4-20-2.礼文


礼文島

礼文島は日本最北に位置する花の島です。本州では高所においてしか見ることができない高山植物を厳しい礼文の環境の中では丘陵地で普通に見ることができるのです。そんな花々と最北の旅情に惹かれて短い観光シーズンにたくさんの人々が訪れます。6月〜8月は非常に混雑し、ホテルの価格なども高騰します。また平成21年10月に香深に新しく温泉が開業しました。

礼文島への交通手段は稚-礼文の空路の廃止に伴い、稚内-香深のフェリーのみになりました。そのフェリーも減便が予定され、平成22年度は5月-9月は3往復程度の運行となります。

礼文島を訪れるならやはり最低でも1泊することをお薦めします。団体旅行では稚内から朝フェリーで礼文島へ渡り、島内をバスで遊覧し、その日の夕方に利尻島へ渡るプランが多いのですが行くことができる場所は本当に限られてしまいます。1泊すれば桃岩周辺、スコトン周辺をハイキングすることも可能になるのです。また2泊以上すれば今でも車で行くことができない西海岸8時間コースを歩くこともできます。かつての8時間コースはスコトン-元地間でしたが現在海岸線の岩の崩落の危険から宇遠内-元地間は通行が禁止されています。 許可無しには絶対に立ち入りはしないようにしましょう。 ちょっと時間に余裕のある人なら礼文林道、ハイジの谷の散策や礼文岳へ登るのもおもしろいかもしれません。

宿泊は島内は非常に限られていて香深周辺に大半が集中しています。ホテルとして花れぶん、ホテル礼文、三井観光ホテルなど、そして船泊にプチホテルコリンシアンがあり、他は家族経営の旅館や民宿になります。YHとしては島内唯一になってしまった桃岩荘YHがあります。ここは歌って踊る昔ながらの名物YHですので好き嫌いが分かれます。旅人宿としては星観荘がスコトンにありゆったり落ち着いた雰囲気で魅力的です。

(船:稚内-[船115分程度]-香深)

(バス1日4往復:香深-[11分]-香深井-[13分]-内路-[26分]-船泊本町-[5分]-浜中-[13分]-スコトン)

(バス1日3〜5往復:香深-[13分]-知床)

(バス1日3〜5往復:香深-[8分]-桃岩-[8分]-元地)



船泊・久種湖

■久種湖

バス、車での通過点になってしまいがちな場所ですが久種湖の湿原を散策するのもいいのではないでしょうか。丘陵地の植生と違い、春にはミズバショウ、ザゼンソウが花を咲かせます。近くにあった最北限の牛乳で知られた道場牧場がなくなってしまったのは残念です。キャンプ場があり、近くに公衆浴場船泊の湯もあり。

■高山植物園

手軽に高山植物を楽しむことができるスポットで園内はそんなに広くはありませんが広い木道を歩きにはたくさんの高山植物を見ることができるようになっています。ビジターセンター内には高山植物の資料も展示されています。6月に訪れると絶滅危惧種にも指定されているレブンアツモリソウを見ることができる点は貴重です。

(入場料:300円、9時〜17時、6月〜10月、9・10月は土日祝休)

■金田ノ岬

灯台の脇に駐車場があり、岬からスコトン方面を見渡すことができます。岬から草分け道を探して丘の上に登っていくとさらに風景は広がります。のんびりするにはもってこいの場所でしょう。岬周辺にはアザラシも生息していて、観察スポットにもなっています。




礼文岳

礼文島は全体に島全体が丘陵地で高い山はありません。そのため一番標高が高い礼文岳でも標高は490mしかありません。そんな礼文岳には東海岸の内路、起登臼から登山道があるのです。軽登山を楽しむならこんなところもいいでしょう。

■内路から礼文岳へ

内路の集落の裏から登る道は最初こそ若干の展望がありますがすぐに木々に覆われ単調な風景が続きます。しかしながらその中を黙々と歩くと樹林帯を抜けひとつめのピークへ、そこから山頂までの尾根道は大きく視界が開け絶景です。山頂は広い岩のころがる裸地になっていて利尻岳を望みながらのんびりすることができます。これだけの風景はなかなか簡単に見ることができませんので天候がよく時間が許せば訪れたい場所のひとつでしょう。

■起登臼から礼文岳へ

しばらくの間通行止めになっています。



香深・礼文林道

香深は礼文島の中心地でホテル、旅館の大半がここにあります。飲食店もウニ丼が有名な酒壷、ホッケのちゃんちゃん焼きが有名な千鳥などがあり、昼食にも困ることはありません。

