ゴルゴ139の読書録


奥田イズムがトヨタを変えた(日経ビジネス人文庫)
日本経済新聞社編

出版社 日本経済新聞社
発売日 2004.05
価格  ¥ 700(¥ 667)
ISBN  4532192277

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トヨタという日本企業の強さがひしとわかる。アメリカでは作れない企業のあり方のお手本
がトヨタだと思う。



冒険投資家ジム・ロジャーズ世界バイク紀行(日経ビジネス人文庫)
ジム・ロジャーズ著・林康史訳・林則行訳

出版社 日本経済新聞社
発売日 2004.03
価格  ¥ 800(¥ 762)
ISBN  4532192188

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ジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを立ち上げた男が、世界六大陸をハーレーで巡る旅に出る!
10年間で4000%を超えるリターンをあげたって、10万円が4億円以上、ってことは、。。。。。。
その行く先々で、自分の目で見、肌で触れたものを元に投資をしていくという、冒険投資旅行記。
村上龍が4度読んだ、と言うのも頷ける。格好よすぎる〜。こういうスケールで考え行動する人間
が存在するのがアメリカの凄いところだ。

『できる限りこの世界の現実を見ることだ。』
『改革は抑圧された人々ではなく、将来への期待を呼び覚された人々が起こす。』
『これが世の常である。時とともに周囲の全てが変化し、あるものには門戸が開かれ、あるもの
には閉ざされる。』
『長年の旅の経験から言うと、いったん国境を越え始めたら、できるだけ素早くやり通してしまう
ことだ。決して中断してはならない。』
『それでも、海外から中国に大規模な投資をしている会社の株を空売りしたいという誘惑に駆られる。
というのも中国の社会構造からいって、余所者には大金を稼がせないからだ。』
『国家的な問題で、政府が国民に説明することを信じてはいけない。マネーの流れを考えてみれば、
ほとんどいつも現実の世界で何が起きているかわかる。』
『人間というものは、強制されなくては物事のやり方を変えようとはしない。』
『現代の経済原則では、世界中が変化していく中で、一国が産業のリストラを避け、保護主義を
続けるのは不可能である。』
『私たちは再び植民地化される必要があるのですが、誰もそんなことはできないし、あえてしよう
とも思わないでしょう。』
『ちょっと待って、わからないのよ。何故、この人達は黒人が政権を取っている労働者天国から
わざわざ人種差別の南アフリカに行こうとしているの?』
『投資家たるもの、ついそこの金までが動きそうになるのを見極めるまで何もしない方がいいのだ。』
『アメリカ人は、過去100年間甘やかされ、…思い上がってしまった。まるで全世界の法律から
特別扱いされていると思っている。』
『アルゼンチンは私の2つの投資基準に合致していた。第一に、変化が起こりつつあること。そして、
第2に、投資対象がまだ頗る安かったこと。』
『保有銘柄はできるだけ少なくするべきだ。ポートフォリオとはどれが上がるのか自信がないから、
みんな買うという発想だ。上がるもののみを買い、下がるもののみを空売りすればよい。』

冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見も買って読むことにしよう。




目白雑録(ひびのあれこれ)
金井美恵子著

出版社 朝日新聞社
発売日 2004.06
価格  ¥ 1,575(¥ 1,500)
ISBN  4022579234

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天下御免の”いじわるばあさん”!と言う趣が。



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会社はこれからどうなるのか
岩井克人著

出版社 平凡社
発売日 2003.02
価格  ¥ 1,680(¥ 1,600)
ISBN  4582829775

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第1章 なぜいま、日本の会社はリストラをするのか
グローバル化・IT化・金融革命への対応が、日本全体で合成の誤謬を引き起こしているのが
リストラとして現れている。そこで、従来の日本型企業のあり方が問われている。
第2章 会社という不思議な存在
そもそも、会社とは何か?法人とは何か?モノを所有するのがヒト。しかし、法人はモノとして
ヒトに所有され、ヒトとしてモノを所有する。
第3章 会社の仕組み
じゃ、実際に法人とは、会社とは誰なのか?株主がモノとして所有している会社を経営するの
は、信託を受けている経営者。じゃ、社員は何だ?
第4章 法人論争と日本型資本主義
日本では株式持ち合いを通じて会社が自分で自分を所有する仕組みが機能してきた。これに
よって、会社はある意味ヒトだった。
第5章 日本型資本主義とサラリーマン
会社がヒトだったので、組織特殊的な人的資産の所有者として、株主などの外部圧力から
保護し、蓄積することができた。
第6章 日本型資本主義の起源
家制度や財閥解体などの経緯が積み重なって今の日本型の会社ができてきた。アメリカ主導
で民主化したら、見事に日本的になってしまったのが日本の結果。
第7章 資本主義とは何か
差異から価値を生み出していくのが資本主義だが、新しさにしか価値がないのがポスト産業
資本主義。日本型資本主義は後期産業資本主義に適応しすぎていた。故にポスト産業資本
主義への移行に苦しんでいる。
第8章 デ・ファクト・スタンダードとコア・コンピタンス
これからは、オープンアーキテクトで大きくなるか、コアコンピタンスで差異化するために小さく
なるかのどちらかしかない。
第9章 ポスト産業資本主義における会社のあり方
ポスト産業資本主義では、組織特殊な人的資産をコアとして差異化するために、優秀な人間に
『黄金の手錠』をかけるしかない。ここで日本型企業が適応力を示すチャンスがある。
第10章 会社で働くということ
これからは大変だけど頑張ろう。

以上、自分なりの要約。こんなに明快でいいのか?と思うほど分かり易い。さすが。


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ビッグ・ジェーン
マイケル・チミノ著・松本百合子訳

出版社 ソニー・マガジンズ
発売日 2004.06
価格  ¥ 1,680(¥ 1,600)
ISBN  4789723070

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(積読中)



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脳の中の小さな神々
茂木健一郎著・歌田明弘聞き手

出版社 柏書房
発売日 2004.07
価格  ¥ 1,680(¥ 1,600)
ISBN  4760125728

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(積読中)



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創発
スティーブン・ジョンソン著・山形浩生訳

出版社 ソフトバンクパブリッシング
発売日 200403中旬
価格  ¥ 1,890(¥ 1,800)
ISBN  4797321075

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Web検索エンジンGoogleの謎
水野貴明著

出版社 ソーテック社
発売日 2004.04
価格  ¥ 1,869(¥ 1,780)
ISBN  488166395X

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今一つ物足りなかったな。読み物としては物足りないし、マニュアルと言うには長い。
中途半端だよ、これ。もっとマニアックなとこまで読ませるか、グーグルのストーリーを掘り下げるか、
どっちかにするべきだった。


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日本国債 上 改訂最新版(講談社文庫)
幸田真音〔著〕

出版社 講談社
発売日 2003.11
価格  ¥ 600(¥ 571)
ISBN  4062738864

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日本国債 下 改訂最新版(講談社文庫)
幸田真音〔著〕

出版社 講談社
発売日 2003.11
価格  ¥ 600(¥ 571)
ISBN  4062738872

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これは傑作。日本国債のディーラーのミステリーなのだが、プロの世界のディテール
が書き込まれている。好奇心は刺激されるし、各々の人間もキャラクターが共感出
来るし、ストーリーもはらはらドキドキ最後に泣かせる。

