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『日本書紀』より 一書(あるふみ)〔第二〕に曰はく、天神(あまつかみ)、 經津主神(ふつぬしのかみ)・武甕槌神(たけみかづちのかみ) を遣(つかは)して、葦原中國(あしはらのなかつくに) を平定(しづ)めしむ。時に二(にはしら)の神 曰(まう)さく、「天(あめ)に惡しき神有り。 名を天津甕星(あまつみかほし)と曰(い)ふ。 亦(また)の名は天香香背男(あまのかかせお)。 請(こ)ふ、先(ま)づ此の神を誅(つみな)ひて、 然(しかう)して後(のち)に下りて葦原中國を撥(はら) はむ」とまうす。是(こ)の時に、齋主(いはひ)の神を 齋の大人(うし)と號(まう)す。此の神、今 東國(あづま)の楫取(かとり)の地(くに) に在(ま)す。 一書〔第二〕にいう。天神が経津主神・武甕槌神を遣わされて、葦原中国を平定させられた。 ときに二柱の神がいわれるのに、「天に悪い神がいます。名を天津甕星といいます。 またの名は天香香背男です。どうかまずこの神を除いて、それから降って、 葦原中国を平げさせて頂きたい」と。このとき甕星を征する斎主をする主を 斎の大人といった。この神はいま東国の楫取(香取)の地においでになる。 ※『日本書紀』の原文は漢文である。 読み下し文は、『日本古典文學大系67 日本書紀 上』岩波書店、 現代語訳は、『講談社学術文庫833 日本書紀(上) 全現代語訳』講談社、に依った。 . |
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