュウ(「SFマガジン」2012年12月号)[amazon
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- 横浜市営地下鉄でそこら中に貼ってある(タイアップしてるから)ポスターにこのキャッチが書いてあって、ついに完結させられなかった原作者への皮肉?なんて思ってたんですが、そんなことはなく。オールバックのジェットにショックを受けて(笑)、特に期待せずに映画館に行ったら、思いっきりプロダクションI.G.印・押井守の呪縛付きではありましたが、地味に世界を救うよいお話で、最後は002の髪型も慣れました。まあ、説明をあえてしないタイプの作品で、戦闘も地味、3Dの意味もあったのかなぁって感じで深夜アニメだったら寝てたかもしれません(爆)ともあれ、超銀河伝説のような噴飯ものにならなくてよかったよかった。
- 呪縛、と書きましたが小学生の頃の脳内キャラの名前がジョーとリリってくらい石森章太郎な子どもでした(^^;
- 10月の言葉:「故に三下りの三味線で二上りを唄うような調子はずれの文章は、既に文章たる価値(あたい)の一半を失ったものと断言することを得(う)。」
- from 泉鏡花 ; 東雅夫編『おばけずき』(平凡社, 2012.6)[amazon
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- 「ただし野良調子を張上げて田園がったり、お座敷へ出て失礼な裸踊りをするようなのは調子にあっても話が違う」と続きます。森銑三先生が啖呵を切る、泉鏡花先生はぴしゃり、とこう火鉢に煙管をこう、ね。多分違うけど。ていうかそもそもみさがりはんとにあがりがどんな節のかわからないという(^^;
江戸も明治も遠くなりにけり、ですが、関東大震災被災記の「露宿」はすごいものが。悪鬼の顔が見えたかと。
- 9月の言葉:「ああボクはどうして大人になるんだろう/ああボクはいつごろ大人になるんだろう」
- from 會川昇『UN-GO 因果論』(早川書房, 2012.1)[amazon
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- おたくと呼ばれる人びとはほんとうに自分の好きなものに散財しますが、非ヲタと呼ばれる人びとは世間体、あるいは自分のために支出するものです。そういうのを大人な振る舞いと言います。だからお洒落系雑誌やカリスマさんが本当に自分の好きなものだけを買いましょうというわけですね(笑)
- 文庫の発売日を間違えて入った本屋さんで『UN-GO 因果論』を入手しました。ずっとずっと前に図書館で借りた『ガンヘッド』がノヴェライズとしかいいようのないものだったので、劇場版見てないし注文して買うほどでもないや、と思っていたのです。たいへん失礼しました、心得違いをしておりました、です、はい。一カ所だけ、これはアニメのシーンだな、というのが(変な言い方だけど)あったけど(洞窟の中で因果があーんなことをするところの会話)、ちゃんと小説ですよ。リアルって何?というなら伊藤計劃よりこっちがいいですね、ワタクシは。
- ご時世とはいえ、この劇場版が地方在住者には休みとって宿取らないと見に行けない形でしか公開されなかったのはほんとに残念。ってソフト買ってない奴が、なんですけどね
- 8月の言葉:「火のないところに煙が上らぬ如く、文字のないところから文学は生まれないのだから、文学者の生活の中に書物が或面積を占めて割り込んで来るのは当然である。」
by 柴田宵曲
- from 森銑三・柴田宵曲『書物』(岩波書店, 1997.10)[amazon
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- なんとか転居というか撤退は終わりました。文学者じゃないんだけど、ある面積どころか、恐るべき面積を占めていた書物。それも森先生が「まだまだ書物好きとは言えぬ」とあっさりきっぱりおっしゃる文庫本ばかり(;_;)
