第38回 AIRES RADEREYEの分解

(故障内容)シャッターが切れない
(故障原因)シャッターチャージリンクのずれ


作業時間約4時間

今回は、アイレスの美しいカメラレーダーアイの分解です。個人的には非常に好きなカメラです。外見的にはライカMシリーズに似ているような気がします。今回の修理が原因がわからずに少々苦労しました。セイコーシャSLSシャッターとボディのリンクがわかるようになったとき答えが出てきて修理方法がわかりました。
写真1は、鏡胴ブロック、トップカバーを外したところです。こう見ると非常にM型ライカに似ていると思います。各機能に対しては2〜8で述べていきたいと思います。
写真2の緑矢印は露出計へのリンクになります。SLSシャッターの棒(写真8)が緑丸にはまってメーターブロックを動かし指針を動かします。赤矢印はシャッターボタンのリンクになります。
写真3は、シャッターチャージのリンクになります。こちらもSLSの棒(写真8)が緑丸部分にはまり矢印のギアにより回転されてシャッターがチャージされます。今回のトラブルはこのギアのかみ合わせ位置の不良によりシャッターが切れなくなっていました。
写真4は、少々複雑になっていますので色矢印で解説します。まず緑丸部分がシャッターチャージ用のギアの回転させる為にのこぎり状なっています。写真6の平行移動をギアの回転に変換しています。青矢印はシャッターボタンへのリンクになります。シャッターボタンが押されるとフィルム室下部を通り逆面にリンクされシャッター本体のシャッター開閉ピンに行くようになっています。左面にスペースが無くなってしまったので苦肉の策であったように思えます。黄色矢印はメーター指針を動かす為のピンです。メーター指針を動かすというよりはメーター本体を動かしています。赤矢印は距離計像を動かすピンになっています。
写真5はトップカバーを外した状態を見たところです。非常に効率良く各パーツが配置されております。いかに露出計をいれるのに苦労した後が見られます。
写真6は、アンダーカバーを外したところです。巻き上げレバーを回すことにより緑矢印方向に回転してリンクしているのこぎり状(写真4)のパーツへリンクしています。
写真7は特徴の多いセイコーシャSLSシャッター内部です。構造は非常に複雑で分解すると組み上げるのになかなか手間がかかります。
写真8はSLSシャッターの裏面になります。このシャッターの特徴である3本足が生えています。セイコーシャの中でもこの形態のものは見たことがありません。当然他のシャッターメーカーに関してもです。露出計に連動させたシャッターも非常に珍しいと思います。緑矢印部分がシャッターボタンにリンクするシャッター開閉用の足、赤矢印が露出計に連動する足、黄色矢印がシャッターチャージ用の足になります。
最後にSLSシャッターのおかげで露出計連動、柔らかい巻き上げ、ソフトなシャッターボタンが再現されたカメラであると思います。よく考えるとアイレスと言うメーカーはライカを非常に意識していたように思えてしょうがありません。