先週の土曜日、私の住んでいる浜松から磐田にかけてとても美しい虹がかかりました。 とはいっても直接私が見たわけではなく友人がその様子を話してくれたのです。

天竜川の堤防から眺めた虹は天竜川を挟んで相対する堤防の上にはっきりと二重の半円を描いていました。 普通あまり地上から直接なんて虹はあまり出会うことは少ないものです。 そして夕刻、日が落ちるにつれて直径1kmほどの虹はぐんぐんおおきくなり夕闇とともに空に消えていったそうです。

そんなことを聞いていてちょっと思い出したのが弟子屈から阿寒へ向かっていた時に出会った虹のことです。 その日は一日雨に降られ山に登ることも控え車を走らせていました。 夕刻、少しづつ暗くなっていく中、明日は山を登ることができるかと不安な思いでいました。 社会人になってからの旅でしたので無論日はあまりありません。 雨に降り込まれてしまうと一回も山に登ることなく北海道を離れてしまう可能性さえもがありました。

車は双岳台付近を通りかかりました。 ふと空を見上げた時、今まで白濁した一面の雲の中から太陽が突然顔を現したのです。 それも太陽の周りには七色の虹が寄り添うように光のハーモニーを奏でていました。 さらに雲は消えていきいつのまにか雄阿寒岳が黒い姿を見せていました。 偶然が作った風景はあまりに幻想的で思わず見とれてしまいました。 水墨画の中に虹だけが色彩の世界を形作っていました。

途中車を止めて見るような場所はなくしかたなしに転回できる所まで車を走らせ、 一目散にまた虹の見えた場所に戻りました。 しかし虹はもう消えていました。 時間にして2、3分の風景だったのです。 いつまでも忘れられない風景の一つになりました。

ちなみに次の日は晴れ、雌阿寒岳に登りました。


北海道旅情報巻頭  8.アラカルトレポート