第35回 2眼レフのシャッターいろいろ

(今回はいろいろなシャッター内部を見てみましょう。)


今回は、少々いつもと変えて2眼レフのシャッター内部を見て見ましょう。作業にかかる前にシャッター内部がかなり汚れていますのでベンジンなどで清掃した方がよいと思います。良くあるトラブルとして低速側がとまってしまう、セルフタイマーがしっかりと動いてくれないというようなトラブルがあります。これはまずギアの油切れと思って間違いないと思います。ギアの連携によって時間を作っているので(ガバナー)ギアの軸の油が切れてしまいギアの動きが悪くなってしまうことが原因です。基本的に少量の油をギアの軸に注油してあげると動くようになります。ただ油のさしすぎは他の部分の故障につながりますので注意してください。他にあるトラブルとして部品の変形、羽根の張り付きなどがあります。羽根の張り付きはベンジンなどで羽根を清掃することでシャッターについた油をとることが出来ます。難しいトラブル、シャッターの分解方法などはそのうちに紹介していきたいと思います。後は写真を見ながら説明していきたいと思います。今回の機種は1と2がクリスター25、3と4がコスモフレックス、5と6がリコーフレックスモデルZS、7と8がアイレスフレックスZです。
(注意)とりあえずカメラが動くようにするまでの行為なので直して中古市場に流すことは決してしないでください。正式の修理としては各部品を分解清掃、組み直し、精度測定する必要があります
CRYSTAR25
ガバナーを使わずにスプリングでシャッター速を変えているタイプのシャッターです。構造は非常に簡単ですが実際の速度の誤差は非常に大きいです。リコーフレックスのモデルZまでのリケンシャッターなどはこの構造になっています。
写真1の緑丸の部分でシャッターの開閉を行っています。
写真2の緑丸部分でシャッター速度の変更を行います。
このタイプのシャッターで多いトラブルは、羽根の張り付きといろいろなところに使われているスプリングの外れが多いと思います。各部品の動きを観察すれば簡単に故障の原因はわかると思います。
COSMOFLEX
セルフタイマーを持たないタイプのシャッターです。セルフタイマーを組み込めるスペースががらんと開いています。
チャージをすると一緒にシャッターが開いてしまうトラブルの場合は写真3の緑丸部分の下にあるシャッター羽根のかみ合わせ部分の部品の変形、劣化が考えられます。カギ状のものがシャッターチャージ時には引っかからずにシャッターを切ると引っ掛かります。チャージ時にこの部分の部品が引っかかってしまう為、チャージ時にシャッターが開いてしまいます。次にシャッターがチャージされずにシャッターが切れてしまうようなトラブルは写真3の赤丸部分のつめの変形、折れが考えられます。この部品の強度は非常に弱いので注意して修正する必要があります。折れてしまうとまず修理不能になります。特にNKSのシャッター、レクタス系のシャッターはこの部分の部品強度が低いのでかなり慎重に作業する必要があります。
写真4の緑丸部分が低速用のガバナーになります。
RICOHFLEX MODELZS
セルフタイマー内蔵シャッターになります。セルフタイマー内蔵モデルで多いトラブルは赤丸部分のセルフタイマーの時間調節用の板状の部品の変形があります。セルフタイマーユニットのチャージ部分に切り抜きがあってその部分に入るとシャッターが切れる構造になっています。この部品が変形している為にシャッターが切れなくなっているものが多くあります。部品自体は固いので折れることは無いと思うのですが調整が微妙なので注意して修正する必要があります。青丸、緑丸部分はCOSMOFLEXの欄で述べた部分の同じです。
写真6の緑丸部分がスローガバナー部で赤丸部分がセルフタイマーユニットです。ぽつぽつと穴のあいている部分がギアの軸なのでここに注油するとギアがうまく動くようになります。
AIRESFLEX Z
今まで紹介したシャッターを違う形状をしています。俗に言うワンレバータイプのシャッターになります。チャージとシャッターを切るのをこのレバー1本で行うタイプです。構造的に若干複雑で説明も難しいので今回は細かいところは省略させていただきます。良くあるトラブルとして写真7の赤丸部分のチャージ部のカギ状の部品の劣化があります。この部分にリングの切り抜きが引っかかってチャージをするのですが劣化の為に引っかからなくなっているものが見られます。棒やすりのようなもので切り抜きを作ってあげるとうまくチャージするようになります。
写真8の緑丸部分がスローガバナー部になります。チャージリングがある為、細長く面積的にも大きくなっているのが特徴です。
といろいろ述べてきましたが上記のようなシャッター内の構造は当然いろいろなレンズシャッター機の修理に応用がききます。しかしまだたくさんの構造を持つシャッターがありますので機会を見て紹介していきたいと思います。特に昭和40年頃以降のシャッターになると構造も複雑になっていきます。逆に戦前のシャッターもまた違った構造になっているものが多いです。だいたい上記のようなシャッターは昭和20年〜40年ぐらいのカメラに多く見られます。