幸田真音ホームページ


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わかる!学問理科系の最先端
河合塾編著

出版社 角川書店
発売日 2003.11
価格  ¥ 1,365(¥ 1,300)
ISBN  4048838431

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 日本の大学の研究を網羅的に評価した野心的な試み。これをマスコミではなく、
河合塾がやったというところが面白い。評価は学問的な価値の評価になっている。
これだけ網羅的な評価の試みをしたという点をまず評価したい。しかし、問題点は
たくさんあるので、継続的にこういう評価を進めるべきだと思う。
 まず、分野的に理学部系が中心になっている。工学関係はあまりにジャンルわけ
がおおざっぱで雑という感がある。エレクトロニクスやバイオなどのハイテク分野は、
応用研究と基礎研究があると思うが、全部サイエンスの側の視点で十把一絡げに
されている。これは予備校の先生のバックグラウンドやパースペクティブと関係が
あるのではないかと思う。この点は非常にお粗末。
 世界何位というのも分かり易い指標ではあるのだが、どういう評価なのか、基準が
今一つはっきりしない。明快な形でランキングを示すというのは、これから大学進学
を目指す学生にとっては、乱暴だが一番分かり易いのも確かである。それだけに
しっかりした多面的な算出基準を作るべきだと思う。順位が全てとは思えないが。
 アメリカでは大学ランキングがUSNewsなどから出されていて、これはこれで論議
があるのだが、マクロな観点からの指標として、全体的な大学像を論じる上ではあ
れはあれで有益な指標になっていると思う。
 受験生だけでなく、様々な人にとって有益な大学ガイドブックだと思う。様々な学問
分野を俯瞰するためのガイドブックになると思う。しかし、不満もまだまだ山のよう
にある。最初の試みということで、そこは評価したい。毎年ちゃんと更新するくらいの
体制が必要だと思う。

河合塾・学問分野別・大学教授研究者データベース

US News Graduate / Undergraduate Schools Ranking


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太陽の黙示録(6)(ビッグコミックス)
かわぐち かいじ

出版社 小学館
発売日 2004.08.30
価格  ¥ 530(¥ 505)
ISBN  

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これとジパング並行して進めているなんて凄いとしかいいようがない。それにしても、
世紀末も終わったというのに、この未来に対する不安感は何なのだろう?世紀が
変わったといっても、何が変わった訳でもないが。


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ゴルゴ13(134) 害虫戦争(SPコミックス)
さいとう・たかを

出版社 リイド社
発売日 2004.09.04
価格  ¥ 550(¥ 524)
ISBN  

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最近は、毎回、本当にお勉強になってしまうゴルゴ13。もはや、これは世界経済漫画だな。

さいとうプロ
ゴルゴ13・最後の真実


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鳥頭紀行(角川文庫)
西原理恵子〔著〕・ゲッツ板谷〔著〕・鴨志田穣〔著〕

出版社 角川書店
発売日 2004.07
価格  ¥ 700(¥ 667)
ISBN  4043543085

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 今回はお坊さんだって、。。。ここまでお笑いを取るために、体張ってる”漫画家”いない。
と言うか、何で漫画家が体張るんだ(笑)。

鳥頭の城


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オープン・ソリューション社会の構想
国領二郎著

出版社 日本経済新聞社
発売日 2004.07
価格  ¥ 1,680(¥ 1,600)
ISBN  4532311551

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 論文のような固い書き方の本なのだが、文体が微妙に”はみ出している”ところが
あって興味深い。『これはぜひ実現したい。』と言うのも、この手の本では異例な書
き方だと思う。それから、タイトルが”構想”となっていることからもわかるように、定
量的な議論やデータが非常に少なく、コンセプトを語るというスタイルになっている。
でも、政府諮問機関のレポート的な文体にもかかわらず、着眼点が非常にシャープ
でしなやか、しかし、きちんとネクタイを締め上げた文体が崩れない。なのに、発想
が硬直化していない。本当に頭の良いナチュラルな優等生という感じである。ある
意味、秀才の学者さんと言うスタイルなのだが、それに好感がもてるというか、気鋭
の何とかという気負った感じがない。

