第46回 トプコンPRの分
(シャッターに頼らないレンズシャッター一眼レフ)

非常に複雑な構造を持つレンズシャッター一眼レフがこのトプコンPRです。なぜ複雑かといいますと普通のレンズシャッター一眼レフはシャッターにいろいろな機能が集約されています。(シャッターの開閉、ミラーのタイミング、巻上げ時の開放など)このPRはごく普通のシチズンシャッターを用いてレンズシャッター一眼に必要な機能をボディ側で行っていることにより複雑な構造になっています。というかこの時代にはまだレンズシャッター一眼レフ用シャッターが開発されていなかっただけなのですが。でもこのカメラを設計したトプコンの技術陣には頭がさがります。この小さなボディにうまく配置、計算したと思います。ペンFシリーズが良くすごい構造であるといわれていますがこのカメラの負けず劣らずのカメラであります。隠れた構造名機であると思います。
鏡胴ブロックを外したところです。ミラー下の部分シャッターチャージ部です。左部分にミラー昇降機能とアイピース遮光機能が取り付けられています。ここだけを見るとたいしたことはないように見えますが非常に良くできています。 こちらは鏡胴になります。左側のレバーがシャッターチャージ用になっています。右側のレバーミラーへの連動と巻き上げ時のシャッター開放機能をつかさどります。右側は下の写真の2つ目の連動部につながっています。
レンズシャッター一眼の動作を簡単に書きますと。巻き上げるとシャッターを開放にしてミラーを下ろす。シャッターボタンを押すとシャッター羽を閉じてアイピースシャッターを閉じミラーを上昇させる。ミラーが上がったらシャッターを開いて露光させるという流れになります。このすべての動作を一瞬で行います。機械でこの動作を行わすことは非常に難しい技術であると思います。 底蓋を外したところです。連動部分が2つあります。ひとつはシャッターへのリンク2つ目はミラーと巻き上げ時にシャッター閉じるを機能への連動になっています。ここの部分をミラー横の部分で前に書いたタイミングの調整をしています。それ以外の部分は普通のレンズシャッター機の機能と同じになっています。
これがトプコンPRの特徴であるアイピースシャッターです。普通のレンズシャッター一眼は遮光版がフィルム室にかぶさる構造をしていますがこのカメラは遮光版がなくミラー自体で遮光しています。ミラーが上がるときにファインダーからの光で感光してしまうためこのアイピースシャッターで遮光しています。 実はこのとき2台のPRをレストアしていたのです。前期型が前、後期型が後ろになっています。かなり見づらいのですが内部部品がいろいろと変わっています。あとトプコンのカメラの特徴なのですがミプリズムは上からの金属板とスプリングで押さえられているだけでプリズム自体はまったく固定されていません。
でもびくともしないところがすごいと思います