第四回 タロンのカメラ
 今回はタロン(日本光測光機)のカメラについてお話していきたと思います。いつもライバルはヤシカであったメーカーでもありました。会社規模の大きさはまったく違うのにいつも戦いを挑んでいたメーカーでした。ちなみに有名なところではタロンシークとヤシカラピード、タロンVLとヤシカミニスターなんかがありますね。個人的にはタロンの個性的なスタイルに引かれているのですがレンズ描写に関しては非常にあっさりとしているものが多く地味な描写に仕上がる傾向にあると思います。ヤシカの富岡のように発色、コントラストのよいレンズとはまったく違うと思います。あまり知られていませんが日本光測光機は戦前からある老舗メーカーでもありました。2眼レフのTAROFLEXはこのメーカー製のものです。基本的にシャッターメーカーとしていろいろなカメラにシャッター(NKKブランド)を供給していました。シャッターだけでは採算の問題もあり、セイコー、コパルの一流シャッターメーカーとしての地位を確立してた時代もあり、カメラ製作に乗り出したように思えます。初めてカメラを製作したのがタロンの中では非常に売れたタロン35です。輸出にも多く回され海外でも非常に高い評価を受けタロンの中では非常に名機になったと思います。この時代は富岡光学からレンズを供給してもらい自社製のシャッターを搭載していました。U型はトプコンのカメラとそっくりなカメラでレンズも明るくなっています。シャッター内部の構造が面白くM接点の速度を作り出すために初代のシャッターに無理矢理ガバナー機能が取り付けています。3型は、F2.8のものとF1.9のもの2種類のレンズで販売されました。2型をコストダウン機でもあると思います。この時代は非常にタロンのカメラは売れていたように思えます。次に発売されたのがVR、VLシリーズになります。はやりコストダウン効果もあり地味な存在のカメラであると思います。VLが単独露出計付きもモデルになります。あと本当に発売されたのかがわからないシマシマ模様のタロンゼブラという際物もあります。次に個人的には大好きなPRというモデルが販売されます。メーターをつまない変わりに非常にスマートなデザインに仕上がっているカメラであると思います。JLをはさんでタロン一番の際物タロンアイ、アイマックスが発売されます、このカメラの特徴としてはなんといってもセレン受光部のデザインであると思います。アメリカ車のような非常に凝ったデザインなのですが本当のところはメーターセレンスペースを半ば強引にかさ上げしただけのものなんですね。分解してみると非常に情けない状態で現れますので。(笑)ちなみにタロンアイ、アイマックスのメーター部、受光部を外すとユニークをほとんど同じカメラになってしまいます。アイ、アイマックスのセレンをCDSに変更したのがタロンマーカスと言うカメラになります。デザインも非常に地味になり個性は消えてしまいましたがいろいろな国でOEM販売されたカメラでもあります。(AMICA、PROSTなんかですね)思った以上に海外では評価は高かったみたいですね。これ以降はタロンは連動露出計タイプのカメラ達を多く出すのですが販売的には非常につらくなってしまったようです。ただ不思議なのがタロン倒産後にもタロン名のカメラが販売されているのです。このカメラはどこのカメラなんでしょうね?おまけにタロンエレクトロ1000なんてヤシカのエレクトロ35とリンクス1000を足した名前のカメラでしたのでかなり恨みでもあったのでしょうか?あとタロンオートEL倒産後に発売されたモデルです。マーカスのCDS受光部をレンズリングにもっていった機種でもあります。多分この2機種は国内では販売されずに海外マーケットのみで販売されたカメラであると思います。タロンといいペトリといい老舗メーカーはどうして消えてしまったのでしょうか?
第三回 輸出用カメラ
最近リコー519デラックスの輸出用のFIVE ONE NINEを分解していて気が付いたのですが国内仕様と同じであると思っていたのですがファインダー倍率が違うんですね。519デラックスは等倍ファインダーなのですがFIVE ONE NINEは0,8倍ぐらいになっていました。内部の構造もやや雑で輸出用の方が完全にスペックダウンしているような印象を受けました。というわけで輸出用カメラについて書いてみたいと思います。なぜか輸出用機は国内販売機よりスペックダウンしていることが多いように思われます。レンズの開放値を落としたり、デート機能を省いたり、ファインダー倍率を変えたり、シャッター速度を省略したりしていることが多々あると思います。海外では余計な機能なしでカメラを使うのが普通なのかなぁ?とか思ってしまいます。もしかしてスペックばかり気にするのは日本人だけなのかなぁ?とか感じてしまいました。余計な機能に弱いのが日本人なのでしょうか?というか基本的に見栄っ張りなんでしょうね。よく女性の持っているプラダのバックなんかはプレート取ってしまえばただのビニールバックですから。と余計なことを書いてしまいましたが海外の人の方が純粋にカメラで写真を撮るということを楽しんでいるのかなぁ?とか思ってしまいました。それとも余計な機能のある高いカメラなんか買わないぞ〜〜という実用主義なのかぁ?どう思います?
第二回 ペトリの憂鬱(その1)
 「安かろう悪かろう」でカメラ好きからは当時は馬鹿にされていたペトリのカメラについて個人的な感想を書いていきたいと思います。この悪名高きキャッチフレーズがつけられたのはペトリの一眼レフV6シリーズであると思います。それより前のレンジファインダーには決してあてはまらないと思うのは私だけでしょうか!!確かにペトリの一眼レフは故障は多いのですがそれは他社との差別化、新発想、組み込み工程の簡略化を目指した結果に生じたわけであくまでも結果論に過ぎないのではないかと思います。新しいことを始めるときは必ずリスクは伴うものですから。ペトリの場合は品質管理面が劣っていたために完全に悪い方向に向いてしまったと思うのですが?レンズシャッター機の中にもかなりやばいものがあります。分解レストアをしていくと「うげっ!!」こんなカメラ販売していいの?というような構造のものもたくさん見受けられます。ペトリの没落はひとえに品質管理の問題ではないでしょうか!!といっても最近はやりのISO規格のように意味の無い品質管理とは違いますが!!(アホな親父どもか一生懸命なんかやってますがこんなものは現場の障害以外のなにものでもありません(暴言多謝))さて本題に入ります。