- というわけで、てんやわんやだったためロンドン五輪の開会式はちゃんと見てないわけですが、コンテンツ大国を見せつけたようですね。全体的にLotRで、メアリー・ポピンズとか女王陛下の007とMr.ビーンが大活躍だったとか*。TwitterのLotRクラスタも盛り上がってました。まあ、御大は古き良きイングランドをホビット庄に重ねてたんだから当然っちゃ当然なんですが。で、五つの輪っかは描かれなかった指輪らしいよ<ぉぃ
- 職場で回ってくる週刊日販速報の編集後記で、子どもの頃はイギリス児童文学どっぷりでロンドンにはナルニアに通じる街灯が点っていて、丘陵にはホビット穴が…とという下りがあって、うんうん、と。奴ら、コンテンツで世界を支配しているよね。売るの、上手いよね。芋づる式に消費したくなるようにできてる。しっかり第一シーズンの再放送コミでオンエアされた「シャーロック」にはすっかり嵌りましたが何か。
まさに、「征服されたギリシアが猛きローマを支配する」。日本のアニメや特撮、100年後のオリンピック(があったら)使えるといいね!もちろん選手入場は葱もって。
- *3時間付き合わなくても、ちゃんとまとめてくれる人がいる。いい世の中です。ロンドン五輪開幕式典のスペクタクルを振り返る~シェイクスピアからピストルズまで - NAVER まとめ
- 7月の言葉:
「これまでわたしが出版してきた本の四分の三は、わたしがいなければ絶対に世に出ていなかっただろう。」by チェルトナム氏
- from H.R.ウェイクフィールド「彼の者、詩人なれば…。」『ゴースト・ハント』(東京創元社, 2012.6)[amazon| honto ]
- 転居することになり、大量の本を処分しました。友人知人に譲り(押しつけ)、あちこちに売り払い。これはまあ、二束三文です。数えると嫌な気持ちになること必定だったので残すものだけ箱にいれたのですが、それでも単行本11箱、文庫が12箱、新書サイズコミックが6箱、SFマガジンなどで7箱という…。とんでもなく時間がかかったし、背中や腰は痛くなるし。
- 電子本だったら重さはないけど、昔買ったCD-ROM本がことごとく読めなくなっていて、これはあっさり燃えるゴミにだしました。回収日前に出したので(<いけません)盗まれてたけど、持ってった人、どうするつもりかな。そう、電子本は軽い。いろんな意味で。
- だから、チェルトナム氏みたいな誇り高い編集者はいやなんだろうな。組版がとかいって抵抗するんでしょうね。でも、老舗の看板で酷い(生没年の事実確認くらいしようよ)編集の本ががんがん出ている世の中だしね、とまあ色々思う夏の初めでした。
- 6月の言葉:
「それ自身が目的である行為ほど正直なものはなくって、正直ほど厭味のないものはないんだから、万事正直に出られないような我々時代の、こむずかしい教育を受けたものはみんな気障だ」by 広田先生
- from 夏目漱石『三四郎』(青空文庫, 2000.7, 2004.2) 底本:角川書店, 1951[amazon| honto ]
- なんといっても図書館屋というのは読んだことのない本を読んだかのようにご紹介する商売ですし(もちろん、このタイトルの本も読んでません)、日本文学にも興味がないので書名著者名は一致できても読んだことないってのは多数。これも新職場でネタ的に使われてるし、iPodアプリの青空文庫リーダーにあらかじめインストールされていたので、読んでみようかなと。明治の二大文豪でいったら森鴎外の方が文章的には面白いと思ってたので(「石炭をば早や積み果てつ」ですよ。元祖キラキラネーマーだしね)、『坊ちゃん』『我が輩は猫である』『草枕』しか読んでなかったんですよね。
- で、三四郎です。妄想癖ありの、明治の学生とは思えない草食系で、行動力皆無で、流されてばっかりで、いつ「俺はまだ実力出してないだけ」と言い出すか、ハラハラしましたよ(もちろん、このネタもとも読んでません)。なんでこんな独り相撲のあげくに振られる(とも言えないレベル)話が名作扱いなのかっていうと、広田先生の存在故なんだろうけど、この人がまた批評するだけで何も動かないネット民みたいで…。後半、与次郎くんが勝手に盛り上がった結果(まさに自作自演乙ブログ炎上)、広田先生は筆禍に巻き込まれる訳ですが、それに対する態度も覚めているというか、そういう意味では時代を100年先取りしていたのかも<違います。
