「ナショナル・ジオグラフィック・マガジン」は1888年に創刊されたものですが、100年以上に渡る歴史のなかでハワイは幾たびも取り上げられてきました。
もちろん、実物を手にしたことはありませんが、MATTさんのご好意で創刊からの当マガジンを広告まで含めたまるごと収録したCD−ROM、「The
Complete National Geographic」を拝見することが出来ました。これがもう凄い!。一日見ていても飽きることがありません!
古くは1899年にもハワイに言及されていますが、ハワイの生物に触れた記事としては1904年の「A
Bird City」が最初でしょうか。
しかし、圧巻なのは1924年の「America's
Strongest Outpost of Defense -The Volcanic
and Floral Wonderland of the World」と1925年の「BIRD
LIFE AMONG LAVA ROCK AND CORAL SAND -The
Chronicle of a Scientific Expedition to Little-Known
Islands of Hawaii」です。
ちょうどハワイの戦略的、地勢的位置付けが明確になった時期に重なるのでしょうか、非常に多くのページを割いてハワイを紹介しています。前者はそのユニークな地誌、移民からくる他民族が混成する社会をも紹介(写真花嫁まで)するとともにカラー写真(キングのケープ、巻貝、火山など)を用いてまるごと一冊ハワイに費やしていますし、後者は早くもハワイ北西諸島の自然に注目し鳥たちの生態を多くの写真で紹介しているのです。
以降もハワイに関する記事はおりおり掲載されてきました。
右に掲げたのは自分が古本屋さんで見つけたものですが、もちろん、この長い歴史においてはハワイの記事を掲載したもののほんの一部にしかすぎません。
☆1949年11月号
「Because It Rains on Hawaii」と題する記事は、50年代を目前にアメリカの一州としてハワイを昇格するかどうかの論議が起きていることから筆を起こしています。「この州候補は、まるで花婿候補が女の子の家族から向けられるような詮議の視線を向けられている。」
この40ページもの巻頭記事は9枚のモノクロ、32枚のカラー写真をもってそのハワイのプロフィールを紹介していきます。サトウキビ耕地、パイナップル、漁業、花の栽培という古くからの産業に加え、整備された観光地としての魅力、レイ、花々に囲まれた町、人々、ユニークな地誌といったところですね。
ご存知のとおり、ハワイがアメリカの一州になるのはこの記事掲載の10年後、1959年のことでした。
☆1967年1月号
「The Flowers That Say "ALOHA"」
花々が生活のなかで息づくハワイ。それを象徴するレイを紹介する記事。全12ページ
・主なグラビア
空港でレイの歓迎を受けるダニー・ケイ/華やかなレイ造り/ピカケ、レフアなど様々なレイの紹介/パニオロの乗る馬に掛けられたレイ/卒業式など生活シーンでのレイ/カメハメハ・デイにレイで飾られたカメハメハ像/Matsonラインの船上から投げ入れられるピカケのレイ
☆1977年11月号
「Kauai -The Island That's Still Hawaii-」
古きハワイの面影を残すカウアイ島を紹介。全26ページ
・主なグラビア
緑に覆われた地/アイアン・マン・レースのカヌーのスタート/希少な花、鳥、そしてそれを調査する人々/タロ畑/プリンス・ビルのゴルフ場/観光開発とのせめぎ合い/空にかかる虹とそれに照らし出されるかのような緑の地/ワイメア渓谷に流れる渓流/ナパリ・コースト/シダの洞窟/アメリカ本土からドロップアウトしてきた若者/耕地の残した労働者キャンプと今もそこに暮らす人々/立ち退きに抵抗する家族/古きハワイとカウアイ島の未来への思いををトラディショナル・ソングに込めて歌う
☆1981年8月号
「Molokai -Forgotten Hawaii-」
モロカイ島ののどかな生活とハンセン病施設、患者たちのその後。全32ページ
・主なグラビア
海岸で釣りをする修道女(病院スタッフ)/海岸に迫る山々/深い渓谷に落ちる滝・渓流・シダ/1867年にカメハメハ5世によって持ち込まれた鹿/タロ畑でのハワイアン/ソフトボールの試合の敢闘を祝い踊る女性/ハワイ人を祖先に持つ人への土地優遇策、しかし、あまり生かされていない/デル・モンテの閉鎖されたパイナップル・プランテーション/観光土地開発への抗議活動/ハンセン病隔離施設/ダミアン神父/ハンセン病の元患者が不自由な手で作成する繊細で美しいイルカをかたどったアクセサリー/患者が石に刻んだ言葉”SMILE...IT
NO BROKE YOUR FACE!"/西部劇に出てくるような、それでいて日系アメリカ人がもたらした東洋風味のある小さな小さな田舎町/カフナが執り行うハワイ式ウェディング、花嫁は母親お手製のドレスを着ている/モロカイ島のカウボーイ達/ハワイの土地の名前、古来の医療などを子供たちに教える教師/文明から隔絶した地で自立した生活を送る家族
☆1983年11月
「KAMEHAMEHA-Hawaii's Warrior King-」
ハワイの著名な歴史画家HERB KAWAINUI KANEの絵画をフィーチャーしてたどるカメハメハ王の実像と現在のハワイ。全42ページ
・主なグラビア
王たちのプレイグラウンド(現在のワイキキ周辺夜景)/パリ・ハイウェイ空撮/HERB
KANEの娘、LEHUAが海面下のクック記念碑を示す/戦いの神の木像、人間の歯が埋められたボール/神殿、ペトログリフ/洞窟に眠る人骨/イオラニ宮殿/カメハメハ三世一家の写真/カヌー・レース/Kapaによる製紙/カウアイの峡谷/ハワイ古来の楽器を習うカメハメハ・スクールの子供たち/フラを舞うSherrie
Hamamura
/HERB KAWAINUI KANEの絵(計5枚)
☆1995年9月
「滅びゆくハワイの生物」
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NOVEMBER,1949
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左記の特集のクレジット
☆1949年11月号
文:FREDERICK SIMPICH,JR.
☆1967年1月号
文:DEENA CLARK
写真:ROBERT B.GOODMAN
☆1977年11月号
文:ETHEL A.STARBIRD
写真:ROBERT W.MADDEN
☆1981年8月号
文:ETHEL A.STARBIRD
写真:RICHARD A.COOKE III
☆1983年11月
文:LOISE E.LEVATHES
写真:STEVE RAYMER
☆1995年9月
文:エリザベス・ロイテ
写真:クリス・ジョーンズ |