イ・サロニスティとタイタニックとベルン

 三年ほど前、インターラーケンの川沿いのテラスで、お話をする機会があったチェリストが、今、話題の映画「タイタニック」にちょい役だと思うのですが、出ているそうです(映画はあまり興味がないので…)。
 彼は、イ・サロニスティというサロン音楽を中心に演奏活動をしているハンガリー生まれのベルン在住のチェリストです。

 このちょっと高級なイージーリスニング・ミュージックといった風情の団体、決してあなどれないんです。とびっきりの腕達者が揃っててるんですね。
 第一ヴァイオリンには、あのバッハや17世紀から18世紀の宮廷音楽のスペシャリストてるカメラータ・ベルンの主席奏者で、ソリストとしても有名なトマス・フェーリがいますし、彼の前任者はベルン交響楽団のコンサート・マスターでした。

 チェロとコントラバスがハンガリー人。
 グループの本拠地はベルン。
 このベルン。かつては軍事大国だったそうですが、そんな雰囲気は、旅行者には博物館ぐらいでしか感じられません。
 演奏団体もベルン交響楽団にカメラータ・ベルンなどの国際的にも優秀な団体があります。その割に地味なのは、あまり国外への演奏旅行がないことと、レコーディングがスイス国内のレーベルに限られているせいでしょう。

 ベルン交響楽団にはコルボ指揮の世紀の名盤、フォーレの「レクイエム」や、これまた地味な名匠ベーター・マークの指揮で入れたメンデルスゾーンの交響曲やダンディの「フランス山人の交響曲」などの名盤があります。決してオーケストラの実力は低い物ではないようなのですがねぇ。
 カメラータ・ベルンには数々のバロック音楽の名盤があり、これはメジャー・レーベルから発売されているので、お聞きになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 さて話を戻しまして、このチェリストの奥様が日本人でピアニストとして活躍しておられます。時々日本に帰って来てのコンサートなどもあるのですが、近日(奥様のコンサートが)あるので、インターラーケンで撮ったご家族の写真でも持って訪ねてみようと思っています。
 スイスには、少々地味ですが、素晴らしい音楽文化があることを、次のスイス旅行の味付けにしてみられてはいかがですか?