- というわけで、結局、美穪子さんがツンデレだから名作扱いなんじゃん?という疑惑のまま巻を置いた、もといアプリを終了しました。電子書籍だから長編は読めないってこともない、というのは確認できたかな。
- 5月の言葉:
「自分自身が「理解しているが、納得はできていない」という状態にあるのではないかと疑ってみるのは、良い練習問題になるでしょう」by 菊池誠
- from『もうダマされないための「科学」講義』(光文社, 2011.9) 第1章「科学と科学ではないもの」[amazon| bk1 ]
- 自分のことを棚に上げて申しますが、前勤務校は先生方の意識は高く、菊池誠先生を招いて水伝について学生向け講演を開いていたのですが、その数年後に改修なった図書館のエレベーターはマイナスイオンを吹き出す仕掛けがついています(^^; デフォルトでついてきちゃったらしいのだけけど、当時の副館長(化学専攻)に話したたらうぅっとされて、「あれは学会でも困っていて…」と、あれは学者の言うイオンとは違う、という説明をしていただきました。
- 私などは理解すらおぼつかない、毒消しとかに惑わされがちな人間が何をいうかですが、人が理屈ではなく感情で動いている限り、この世が良くなることはあるまいと思います。
- 4月の言葉:
「いいんだよぉ、人は信じられないことに直面したとき勝手に脳内補正してくれるから。」by 反ノ塚連勝
- from『妖狐×僕SS』第12話「二人になった日」
- 一反もめんのそりのづかくん、河住小太郎くん(小学生)を乗せてマンションの屋上へ。そのアバウトさを子どもに諭されます(^^;
- ま、超常現象に限らずよくある話です。
- 3月の言葉:
「煎じつめれば、本書の作中人物たちは「事実は小説より奇なり」という格言を真に受けているのであり、実際は逆が真だといくら説いても聞く耳を持たなかった」by フェリペ・アルファウ
- from フェリペ・アルファウ ; 青木純子訳『ロコス亭 : 奇人たちの情景』(東京創元社, 2011.6.)
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- と、プロローグで書いているこの連作短編集が、実に奇なる人を食った小説でした。丁寧に読んで謎解きをするべきなのか、奇想小説として楽しむべきなのか迷うタイプ。この人はフランコ派でアメリカに移民していますが、こういうお国柄があっての南米マジック・リアリスムなのかしら、とか。色々。
- たぶん、いくら放射線を浴びても放射線を発したりしません、それいったら40代以上はみんな隔離しなきゃ、って言ってもわからないような人と話して疲れたらこういうの読むと逆に良いのかもしれません。
- 2月
- お休みしました<(_ _)>
- 1月の言葉:
「恰も為天ゲネシス未済アポカリプスの如く」by アースウェイト
- from アレイスター・クロウリー ; 江口之隆訳『ムーンチャイルド』(東京創元社, 2011.9.)
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- お正月の読書はこの大魔術小説というか、大冗談小説、いや、馬鹿小説かな、でした。巻頭の登場人物紹介で、アースウェイト氏は「馬鹿」としか書かれてません(笑)訳者解説によると登場人物にはすべてモデルがいるそうで、クロウリー、よく名誉毀損で訴えられなかったな。訴えられたのかな。第一次世界大戦後のイギリスでは、自称魔術師と関わっているだけで名誉失墜だったのかも。
- 紋切り型を書かざるを得ない日々が続くと、こういう報告もありかな、とか(笑)ま、ここまで凝った文章にしてはあれですが。
- 今年の年賀状:トールキン『ホビットの冒険』から、御大自筆のはなれ山の表門です。がんばれPJ!
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