まずは、私の分解レストアした中で最悪の構造を持つカメラはペトリの中にあります!!発表しましょう!(じゃじゃ〜〜ん)ペトリプレストというカメラです。(カメラの紹介のペトリのところで紹介しています)なにがひどいかと言いますと全部(笑)この構造ではへますると3日で壊れます。その癌細胞のようなところは底部巻き上げ構造のリンクの問題です。底蓋を空けると薄い材質の非常に悪い鉄板を平行移動によりシャッターチャージをおこなうようになっています。この部分が平行に稼動しないと巻き上げトラブルになりあっという間にオダブツになってしまいます。調整機能の無くどうやって調整して作っていたのか不思議なカメラです。(基本はトンカチたたきのように思えます!)当然市場にもあまり出ていません。(このシリーズの延長にある輸出専用のペトリハイライトECはこのシステムの問題なのかあっという間にレバー巻上げに変更されています。)カメラ内部の部品の金属材質も非常に悪いので内部で壊れることも多いと思います。シャッターブロックに関しても面白いシステムにはなっているのですがこれもあっと言う間に壊れる可能性の非常に高いです。付加のかかる部分の金属材質(一部プラスチック)が悪すぎちょっとした無理な巻上げで壊れてしまいます。ちなみにベースの同じレーサーなども非常に壊れやすいカメラになります。