 自分なりにチェックしたポイント。
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『ブーンドックス』

アーロン・マッグルーダー

出版社 幻冬舎
発売日 2004.08.25
価格  ¥ 1,785(¥ 1,700)
ISBN  4344006658

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 主人公のヒューイ・フリーマンは、白人ばかりの中流住宅地にすむじいちゃんのところに
弟のライリーと一緒にシカゴからやってくる。ヒューイは黒人の地位向上に情熱を燃やす
小学生。ライリーはギャングスターラップの影響をもろに被ったガキンチョ。ジャマイカ系
のマイケル、ハーフのジャズミン、ジャズミンのパパとママ、ペットー先生と引き起こす大
騒ぎは?なあんていうおきまりの売り文句が通じないのがこの4コマ漫画の凄いところ。
途中から、ジャズミンなんかどっかへ行ってしまい、CIAやFBIの方が登場頻度が高くな
る(電話だけだけど)。とにかく、ヒューイがアメリカの現在の政治状況をアフリカ系の視
点から切りに切りまくる。前書きにもあるように、マイケル・ムーアを黒人にして、ピーナ
ツシリーズを書かせているようなものと言う説明が一番分かり易い。何と言っても、絵が
うまい。かわいい。それと、中身の鋭さ、キツさのギャップがたまらない。アメリカの黒人
の誰も口にできないような本音が、凄くよくわかる。アメリカ人がいかにバカかということ、
アメリカにもまだまともな人間が存在していた、ということがよ〜くわかる。『世界を破滅
から救うには、コンドリーザ(・ライス)に人を愛することを教えてやるしかない。』と言って
新聞広告を出す、と言う後書きに出ている話が入っていないのが残念。続巻を早く出して
欲しい。
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『22世紀から回顧する21世紀全史』

ジェントリー・リー著・マイクル・ホワイト著・高橋知子訳・対馬妙訳

出版社 アーティストハウスパブリッシャーズ
発売日 2003.10
価格  ¥ 2,000(¥ 1,905)
ISBN  4048981455

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Gentry Leeは、JPLのエンジニアでSF作家。Michael Whiteは元トンプソンツイン
ズのミュージシャンで、今は作家。この異色の二人が21世紀を22世紀から振り
返る歴史として語る。

第1章 バイオ革命の明暗
遺伝子操作ベビーは技術的にいずれ可能になると思う。ただし、先天的要素と後
天的要素の影響を考えると、必ずしもこんなに簡単に優れた人間を作り出せるも
のではないと思う。合法ドラッグというのも、いずれ現れると思う。これは、国が専
売事業にするのではないか?バイオが医療・健康・農林水産以外の事業に結び
つくなら、ドラッグとジェラシックパークだと思う。ジェラシックパークは意外に早くて、
2020年くらいには実現するのではないか?

第2章 核の惨劇
この章はなかなか読み応えがある。技術的な話はかなり眉唾という気もするところ
があるが、社会や政治に関する部分のほうがこの本はずっと面白い。最後の医師
の日記の部分だけでも一冊の小説になる。この本はそういう意味では、短編集とい
うか、小説内小説の固まりのような形式になっている。

第3章 混沌の時代
この章は株式市場の崩壊とその影響の話。むしろ、今のアメリカの一般投資家の
漠然とした不安感を反映しているようで面白い。

第4章 新世界秩序の構築
ドイツのネオ・ナチ化、メキシコの経済的インデペンダンス運動、中国の躍進と日本
の没落など、並べてみれば全て今の話をextremeにまで推し進めた話なのだが、一
気に読ませる。メキシコの話のところは、イギリスの元ロックミュージシャン、という
視点が出ていて興味深い。

第5章 ネットワークワールドに暮らす
まず、技術的な重箱の隅から。2025年には半導体リソグラフィーには0.1ミクロ
ン程度の波長が使われていたというが(p.230)、現在のArFで0.193nm。これ
以下の波長が使われているなら、X線か電子線?X線ならもっと短い20nm位に一
気に行って等倍露光になるというストーリーが普通では?量子コンピューターとひも
理論が結びつくというのも変?量子コンピュータも個人的には信じられない。素因数
分解のような特別な問題に対してだけ有効なのが現状で、これを汎用的に使えるよ
うにするためには、新たなアルゴリズムやアーキテクチャーが必要。それから、宇宙
エレベーターというのも(p.313)、既にフラーレンでノーベル賞を取ったスモーリー
がカーボン名のチューブの応用として提案しているネタ。この辺りはお勉強しました
という感じで、余り面白くない。もっと妄想に満ちたものが出てきて欲しい。

第6章 21世紀宇宙への旅
ここは、JPLの人が書いたところだから、割り引いて読まないと。宇宙旅行、って
本当にやってみたいだろうか?

