和寒町福原の閉塞した空間

和寒町の中でも最も幌加内寄りの奥に位置するのが福原です。和寒市街からだんだんと山間に入って行くのは夕暮れ時だとちょっと不安になるくらいの場所にあります。

福原は何があるという訳ではありません。ただ周りを険しくない山地で囲まれた小さな盆地があるだけです。そしてその盆地では酪農が営まれています。福原は北海道でも幌加内町母子里と肩を並べる寒冷地で冬場は-30度以下になる日さえもあります。山間の厳しい環境の中での農業は北海道ではもうかなりの地域で放棄されつつあり福原もその不安がないとはいえません。しかしながらなんとなく暖かいこの土地の風景がいつまでも変わらずあり続けることを願ってやみません。

福原には観光施設はほとんどなくキャスト福原という釣り堀兼喫茶があるだけ。ここには元気の出る泉という名水があります。また5月には維文峠、福原の山林にカタクリが咲き乱れますが観光客が訪れるということはあまりありません。

私は福原を「塩狩周辺ガイド」という本で知り最初訪れました。たぶんこの本に出会うことがなければ一生この地に足を踏み入れることもなかったと思います。そんな本を書いた筆者は旧福原小学校にて旅人宿ゆきのおとを開いています。




■平成14年9月の福原の風景

秋ながらもまだ空と牧草地が青く美しい。一部牧草地が放棄され荒地になっているのが痛々しい。



■平成13年5月の福原の風景

まだ5月の福原は山には雪が残り寒冷地の厳しさが感じられます。



■はなれ電灯と維文峠

ぽつんと立つ電灯。幹線から離れた一本西側の道沿いにあります。かつては夜にぽつんと電灯が灯りましたが今では夜歩いても真っ暗なまま。

和寒側は舗装道路ですが鷹栖側にはまだダートが残る維文峠。 舗装時に削られた切り通しをよじ登ると植林したばかりの傾斜地に5月のGW頃には無数のカタクリが咲き乱れます。



北海道旅情報巻頭 3-8.農林山村スケッチ
和寒町福原の閉塞した空間