ちょっとペトリに悪い印象を持った方が多くなっちゃいましたか?(ヤバヤバ)
話を変えて初期ペトリのレンズシャッターに話を変えましょう!!これも壊れやすいのですが(笑)ちなみに初期ペトリとはペトリ35の延長にあるものをさします(レンズを明るさをいろいろ変えて発売したモデルです)まず言いたいのはチャージシステムの特徴的な構造であると思います。シャッターの回りにリング状のパーツでチャージをしているのですがこれはペトリだけに見られるシステムであると思います。ただシャッターブロックを取り付けているリングが緩みだすと巻き上げ故障になってしまいます。いまの巻上げトラブルになっているカメラはまずここの緩みによってリンクの定点がずれてしまっているものであると思います。レストアの一番の問題になるのはこの部分のレストアには後玉を外さないといけないのですがこの部分なぜかかに目がないんです!!(どうやってきつく締めたのかなぁ?)後玉を外さないとシャッターブロック固定リングは外せませんので。後玉を外すとリンク定点もあっという間にずれます。後玉を外してもシャッターブロック固定リングを無理に力を入れて外す前述のリング状のパーツが「ぐにゃ」っと変形してしまい強度が不足していまいます。後シャッター固定リングの締め付けもしっかりしないとまたすぐに巻き上げ不良になってしまいます。きっとかなりのテクニックのある作業者が組み付けしていたに違いありません(笑)結構コツさえつかめば簡単なんですが!!
今回は初期ペトリまでのお話にしておきましょう。時期を見てその後のペトリのお話でもしましょう。そうそうペトリは個人的には大好きなメーカーです。 
第一回 アイレスのカメラ
 まずは第一回目にアイレスのカメラについて書きたいと思います。詳しいカメラの紹介などはカメラの紹介のページを参照にしてくださいませ。私が個人的にアイレスがなぜ好きかと言いますとコーラルレンズとかニッコールが供給されていたとかレンズの問題ではなく機械的なところが多くあります。アイレスのカメラは分類していくと初代の1型、2から3B型、3Cからレーダーアイ、XからVSA、ビスカウント、ペンタシリーズの6種類に分類されると思います。

T型
2眼レフからレンズシャッターに移行していくために無難なカメラを作ったと思います。一部材料に木を使っている以外大きな特徴のないカメラでもあります。しっかりはじめからセイコーシャのシャッターをつけたところに意味があると思います。

U型〜VB型(U、UA、VA、VB、VL)
この5機種は、基本構造はほぼ同じでVA、VB、VLに関してはレンズの変更以外ほとんど同じものです。やはり時代のはやりなのか大口径から標準までの3種類のレンズをのせて価格差をつけています。日本人のスペックに弱いところをしっかりとついていると思います。U型は日本発のトリミングファインダー(ブライトフレーム)で有名になった機種です。ライカM3より早い開発と言うのは本当なのでしょうか?T型、U型で問題となっていたフロント部分のレリーズを改良したのがUA型になります。確かに構造的に見てもこのフロントレリーズは変形しやすくあまりよい構造とは言えませんのでここを改良して普通の軍艦部にレリーズをもってくるのが最良の策であると思います。このシリーズのカメラを分解してみるとわかるのですがほとんど壊れるところがありません。特に巻き上げシステムの部分が非常に頑丈にできています。メッキの質も非常によく今現在でもピカピカにすることが可能であります。この時代が一番アイレスと言う会社の輝いていた時期でもあります。

VC〜レーダアイ(VC、レーダーアイ)
アイレスの中で現在人気のあるカメラがこの2機種だと思います。M3フェイスのVCは本当に人気があります。ただ構造的に見るとやや問題のある2機種であると思います。まずVCについているセイコーシャシャッターが曲者になっています。何が曲者かと言いますと絞り羽のピンが外れやすいことです。なぜかVCについているシャッターだけにおこる特有の状況であると思います。ばらして見るとわかるのですが羽を止めている部分のリングが2点止めになっていることが起因となっているようです。だいたいピン外れがおきた後に無理をして絞りを回して羽のクラッシュとなるトラブルが多いと思います。VCの素晴らしいところはこの時代にブロック化設計されていることであると思います。ブロック化というのは1つ1つの部品を組み合わせて最後にカメラとしての形にするとでもいいましょうか分解してみるとひとつひとつの機能を持った部品の集合でカメラが仕上がっています。合理的かつ保守も考えられたものであると個人的には思っています。アイレスペンタシリーズもこのブロック化設計されています。レンジファインダー部は非常に豪勢な設計で非常によく作られていると思います。次にレーダーアイなのですがこちらもトラブル持ちのカメラであると思います。巻き上げ関連の部分がギア連動しているのですここの部分は非常に弱いのが難点です。なんかしらの原因でギアスリップなどがおこるとチャージ不能になってしまいますので。それ以外は構造的に材質的にも素晴らしいカメラであると思います。

