千歳川の王子製紙水力発電所群





千歳第四発電所







千歳川には明治、大正、昭和のに渡って苫小牧の製紙工場の電力供給を目的として5つの発電所が建設されました。第一発電所の竣工が明治43年5月、その年の9月に王子製紙苫小牧工場の操業が始まりました。その後、大正5年に第二発電所、大正7年に第三発電所、大正9年に第四発電所、そして昭和16年に第五発電所が建設されました。総発電量は36,800kw。そのうち第一発電所が25,400kwと全体の2/3を占めています。平成19年度に土木選奨土木遺産と経済産業省の近代化遺産として選定されています。



支笏湖から流れる千歳川には王子軽便鉄道の山線橋梁が架かります。支笏湖は不凍湖で通年安定した水の供給が見込めるため千歳川が水力発電の適地として選ばれたのです。



千歳第一発電所のある水明郷は桜の木々が調整池の周りに植えられていてちょっとした公園になっていて、眼下に発電所を見渡す場所までは開放されています。かつてはこの地には小学校もある集落がありました。



第一PS堰堤から調整池に送られた水は発電所のある河畔まで130mの高低差を利用して発電を行います。



千歳第三発電所は北海道で初の重力式コンクリートダム。発電施設は堰堤の直下にあり煉瓦造。



千歳第四発電所は最下流にある発電所で第三発電所と堰堤、発電所とも同じ様式。堰堤表面の玉石と煉瓦の対比が大変美しい。堰堤上部には木造の建物もありました。



王子製紙の発電所には千歳川以外に漁川に恵庭発電所があります。昭和3年に完成したもので、出力は2,150kwあり、この電力も恵庭連絡変電所を経由し、千歳川の発電所の電力と同様に王子製紙苫小牧工場に送られています。調整池が段丘の上にあり、川との落差を利用して発電が行われています。調整池脇には木造の施設も垣間見ることができました。



北海道旅情報巻頭   9.アラカルトレポート
千歳川の王子製紙水力発電所群