■礼文島温泉うすゆきの湯

平成21年10月開業の新しい町営温泉です。2階部分に浴室があり、利尻島を望む眺望がすばらしいかもしれません。ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉。一部ホテルにも源泉は供給されています。

(日帰り入浴:500円、13時〜21時、10月〜3月、11時〜21時、4月〜9月)

■郷土資料館

トドの剥製や鰊漁の漁具などが展示されている小さな資料館。フェリーターミナルに近いので立ち寄ってみるのもいいでしょう。

(入場料:300円、9時〜16時半、5月〜10月、月休)

■ハイジの谷

礼文で最も私が好きなのが礼文滝を登った所にある丘と海と花の風景です。 ここはYHなどではハイジの谷と呼ばれていてレブンウスユキソウをはじめとする花がたくさん咲き乱れる穴場です。8時間コースはやっぱりいいのですが時間に追われてしまう難点があります。 その点こちらは距離は短く体力のない人でも大丈夫です。 礼文滝の横の海岸線を下りる箇所はかなり急ですので気をつけましょう。険しい谷と海との風景がとてもマッチしていて美しい。なお礼文滝-元地間は通行止めになっていますので来た道を戻ることになります。

■礼文林道とレブンウスユキソウ群生地

礼文林道にはレブンウスユキソウ群生地が途中あります。華やかさはないのですが可憐でゆっくり眺めたい花です。盗掘の監視がものものしいのはしかたがないことなのですが少し残念です。礼文林道は全長8kmで時間が取れるならハイジの谷と組み合わせて歩くのもいいでしょう。

■地蔵岩

かつての8時間コースの終点です。そそり立つ岩は神秘的な雰囲気です。



桃岩周辺

■桃岩展望台

桃岩を見下ろす展望台です。高台にありここから望む西の景色は最高です。

■桃知コース

桃岩展望台から元地灯台、知床への道は花を楽しむなら行ってみたいコースのひとつです。そのルートのほとんどがお花畑か笹原の中を行くため展望がずっと開け晴れた日はとても気持ちのいい。

実はこのルートから分岐しさらに秘密の花園へ向かう道もあるのです。それはこちらでは紹介しませんが花がほんとに多い場所で利尻島を遠くに望む場所なのです。宿によって呼ばれる名前が違っていて折れる場所の電信柱の番号で呼ばれることもあります。

■桃台猫台展望台

桃岩も猫岩も地蔵岩も全部一度に見てしまおうというよくばりな展望台です。ここはかつて桃岩荘に泊まった人だけが楽しめる場所だったのですが今では立派に駐車場が整備されてしまっています。



西海岸8時間コース

礼文島の西海岸はその海岸線に沿っての道は車が通行できる場所は限られ、その美しい風景と高原植物を堪能するにはどうしても歩かなければいけません。星観荘や桃岩YHでは8時間コースのツアーを出しているのでそのツアーに参加すれば楽しみながら安全に歩くことができるでしょう。一般的には始発バスでスコトン岬に行き南の元地集落まで歩きますが逆コースを歩く人も中にはいます。また花を中心にゆっくり散策したい人は8時間全部を歩こうとは思わずにスコトン-西上泊の4時間に絞るのもいいでしょう。宇遠内-元地の通行止めがあるため8時間コース後半の魅力が薄れたのも確かなのです。

■スコトン岬から西上泊まで

スコトン岬で記念撮影をして出発です。 最初は車道を歩くだけですが鮑古丹を過ぎる頃から本格的な山道になります。 山道は急できつい登りです。 しかし登っていくにつれて視界が広がりゴロタ岬で最初の絶景にでくわします。 この周辺は花の多いポイントです。 ゴロタノ浜では穴あき貝を探しましょう。 そして澄海岬へ。 海は透き通る様な青さで南国の珊瑚礁にいるかと勘違いしそうになります。 海岸美では礼文一でしょう。

■西上泊から宇遠内まで

西上泊からは海もあまり見えない山道になります。 でも足元を見ると結構花が咲いてたりすることもあります。 注意して歩いてみるといいでしょう。 そして砂すべりで一気に海岸に下ります。 手に手をとって愛が生まれるといいますが結構女性でもひょいひょいおりて行けるような下りです。 宇遠内まで約3時間かかります。

■宇遠内から礼文林道へ

かつては海の岩を飛び飛びに伝いながら元地まで歩いたのですが今は単調な山間の道を礼文林道まで抜けていくことになります。



北海道旅情報巻頭  4-20.利尻・礼文
4-20-2.礼文