X〜VSA(X、VSA、VS)
名機であると個人的には思っているのはX型です。レンズ交換可能のレンズシャッター機として国内では非常に早い時期に販売されています。こちらも内部分解してみるとわかるのですが手抜きなしのまじめな設計がされています。マウント部の合成も高いのも素晴らしいと思います。露出計周りはマイナーチェンジが繰り返されています。露出計不良になることが多かったのでしょうか?露出計を除けば故障知らずのカメラであると思います。ただ値段が高かったためにアイレスの首を絞めることになりましたが。VS、VSA型に関しては基本構造はX型の小型化してレンズ交換のできなくしたものであるといって間違いはないと思います。ということでこちらも設計、材質的には素晴らしく故障知らずの名機であると思います。VCより個人的にはこちらをお勧めしたいと思っております。レンズ描写もVCより個人的には好きな描写をしてくれますので。

ビスカウント(ビスカウント、M28)
VSシリーズの改良がされたのがビスカウントであると思います。ただコストダウンのおかげでいろいろなところにひずみが生じてしまったように個人的には思えます。まず金属材質がかなり落ちているように思えました。金属疲労による折れ、変形などが発生しやすいと思います。あとゴールデンブライトフレームファインダーの劣化が激しいことと接着剤の質が落ちているのですぐにその周辺のパーツが外れてしまうということがトラブルとしてあげられます。レンズの方も後玉が非常に曇りやすいこともあります。コストダウン機の典型であると思います。
M28はVSシリーズとビスカウントの中継ぎとして低価格モデルとして販売されました。レーダーアイと同じ持病持ちです。前玉回転にコストを下げようとしていましたので。ただ描写はアイレスらしくないのですがしっかりとした描写をしてくれると思います。個人的にはM28のコーラルは好きなのですが。

ペンタ35シリーズ(ペンタ35、エバー)

エバーもペンタ35も基本は同じなので両方一緒にお話します。まずVCのところでも述べましたがブロック化構造になっていて非常に組み立て効率の高いカメラでもあります。(当然分解もしやすいです)セイコーシャSLVの恩恵もあり非常に簡単な構造に仕上がっています。ただ持病持ちで故障も多いカメラであると思います。持病はミラーとシャッター連動部の金属の質が非常に悪くつかっていくうちに変形してしまいチャージできなくなってしまうことです。ミラースプリングも非常に強烈で変形の助けをしています。あと組み立て時にこの部分を手作業で変形させて最終調整しているように思えました。レンズシャッターの裏巻き軸よりこちらで壊れてくれます。あとシャッターが3本のねじで固定されていることです。普通は裏面からリングでとめてあるのが普通なのですがこのカメラは前面からねじ3本でとまっているというおそまつな設計になっています。この部分の緩みもトラブルの原因としてあげられます。これらの構造のおかげでSLVシャッターは壊れずらいです。(壊れる前にほかの部分が壊れますので(笑))プリズム部分はモルトがたくさん使われていますので劣化していることが多いです。ファインダーに黒いものが見えるようでしたらモルトは完全にだめであると思ってよいと思います。あまりよいことを書いていないように思われますがこの時代でここまでブロック化した設計と部品数の少なさはすごいと思っております。あとF2モデルとF2.8モデルではダイキャストが変わっていることも素晴らしいと思います。

アイレスというメーカーは、私の思うには非常に優秀なメーカーであったと思います。何度の書くようになりますが構造的な面で他のメーカーより優れた設計であったと思います。