全体を通じて非常にディテイルまで良くできている。しかも、たくさんの要素がドキュメンタ
リー風の形で書かれている。ドリームワークスが長時間のドキュメンタリー(?)化するとい
うのも頷ける。しかし、説得力があるというのは、実は現在の延長線になっているからで、
本当のサプライズなら本当に予想出来ないはずだ。でも、だれもが目を背けている問題で
あれば、それは目をこらしてみればわかるはずだ。ここの距離感がなかなかうまいので、
読ませるものになっているのだと思う。

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東大生はバカになったか(文春文庫)

立花隆著

出版社 文芸春秋
発売日 2004.03
価格  ¥ 570(¥ 543)
ISBN  4167330164

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 理科2類の学生の生物学履修率の低さを氏は嘆いているが、この点については異議が
ある。高校の生物を勉強する必要がないという訳ではないが、2科目に力を入れて勉強す
るなら、優先順位はやはり物理と化学だと思う。高校で生物を取らず物理を学んだ学生が
大学で生物を学ぶことはできても、逆はできない。物理を高校でしっかり学ばないと、分子
レベルの生物学はとてもできないのではないか?実験装置の使い方を学ぶのだって大変
だと思う。
 生物を高校で履修しなかったというのは、それほど致命的なことになるのだろうか?生物
を履修するよりも、むしろ高校段階では物理や化学をしっかりやっておく方が重要では?
一通りのことは勉強しておくにしろ、大学で本格的に生物を研究しようと思っても、知識は
いくらでも詰め込めるし、やっていれば身に付いていくが、物理や化学は高校レベルがしっ
かり身に付いていないと、どうしようもないと思う。個体ベースの議論なら兎も角、分子生物
学的なことをやろうとしたら、まず物理と生物をしっかりやるべきだと思う。それから、アメリ
カでは、医学部は学部卒業後、どんな学部出身でも入学出来る。
 しかし、学問は進んで、学際化はますます進むというのに、入試科目だけは減っていく。
立花氏の学力低下に関する危惧は、主旨としてもっともだと思う。
 後半の教養のあり方というのは、単純には言えない難しさがあると思う。寺田寅彦の文
学趣味が東大の理学部を駄目にしたという説もある。理科系の人間の教養、というのは、
あるにこしたことはないが、それは高校までに身につけておくようなものではないのか?
大学は教養なんて甘いこと言っている時期だろうか?この辺は理科系の人間から見ると、
違和感がすごくある。

東大教養学部・立花ゼミ
ttbooks.com:立花隆の本の世界


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魯山人味道 改版(中公文庫)
北大路魯山人著・平野雅章編

出版社 中央公論新社
発売日 2002.08
価格  ¥ 780(¥ 743)
ISBN  4122023467

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 『美味しんぼう』の海原雄山のモデル、という程度の半ば転倒したイメージしか持っていなか
ったのだが、読んでみた。
 有名なツール・ダルジャンで鴨に用意したわさび醤油で味付けする件、わざわざそんなこ
とをするために日本から粉わさびと醤油を持っていったのだろうか?稚気溢れる明治人の
所業、と一笑に付したい気もする。文化人類学的な視点から見たら、唾棄すべき人間に映
らないこともない。
 味覚というのは、そもそも、はなはだ主観的なものではないのか。聴覚や視覚と同じよう
に、同じ刺激が与えられているという前提で論じて良いものか?何を旨いと思うか?
 しかし、彼の姿勢は『己が旨いと思うものを食いたい』、その一点の追求にある。こうして
後代のろくなものを食っていないような人間が、それをあれこれ言ったところで、何になると
いうのか?彼を主観の一般への敷延・絶対化、として批判するものは、逆に客観の名を語
り主観を矮小化するものとなる。語るものをも厳しく問いつめることになる魯山人の絶対を
求めるこの姿勢の激しさ。それが今もなお多くの人をして、彼を語り継がせているのだ。

北大路魯山人資料室
魯山人の足跡をたどって
何必館 北大路魯山人作品室


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